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人妻熟女 官能小説

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98
投稿者:昌子
私の投稿を読んで頂いている皆様へ。

判断保留のまましばらくの経過を有してしまった事
を、まずお詫びします。
(体調を崩してしまっていたので・・・・)

本格的な投稿再開には程遠い状態なのは変わりま
せんが、ご要望がありましたので少しずつですが
投稿を始めたいと思います。

それではお楽しみ頂ける事を祈りつつ・・・
                
                   昌子

 エアコンが停められた室内は熱気と湿気で蒸しかえり、
まるで亜熱帯のよう・・・。
汗と精液・・・私の秘部から分泌された愛液。そして
僅かに尿臭も漂っています・・・・。
床に置かれたサーキュレーターがわずかな唸りを上げて
その空気を混ぜ合わせ、抱き合ったままの私達に
ねっとりとした風を運んできます。
私達の痴態を音も無く録画し続けていた機械は、小さな
アラーム音の後、赤いランプを消して停止していきます。
きっと電池切れかメモリの限界なのでしょう。

私は軽い頭痛を感じながらも、彼の胸の中でまどろんで
います・・・。
わずかに残った思考は、
(あぁ・・・時が止められないのなら、このまま朽ちて
 しまいたい・・・彼とこのまま・・・・・)
そんな思いを浮かばせてしまうのでした。

彼はゆっくりと起き上がり、すでに柔らかくなった逸物を
私の中から抜き出していきます・・・。
そして横たわったままの私に顔を向けると、
「昌子・・・話がある。 本当はもっと早く伝えなければ
 いけなかったんだけど・・・どうしても言い出せなかった
 事があるんだ。聞いてくれるかい?」
「何・・・言いたくない事なら言わなくても・・・・」
「いや、もう黙っている訳にはいかないよ。」
私は重い身体を起こし、
「それならシャワーを浴びてからにしない?」
と彼に言いましたが、彼は・・
「いや、今の方が良い・・・決断が鈍ってしまわない今の
 内に・・・・」
「判ったわ・・・聞かせて・・・」
「・・・・うん・・・実は・・・・・・・」

 彼は淡々と・・・時たま声を震わせながら話しをし続け、
私はただ黙って聞き入っていました。
それは彼の過去・・・暗い影を彼に刻みつけた
出来事でした。
話しは彼が結婚していた時にまで溯ります。
彼の奥様だった女性は地味で倹約家。肌の相性も良く、
この人となら・・・と思い、結婚に踏み切ったそうです。
年齢が九つ離れていた事もあり、若干世間知らずで
ワガママなところもあったそうですが、それもいずれは
判ってくる筈だと思い、修正しつつも容認していたそうです。
最初の3年間はそれなりに穏やかな夫婦生活だったそう
ですが、それも娘さんが生まれるまでで・・・。
お子さんが生まれてからは、まるで別人のように傍若無人
になっていき、彼に対しても、まるで召使いか奴隷のように
ワガママの言い放題。
普通預金の貯蓄もあっという間に底をつき、彼の
おこづかいすら渡してもらえないこともしばしば・・・。
いくら彼が理詰めで説明しても、
「知らない。判らない。」
の1点張りで取り付く島も無い状態だったそうです・・・。

それでも彼は、自分に課せられた試練なんだ と気持ちを
保ち続け、自尊心を削りながらの生活が続き、
当時70キロあった体重もみるみる減り・・・49キロまでに
なってしまったそうです。
蛇足ですが、後日当時の写真を見せてもらいましたが、
頬はコケ・・・目の下にはクマが出来・・・やせ細った身体は
今の彼からは想像も出来ない痛々しい姿でした・・・。
そしてある日彼女は「離婚」を彼に言って来たそうです。
彼は
「娘もいるんだし、もう少し時間を置いてお互いに
 良く考えよう」と言ったのですが、
その1ヶ月後のある日・・・彼が仕事から帰って
来ると、一通りの家財品が無くなったガラン・・とした
無人の部屋が彼を待ち受けていた・・・・。
彼女は彼が仕事に出ている内に、娘さんと家財品を持って
実家に帰ってしまっていたのです。
それは彼にとってツライ現実でした・・・。
(夫婦とは信頼し何処までも信用しなければ成り立たない) 
そう自分に言い聞かせ、自らを削り、耐えてきた結果が
これなのか?・・・・と。

でも、彼を待っていたのは更なる追い打ちでした。
彼女の実家、つまり義父母から呼び出しを受けたのです。
翌週、彼は彼女の実家に向かいました。そしてそこでの
義父母からの対応に愕然としたそうです。
わずかながら仲裁してくれるのでは・・・という期待感は
一蹴され・・・義父母から言われる事は全く身に覚えの
無い事ばかり。
好き勝手に金を使い、家庭内ではワガママ放題・・・
終いには浮気までしたダメ夫の烙印を押されていたの
です。
もはや修復など不可能だと悟った彼は、離婚を承諾した
そうです・・・。
ですが、彼は最後に義父母へこういったそうです。
「娘さんの言う事を信じるのは親として当然です。ですが
 それが事実とは限りません」と・・・。
信じた者からの裏切り・・・実の娘への変わらぬ愛情・・・
彼の心は粉々に粉砕されてしまったのが痛いほど伝わって
来ます・・・・。
事実、その後1年以上・・・彼は笑うことが出来なくなって
しまったそうです・・・。

数年が経ち、彼も何とか立ち直り、ひとりの女性とめぐり
逢うことが出来たそうです。
その女性とはそれなりに上手くお付き合いが続いていた
そうですが、そんなある日・・・
前妻から手紙が届いたそうです。その内容は・・・
償いの言葉も詫びの一言も記されて無く、あるのはただ
お金の要求でした。
もちろん、彼は毎月養育費を振り込んでいます。でも
その彼にそれ以上のお金を要求してきたのです。
その時、彼の中に暗くて陰湿な感情が芽生えてしまった
のでした・・・。
そして、その感情をその時お付き合いしていた女性に
性欲としてぶつけてしまったのです・・・。
彼女は困惑し、彼の元を去っていきました・・・。

私とのお付き合いが始まる前・・・彼はこんな事を言って
いたことを思い出しました。
「貴女にこの気持ちを性欲に変えてぶつけてしまうかも
 しれない。もしかしたらとても酷い仕打ちをしてしまうかも
 しれない。それが私は怖いんです・・。」
その時は何気なく聞き流したその言葉が、実はこんなに
深くて哀しい意味を含んで居たとは思いもしませんでした。

今日、訪ねて来るはずの人だったのは・・・・そう・・その
前妻の女性だったのです。
ですが、朝に電話で・・
「どうせ私の言う事なんか聞いてくれないんでしょ?
 だったら行かない」
自分で言い出しておいて、あんまりの言葉です。でも彼は
(それなら予定が空いたから昌子に逢える)
そう素直に喜んで、私にメールを出してくれました。
事実、私が帰って来たときの彼はいつもと変わりません
でした。
でも・・・私との行為が進につれ・・・その暗い感情が目覚め
始めて来てしまったのです。
彼は必死にその感情を抑えようとしました・・・でも、
その暗くて陰湿な感情は彼の抗う心を飲み込み・・・
サディスティックな行動に駆り立ててしまったのです・・・。


 忘却の彼方へ消し去ってしまいたい辛くて哀しい出来事。
彼の心の奥底に、まるでトゲのように今でも残り、彼を
苦しめ続けています。
彼は話しの最後に・・・
「この感情はこれからも私の中に残り続けるだろう。そして
 いつ、動き出すか自分にも判らない。だから昌子が
 こんな私に付いて来れないと思ったのなら・・・・・・
 とても哀しくてツライ事だが・・・もう終りにしよう・・・。」
彼のその言葉は意外ではありませんでした・・・。
なぜなら、話しながらの彼からは、ある種の覚悟 のような
雰囲気が漂っていたからです。
私は彼にそっと抱き付くと、こう答えました・・・。
「話してくれてありがとう。ホント言うとね・・・私もすごく
 ツラクて哀しい気持ちになっていたの・・・あなたへの
 気持ちもゆらいでいたわ。でも・・・でもね、
 私は・・・ううん、私達はそれを乗り越えたのよ。
 そうでしょ?これからだって・・・何度だって乗り越え
 られるわ。だから終りだなんて言わないで・・・・。」
彼は私を引き寄せると、力強く私を抱きしめ・・・そして
ひとこと・・「そう・・だね・・・・」と答えてくれました。

私達はしばらくの間、抱きしめ合っているだけでした。
彼の身体の震えが収まるまで・・・・・。


私達はシャワーを浴び、行為で汚れたお部屋をショーツと
Tシャツの姿で掃除しはじめました・・が、やはり会話は
弾みません・・・
彼は努めて明るく話しかけて来るのですが、どことなく
ギコチナイ感じ・・・。
私もその雰囲気を変えることが出来ずにいます・・・。
(どうしよう・・このままじゃ・・・・)
でも、いくら考えても(どうしよう・・・・)の言葉が頭の中を
堂々めぐりするばかり・・・。
掃除も終り、私はお茶用意をし始めました。
その間も良い会話が見つかりません。
ダイニングのテーブルにお茶を置き、私は苦し紛れに
「ねぇ、私に居ない時ってアナタは何しているの?」
と聞いてみました。
そう言った途端、私は自分の言っている事にウンザリして
しまいました・・・。
(なに聞いているんだろう・・・こんな事を聞いたって何の
 解決にもならないじゃ無い・・・・)
案の定、彼は(???・・・)という顔をしています。
でも、言ってしまった以上、話しを続けるしかありません。
「だ、だってほら、私が帰って来てる時のアナタしか知らない
 じゃない? そ、それで・・・・なに・・してる・・・・・
 のか・・・・なぁ~・・・・って・・・・・・・・」
短い沈黙・・・自分の不甲斐なさに泣きたくなってしまい
ました。でも、彼は
「当たり前の事だけど確かにそうだね。でも、仕事のある
 日は特に何もしていないよ。食事をしてお風呂に入って
 少し仕事を整理したら寝ちゃう・・・そんな感じだね」
「そ、それじゃ・・お休みの日は?」
「洗濯や掃除をして・・・なるべく仕事のことは考えない
 ようにしている。オンとオフを出来る限り切り替えたい
 方だからね。なかなか難しいけど・・・」
「アナタでも難しいの?」
「昌子が思っているほど私は器用ではないんだよ。
 そんな時には全く別の事に集中するんだ。本を読んだり
 映画を観に行ったり・・・でも最近はウクレレを良く弾いて
 いるね。家に居るときは・・・。」
そう話す彼を見て、
苦し紛れでしたが、何となくキッカケみたいな手応えを
私は感じていました。
すると彼は、
「あれ?怒らないの?」
「え・・・なんで?」
「だって、あえて言わなかったんだよ?昌子の事を考えて
 いるって・・・・」
私がこんなに悩んでいるのに彼ったら・・・
私は珍しく頭にカッと血が登り、思わず
「アナタ!!!」
と声を荒げてしまいました。ふくれっ面をする私に彼は
「ははっ、ゴメンゴメン。何も茶化すつもりじゃ無かった
 んだよ。ただ場の雰囲気がなかなかいつも通りに
 戻らないし、昌子が一生懸命になっているのも判った
 からね。だからちょっと悪乗りしてみただけなんだよ。」
「・・・・もう」
「だから、ゴメン。」
そう言いながら柔らかく笑う彼の顔を見ていると、一気に
カッとなった感情は行き場を失い、私の胸の奥を
くすぐる様な感触を残しながら、みるみる内にしぼんで
行ってしまいます。
「ぷっ・・・・もう、知らない」
「はははっ、まぁまぁ。取り合えずお茶にしよう。」
「うん。」
気が付くとそれまであったぎこちなさは消え、
いつものふんわりとした柔らかな雰囲気に包まれて
いました。

私達は遅い昼食を取り、とても穏やかな時間の中に
います。
でも、なぜか私は徐々に落ち着かない・・・そわそわした
気分になり始めていきました。
それは二人で居られる時間が後二時間ちょっと・・・という
事もあるのですが、何か忘れているような・・・
思い出せないような不思議な感じ・・・。
だけど、どうしても出てこない(もどかしさ)と共に時間だけ
が過ぎていってしまう切迫感を感じていました。
そんな私を見て、彼も
「どうしたの?何か落ち着かないみたいだけど・・・」
「う~ん・・・自分でも良く判らないの・・・・」
「まだ時間に余裕があるから落ち着いて考えてみたら?」
「でも、あと2時間くらいしか居られないし・・・・・」
「判るよ。でも焦っても良い考えが浮かばないと思うから」
「う~ん・・・・」
「うん。それじゃ・・・・・」
そう言うと彼はダイニングの棚に置いてある
小さなCDプレーヤーの所に行き、操作し始めました。
ほどなく静かに音楽が流れ始め・・・
「何?クラッシック?・・・・」
「うん。昌子も聞いた事があると思うよ。」
しばらく聞いていると確かに聞いたことがあるメロディーで、
曲名は判りませんでしたが、私が知っているくらいですから
クラッシックでもかなりスタンダードな曲の筈です。
彼は腕組みをし、目を閉じて静かに聞いています。
それを見て、私も目を閉じて流れてくる音楽に意識を
集中してみました。

軽やかに・・・そして綺麗に流れる音の重なり。
オーケストラでは無く、弦楽器だけの演奏なのは私にも
判りました。
その音の流れに気持ちをゆだねていると、不思議と気持ちが
落ち着いてきます。
先ほどまであった、そわそわした切迫感はその音に綺麗に
洗い流され、私の心に柔らかな落ち着きが満たされて
いきます・・・・。
演奏が終わると彼はCDプレーヤーを停めて
「どう?少しは落ち着いた?」
「うん、良い曲ね。確かに聞いたことがある曲だけど
 こんな風にチャンと聞いたのは始めて。何て曲なの?」
「これはパッフェルベルのカノンって曲だよ。弦楽四重奏
 だね。」
「カノン・・・・?」
「追複曲って意味みたいだよ。ほら、学校の音楽の時間に
 輪唱ってやったろ?カエルの歌が~♪とか、
 静かな湖畔の森の影から~♪とか。
 後から追いかけて来る・・・あれと同じって思えば判りやすい
 かな?」
「へぇ~、カノンってそう言う意味なのね?」
「本当はこんなに単純じゃ無いんだろうけど、その程度しか
 私も知らないんだけどね。」
こんな風に書いて居ますが、彼からの(受け売り)を
そのまま書いて居るので間違っていたらごめんなさい・・・。

カノンを聴いて少し落ち着いたのは事実でしたが、やはり
心の中のモヤモヤとした(何か)は消えてはいませんでした。
私はお茶を入れ直し、彼との他愛も無い会話の中に
いましたが、その時ふっとあることが私の脳裏を過ぎり
ました。
それは、元のセピア色した生活に戻っても、彼の存在を
感じさせる何かが欲しかったのです。
でも、それが具体的に何なのかが判りません・・・。
しばらく彼の話をボンヤリと聞きながら考えていると、
「どうしたの?なんか上の空だけど・・・・」
「う~ん・・・さっきの話し。だけど上手く考えがまとまら
 なくて・・・・」
「まとまって無くても話してみてよ。」

私は素直に今の自分の気持ちを彼に伝えました。でも、
「難しいね・・・それは・・・」
「うん、判ってる・・・でも、今度はいつ帰って来れるか
 判らないし・・・その間、落ち着いて過す為にはどうしても
 必要に思うの・・・」
「それは良く判るよ。でも具体性があるって事は、その分
 リスクも増えるって事だよ?」
「うん・・・でも・・・・・・」
「昌子はアクセサリーも着けないしなぁ~・・・」
「・・・・・・」
「取り合えず今日は仕方が無いよ。今度帰って来る時まで
 には私も考えておくから・・・それで良いかい?」
「・・・・うん、ごめんなさい・・・。」

曇天の空の下・・・ポツリ・・ポツリっと降り始めた雨の中を
心にワダカマリを残したまま、私はセピア色した生活に
戻って行きました・・・・。


※元投稿はこちら >>
14/03/20 18:36 (oSMd81xJ)
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