『2』
「何だ。それならそうと電話の一本でもよこしてくれよ。晶も心配してたんだぞ。お前らしくもない」
「ごめんね。今度からは気を付けるわ」
「でも・・・どうしてまた一人だけで映画を観に行ったんだ。それもこんな時間に」
「急に見たくなったの。本当にごめんなさい」
「・・・そうか。それなら仕方ない。今度は二人で観に行こうな」
こんな時間まで連絡をしなかった身勝手な妻を許してくれた。
そんな由英の優しい愛情は、再び幸子の胸を締め付けた。
これ以上、由英と同じ空間には居たくない。
自身の身体にこびりついた醜悪な淫液の臭気を、由英に嗅がれたくはなかった。
「ごめん、シャワー浴びていい?」
「えっ?あぁそうか。今日は暑かったからな。お前も汗をかいたんだろ」
幸子の乱れ気味の髪を見て、由英はそう言った。
「えっ、えぇ」
幸子は、髪を隠す様にそそくさと脱衣場へ入っていく。
とにかく、一秒でも早く淫獣に浴びせられた精液を洗い落としたかった。
順番に衣服を脱いでいく幸子。
結局、由英から貰った濃紺のスーツとスカートは幸子を護る事が出来なかった。
いっそのこと、忌まわしい記憶を忘れる為に捨ててしまいたかった。
だが、由英がそれに気付けば不審に思うかもしれない。
ましてや、由英がプレゼントしてくれた物だ。
捨てる選択を出来るはずがなかった。
全て脱ぎ、一糸纏わぬ姿になった幸子。
全裸になると精液独特の異臭が際立ち、幸子の鼻に襲いかかる。
幸子は、風呂場へ入るとすぐにシャワーを浴びた。
身体中にこびりついた精液を、入念に洗い落としていく。
もちろん、一番の被害箇所だった膣内はしっかりと洗浄した。
幸子は精液、唾液、淫獣の汚濁液の全てを洗い落とした。
しかし、膣内に残る違和感はまだ消えていなかった。
まだ剛棒が突き刺さっているのではないかと錯覚する程だ。
もう休んだ方がいい、幸子は眠りにつく事にした。
風呂場を出ると、脱衣場で身体を拭く幸子。
そして、幸子は脱衣場にあるタンスからパジャマを取った。
銀色のシルク生地、光沢感のあるパジャマだ。
下着を身に付け、パジャマを着ると幸子は寝室へと向かった。
すると、寝室の前で幸子は由英に声を掛けられた。
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