『13』
幸子が典夫に弄ばれてから数時間、時刻は昼になろうとしていた。
正直、午前中の幸子は仕事どころではなかった。
いつ、典夫がまた凌辱行為をしてくるか分からないからだ。
仕事に手がつかないのも無理はない。
そんな苦悩している幸子を見るのも、典夫の悪趣味の一つなのだろう。
そうこうしている間に、昼休みの時間となった。
基本的に、幸子の事務所は決まった時間の昼休みは無い。
その時間帯を利用して訪ねてくる客もいるからだ。
だが、幸子が外出している場合もある。
その時は、典夫か弥生のどちらか一人でも必ず事務所に残って応対する事になっていた。
幸子が居る場合はそのまま幸子が対応し、昼食は空いた時間にとっていた。
普段は、幸子も事務所に居る事が多い。
この日も、特に外出する用事は無かった。
しかし、幸子は迷っていた。
弁当を作ってきてはいたが、このまま事務所に残っていれば典夫は弥生を追い出し、昼休みも凌辱する気なのではないかという不安があったのだ。
典夫なら、それぐらい考えるだろう。
幸子は、外出する事に決めた。
だが、それを伝えようと幸子が立ち上がろうとした時だった。
「あっ、そうだ。岡山君、さっきの事務所見学の話なんだけど、面白かったからもう少し詳しく教えてくれないかな?」
そう言ったのは典夫だった。
「えっ?・・・はい、別に構いませんけど」典夫の言葉とは思えず、弥生は少し驚いた。
典夫が興味を持ちそうな話ではなかったはずだが。
もちろん驚いたのは弥生だけではなく、幸子もだった。
予想外の発言に、幸子は戸惑った。
「よし。じゃあここで聞くのも何だし、近くの店で食べながらにしよう。先生!いいですよね!?」
「えっ?・・・えぇ」
幸子の承諾を得て、半ば強引に典夫は弥生を連れて出ていった。
典夫の行動が全く読めない。
単に幸子の不安感を煽り、弄んでいるだけなのだろうか。
しかし、幸子はすぐに典夫の狙いを理解する事になった。
警戒しながらも、幸子は弁当を食べ終えた。
そして、仕事に取り掛かろうとした時だ。
事務所の入口の扉がゆっくりと開き、ある人物が姿を現した。
それは、典夫ではなかったが同じ淫獣で昨晩、幸子を徹底的に犯した相手、西尾だった。
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