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人妻熟女 官能小説

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63
投稿者:昌子
「散らかっているけど気にしないでね。」
そう言いながらドアを開けて、私を招き入れてくれます。
入るとフワッと女将さんの香りがほのかにして、その香り
だけで私は不思議な安心感を感じてしまうのでした。
小さなデスクには、仕事の物と思われる書類やパンフレット
などが綺麗に積まれ、その横には筆記具が揃えて置いて
あります。その事からも女将さんの几帳面さが伺え知れ
ました。

「お仕事、大変なんですか?」
「ううん、ただの組合の会合みたいなものよ。年に1度の
 顔合わせね。面倒だけど断る訳にもいかなくて・・・・
 仕事上のシガラミみたいなものよ。」
女将さんはそう言ってクスっと笑うと、私を椅子に座らせ、
備え付けのポットでお茶を入れてくれました。
小さなテーブルを挟んで向き合って座ると、また女将さん
の顔にまた陰りが広がっていきます・・・。
「あの・・・なにか?」
その私の問いに、女将さんは静かに話し始めました。

「私は他人の事情に干渉しないの。仕事柄そういう癖
 みたいな物が染みついているのね。でも、昌子さんは
 特別なの。それは私ととても似通った人生を送って来て
 いるのが感じられたからなの。もちろん年齢も状況も
 違うわ。でも同じような経験をし、同じ苦痛を味わった
 者にしか判らない雰囲気を貴女は持っていて、とても
 他人事として切り離すことが出来なかったの。」
「・・・・・・」
「余計なお節介なのは判っています。だから私は何も
 聞かないし、貴女は何も説明する必要は無いの。
 私はただ、貴女の心が少しでも癒やせれば、それで
 満足なの。いえ・・その程度しか私には出来ないの。」
「・・・・・・・・・」
「さっきの話じゃないけど、人は様々なシガラミを持って
 います。それは仕方の無いことです。でも貴女のは・・・
 昌子さんのは私と同じ・・・。
 そう、例えるなら 飛ぶ羽根を持っているのに、飛びたい
 青空が目の前にあるのに、両足に付いた足枷がそれを
 許してくれない。どんなに羽ばたいても・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

今まで誰にも理解されないと思っていた・・・話しても
人事として片付けられてしまう・・・ならいっその事、心の
中に封印し、2度と出さないで普通に振る舞っていれば
ささやかな人生がおくれる・・・そう思っていました。
でも、彼と出会い、新しい人生を・・・そう、飛びたい青空が
目の前にあっても、それを許さない古くて錆び付いたクサリ
が私を呪縛し続けているのです。
私を呪縛し続けるクサリ・・・それは生きていく上で選択肢
も無いまま否が応でも掛けられてしまった物・・・。

女将さんが、そのクサリを解いてくれるとは思って
いません。
でも、女将さんの存在、その言葉、その声が心に重く
のし掛かっていたクサリの重さを少しだけ軽くしてくれて
いくのを感じていました。
彼の存在は、新しい人生を示してくれて、曇天しかないと
思っていた私に青空を見せてくれました。そして
女将さんは、私の重くて外すことの出来ないクサリの重さを
軽減してくれています。
私は信仰心を持っていません。でも、もし神様が居ると
したら、どうして取り返しの付かない今になって、彼を・・・
そして女将さんを私の前に連れてきたの?どうして
私にはこんなに辛く当たるの?酷い・・酷いよ・・・・。
どうせなら、そのままそっとしておいてくれれば
良かったのに・・・・。

私は皮肉な巡り合わせに悲しみと怒りが湧いてきました。
でも、それは私自身が生きてきた結果・・・。
神様への気持ちは・・・その怒りと悲しみはそのまま
自分自身に向けられて行き、
そしてそれまで支えてきた心の何かが音を立てて折れ、
波打ち際に作った砂の城が、波に洗われてグズグズッと
崩れて行くように、私の中で崩れていきました・・・。
「・・・・もう」
「うん?・・どうしたの?」
「・・・・もう・・こんな人生・・・イヤ・・・」
「貴女・・・何を言っているの?」
「空を飛べないなら・・・・クサリを解けないなら・・・・もう
 終わらせたい・・・・もうイヤだ!」
「昌子さん・・・あなた・・・・」

その時、私の左頬に衝撃が走りました。
呆気に取られ(え?)と思う間もなく、今度は右頬に・・・。
何が起きたのか判らず、ただ呆然として居る私を
女将さんは冷徹な表情で見下ろしています。
「ひとつめは貴女の事を大事に思っている人の分。
 ふたつめは私からの分。」
「・・・・・・・」
「終わらせたい?甘えないで!人はどんなに辛くても
 どんな状況になっても生きていくの!例え泥水をすすって
 でも生きて行かなければ成らないの!」
私はジーンと熱くなって行く頬の痛みを感じながら
身体が固まり、何も返す言葉が見つかりません。

「どうして?なぜ?その問いに答えを出してくれる人など
 居ません。それでも生きて行くのが人の定めなの。
 理不尽、皮肉、不条理・・・それも人生の一部。
 誰かと比較しても始まらない。人は皆それぞれの人生を
 懸命に生きていくの。
 昌子さん、貴女には・・・貴女にだけは判って欲しい。」

女将さんは私に近づいて来て、私はまた叩かれると
思い、身体をビクッと固めて首をすくめてしまいました。
でも、女将さんはそっと優しく頬を手で包み、
「痛かったでしょ?でもこの痛みを忘れないで。貴女なら
 大丈夫。今までだって気丈に生きてきたのだもの。
 これからだって生きて行けるわ」
女将さんの表情は今まで見たことの無いほど優しい表情
に変わっていました。その瞳には暖かな光に満ちあふれ、
それは私が幼いときに居なくなり、今ではボンヤリとしか
思い出せない(母)を連想させるものでした。

私の身体からは力が抜け、それと同時に涙がポロポロと
溢れ出し、まるで迷子の子供が母親に見付けてもらった
時のように、わんわんと声を上げて泣き始めて
しまったのです。
そんな私を女将さんは優しく胸にいだき、頭や背中を
摩ってくれました・・・・。
女将さんは私を抱き立たせると、ベッドまで連れて行き、
「もう何も言わないわ。好きなだけお泣きなさい。気が済む
 まで私がこうしていてあげているから・・・・」
私は女将さんの柔らかな胸にいだかれ、優しい香りに
包まれながら泣き続けるだけでした・・・・・。


まぶたと頬に冷たい感触を感じて、私は目を覚ましました。
散々泣いたあげく、私は泣き疲れていつしか眠って
しまっていたみたい・・・。
「ちょっと腫れてしまったからしばらく冷した方が良いわ。」
「あの・・・私ったら・・・ごめんなさい・・・」
「ううん、気にしないで。実はね、少し年の離れた妹が
 出来たみたいで私は凄く嬉しく思っているのよ。」
「妹さん?・・・・・」
「ごめんなさい。こんなおばさんの妹だなんて迷惑よね?」
「そんなこと無いです。私も凄く嬉しいです。でも、私は
 女将さんみたいに綺麗じゃ無いし・・・・」
「そういう事は関係無いの。容姿とか服装とか・・・そういう
 表面的な事ではなくて、もっと内面的な事なのよ。
 様々な経験をして今の昌子さんが居る。その貴女の
 人と成りが私にそう感じさせているの。」
「人と成り・・・ですか・・・」
「そう。それに貴女は自分で気付いていないかも知れない
 けど、少し気を使えば充分に魅力的になるのよ」
「そんな・・・お世辞ですよ。今までだって、そんな事を
 言われたこと一度もありませんから・・・」
「表現が間違っているわ。言われたことが無い では無くて
 言われないようにしていた  でしょ?」
「え?・・・」
「私には何となく判るの。人の前に出ず、人の列から
 はみ出さず、人の注目を引かず、出来るだけ存在感を
 薄めて生きてきた。」
「・・・・・・・」
「女将なんて仕事はね、旅館の看板の様な物なの。
 常に凛として従業員にもお客様にもスキを見せては
 イケナイと先代にいつも言われていたわ。
 女将が少しでもスキを見せれば従業員は怠慢に成り
 お客様は苦情を言ってくる。常に監視されているような
 者なの。だからいつもスキ無く綺麗にしていないと
 イケナイ仕事なの。」
「・・・・・・・」
「だからかしらねぇ、明るく振る舞いながら、なおかつ
 極力目立たないように努めている貴女を見てると
 痛々しくて放って置けなくなっちゃうの」
「・・・・・・・」
「あら、私ったら。これじゃ説明になってないわよね。」
明るく笑う女将さんを見て、私は何故か山間にひっそりと
佇む大きな湖を連想してしまっていました。
海のように波立たず、静かに、そして満々と綺麗な水を
貯え、そして何処までも深い・・・そんな光景が私の中に
浮かんでしまうのでした。

しばらくして女将さんはルームサービスで紅茶と
サンドイッチ頼んでくれて、私達は遅い昼食を取って
いました。その時・・・
「実はココに貴女を呼んだのは、ひとつ聞きたいことが
 あったからでもあるの。」
「聞きたいこと?」
「そう、貴女はウチの旅館は快適だったと言っていたわ。
 それは本当にそう思った事なの?」
「それはどういう意味ですか?」
「どう言ったら良いのかしら・・・例えば不思議な感じが
 したとか、変な体験をしたとか・・・・・」
私はあの最後の夜のことを思い出してしまいました。
夜の記憶は殆ど無く、朝には身体中にミミズ腫れ・・・
落ち込んだ彼の横顔・・・出来れば思い出したくない、
忘れてしまいたい記憶が蘇ってきました・・・。
私は(特に何も・・・)と言おうとしましたが、女将さんの
目は誤魔化せませんでした。

「やはり何かあったのね?言える範囲で構わないから
 教えて貰えないかしら?」
私は悩みました。彼に相談もなしに私達の事を第三者に
話して良いものか・・・・と。
でも、女将さんの事です。私達の関係が不貞の関係
なのは、もう感づいている筈です。にも関わらず敢て
聞いて来たのには何か重要な訳があるに違いありません。
私は、
「判りました。言える範囲でお話します。」
そう言って話し始めました。

女将さんが食事を下げた後、私達は愛し合い、一種異様な
興奮の中、記憶も曖昧に成り、朝には身体中にミミズ腫れ
が有った事、温泉に入ると殆ど気にならない程
その腫れは消えてしまった事。その体験で彼は心に傷を
負い、その話題に触れなくなっている事・・・・・。

女将さんは黙って聞き入っていました。私は話し終わると
「・・・・そう、そんな事が。」
「はい・・・・何か心当たりがあるんですか?」
私の問いに、女将さんはふぅ~っと大きなため息を漏らすと
静かに話し始め、
「あのお部屋は普段使っていないの。もちろんチャンと
 手入れはしていましたし、使うに何の支障も無かったわ。
 あの日は貴女たちしかご予約が入っていなかったから
 他の部屋を番頭が用意させていると私も勝手に
 思い込んでいたの。でも、ご紹介様から一番小さくて
 安い部屋を・・と番頭が受けてしまっていて、それで
 あの部屋を用意してしまっていたのね。」
「あのお部屋は・・・なにが・・・?」
「以前は他の部屋と同じように使っていたのよ。でも
 ある日、お泊まりに来たお客様が、
 この部屋だけは泊まりたくない そう言い出して
 しまったの。もちろん直ぐに他の部屋をご用意して
 そちらに泊まって頂いたわ。でも、何故その部屋が
 ダメだったのか判らなくて、お帰りの歳に聞いてみたの
 そうしたら(良く判らない、でもイヤな感じがする。それに
 獣のような臭いがする。)
 そう言われてしまって、もちろん清掃も完璧でしたし
 いくら嗅いでもそんな臭いはしなかったわ。
 私は神経質なお客様だったんだと、その時は余り気にも
 しなかったの。でも、その後もあの部屋にお泊まりに
 なるお客様から、庭で白いウサギを見た。夜にキツネ
 みたいな動物が縁側で寝ていた。そういう事を言われる
 様になったの。」
「それって本当にウサギやキツネだったんじゃ・・・」
「野ウサギだったとしても、夏に白い毛では居ないでしょ?
 白くなるのは雪が降る季節だけ。」
「あ・・・そうですよね。」
「それに、あの辺りにはキツネもタヌキも居ないの。」
「でもあの森ですから、居てもおかしくないと思いますけど」
「私も最初はそう思ったわ。特に悪さをする訳でも無かった
 から。でもある日、昨晩は興奮して眠れなかった。何か
 食事にそう言う食材を使ったのか?とお客様に聞かれて
 しまったの。それに森の動物が騒いでてうるさかった。
 とまで・・・。もちろんそんな食材は使っていないし、
 うちの板長は元々土地の人間ですから、土地の野菜や
 山菜は熟知しています。食べ合わせまで考慮する
 人ですからそんな事は絶対にありえません。それに
 あの部屋が一番森に近いとは言え、そんなにうるさかった
 のなら、他のお客様からも言われるはずですし、私達も
 気が付きます。でもあのお部屋のお客様だけだったの。」

私は何だか気味の悪い感じがして、イヤな寒気に襲われ
始めました。
女将さんは話を続け、
「私は自分で調べようと思ったわ。でも、仕事の合間に
 図書館や資料館に行って調べる時間が無くて、それで
 プロの人に依頼したの。調査は3ヶ月掛かったわ。そして
 その調査結果を見て、私は驚きと納得をしてしまったの」
 
それは、あのお宿の黎明期にまで遡るお話でした。
昔、山を挟んだ集落は、畑を荒らす動物に手を焼いて
居たそうです。種まきや収穫期を問わず作物を荒らされて、
農家としては死活問題だったはずです。
そこで双方の村長が話し合い、マタギの衆を呼ました。
マタギ衆は、山に入ると狩りを始め、次々に動物たちを
撃ち、罠にはめ、瞬く間に周辺一帯の山々を狩り尽くして
しまったのです。
と、ココまでは日本昔話のような内容でした。問題は
その先です。 時が経ち、
都に働きに出ていた一人の男性が故郷に戻り、山道の
中腹に茶屋兼お宿を建てました。それが旅館の初代の
主です。宿と言っても、ただの山小屋ぐらいだった
そうですが、山を越える人達にはとても評判が良く、
宿は繁盛していたそうです。その理由は宿の外にある
温泉。そう、初代はこの温泉に目を付け、そこで商いを
始めたのでした。

商いは順調で、宿も大きくなり人も増えました。でも主は
幸が薄く、最初の奥さんは急死。二人目の奥さんは山に
山菜を採りに行ったまま行方不明。
主は名のある僧を呼んで、お祓いもしてもらったそうですが
三人目の奥さんも直ぐに病死してしまいました。
主は恐ろしくなり、隣の山に住んでいると言うイタコの老婆
を呼び寄せて見てもらうことにしたそうです。
老婆はその場に行くのを凄く嫌がったそうですが、主の
たっての頼みと言う事で、引き受けてくれたそうです。
老婆は口うつしと言う術を使い(私にも良くは判りませんが)
その身体に霊を宿らせて話をする事をしたそうです。

老婆に宿った霊は、この山を治めていたキツネだと名乗り、
「なぜお前達はここに居座るのだ。」と言って来て、主は、
「ここの温泉が皆に評判で、だからここで商いを
 続けたい。」と伝えたそうです。するとキツネは
「妻を亡くしてでも続けたいのか?」と聞き、主は
「やはり祟りなのですか?」と聞き返したそうです。
すると、キツネはしばらく黙し、そしてこう言いました。
「我らを祀る社を建てよ。さすれば商いは許そう。だが、
 子孫を増やすことは断じて許さん。」
そう言い残して、キツネは老婆から出て行ったそうです。

主人は直ぐに社を建て、山の主のキツネを祀りました。
そして契通に妻をめとらず、養子を迎える形で旅館を
続けていったのです。
代替わりを繰り返しながら旅館は存続し、建物も少しずつ
新しく立て直されていきました。そして女将さんも例外
では無く養女だったのです。
では何故、山主のキツネがその場に固執したのでしょう?
それも調査の段階で明らかになっていました。

マタギ衆は山に入り、狩りを終えると水場のある場所に
戻って来ます。そこで身体を休め食事を取り、獲物の皮を
剥いだり、肉を干したりするからです。
そう、その場所がお宿が建った場所であり、社は私達が
泊まったお部屋の直ぐ裏にあったのです。
マタギ衆は水もあり、温泉もあるその場所をベースにして
狩りに出掛けていき、
温泉で疲れを癒やし、獲物の血を洗い流していたのです。

昔々の契が今の、こんにちに至も残り受け継がれている。
そして綺麗で魅力的な女将さんを、その契約が呪縛し続け
ている。
素敵な恋いもあったはず、明るい家庭を夢見た筈・・・
なのに大昔の契がそれを許さなかった・・。
なんて数奇な運命・・・なんて切ない・・・・・・

私の顔を見て、女将さんは
「ダメよ、そんな顔をしては。」
と笑っています。
「でも・・・女将さんはそれで・・・」
「幸せかって言いたいのね?言ったでしょ、他人と比較して
 も始まらないって。これが私の人生なの。それにね、
 養女としてあの宿に引き取られる前に、私は子供が
 産めない身体になっていたの。」
「え・・・そんな・・・・・」
「このお話はお終いにしましょ。ごめんなさいね、貴女にも
 イヤな思いをさせてしまって。私の無理を聞いてくれて
 感謝しているわ。」
「そんな・・・でも、ひとつ判らない事があるんですけど・・・」
「なに?」
「契は守られているのに、どうして私達にあんな事が?」
「判らないの?」
「はい。」
「それは嫉妬よ。」
「嫉妬?」
「これは私の憶測に過ぎないけど、あの山主のキツネは
 きっとツガイだったと思うの。そして貴女たちは深く愛し
 合っていた。だから貴女達の身体を借りてもう一度
 愛し合いたかったんだと思うの。私達だってこんなに
 愛し合っていたのよって・・・それを判って欲しかったんだ
 と思うわ。うん、きっとそう。」
「そうでしょうか・・・・」
「怖がらなくても私がお宿にいる限り大丈夫よ。心配
 しないで。」
「はい・・・それともう一つあるんですけど・・・」
「なに?」
「紹介して下さった話によると、女将さんが食事を運ぶ事
 は無い、と言う話でしたが、何故あの時女将さんが
 運んで来たんですか?」
「何となく胸騒ぎがしたの。だから様子を見に私が運んだ
 のよ。」
「そうだったんですか。」
「結局、何も出来なかったんだけど・・・」
私は女将さんを見つめ、
「女将さんは・・・その・・霊感みたいなものが
 有るんですか?」
「どうかしら・・・でも可能性はあるのよね。」
「可能性・・・?」
「調査の中には、私の生い立ち・・つまりルーツを出来る
 だけ溯って調べて欲しい。という項目も含まれていたの」
「家系図の作成?」
「そう、信憑性は怪しいのだけど・・・でもああいう田舎町
 でしょ?戦争の影響も少なくて、そういう資料的な物は
 意外に残っているのよね。お寺や神社とかに・・・」

女将さんは話を続けました。
家系図は所々不明な部分も多かったそうですが、
溯って行くと、一人の女性に行き着いたそうです。
その女性は神社の巫女として暮らしていて、それと同時に
土地の庄屋さんのメカケでもあったそうです。そして
その女性の祖母にあたるのが、なんと山に住んでいた
イタコの老婆だったのです。
なんて因果な巡り合わせなのでしょう・・・。
老婆の末裔が、今はあのお宿の女将さんだなんて・・・。


日も少し西に傾き掛けてきました。ホテルのお部屋には
西日が注ぎ込んで来ています。女将さんは
「今日は本当にありがとう。お時間を取られてしまった上に
 つまらない話しを聞かせてしまったわ。私から何かお礼を
 しないといけないわね」
「お礼だなんて・・・そんな・・・」
「ううん、何かしないと私の気が収まらない。そうね・・・・」
そう言うと女将さんは黙して私をジッと見つめています。
しばらく私の事を見つめ続け、
そして、全てを理解したようにコクリっと肯くと、立ち上がり
服を脱ぎ始めたのです。
「え?・・・あの・・・・・女将さん・・・・・?」
私の言葉に女将さんは何も答えず、ただ1枚づつ脱いで
行きます。そして全てを脱ぎ、全裸となった身体を私の
前に晒すのでした。
西日に照らされるその身体・・・肌はきめ細かくて透き通る
ように白く、肉付きの良い身体は綺麗なラインを描いて
いて、それは加齢からくる衰えは無く、熟した女性の
魅力に満ちあふれていました。
その姿に見とれていると、女将さんは私に近付き、手を
差しのべてきました。私は何の躊躇も考えも出来ないまま
その手を取ります。そして女将さんに引かれるがまま
立ち上がりました。
立ち尽くす私の服を女将さんが脱がして行きます。
何の抵抗感も感じないまま、私は服を脱がされていき、
裸にされました。
この時、私は不思議な雰囲気に包まれていました。
性的興奮、嫌悪感、そういった諸々の抵抗感が無く、
ただただ(まかせていれば大丈夫)的な安心感に包まれて
いたのです。
ベッドに私を寝かすと女将さんは私を胸に抱き、そのまま
ジッとしていました。
柔らかく、スベスベした乳房に顔を埋め、私はそれまで
以上の安心感に包まれています。そして暗くて重くて
モヤモヤした・・・・そう、心の中の悪しき物が少しずつ
洗い流され、浄化されて行くような感覚を感じていたの
です。
少しずつ、確実に気持ちが楽に成り、そして私はいつしか
深い眠りに付いてしまうのでした・・・・。


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13/09/07 13:48 (8ssGqR99)
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