その晩、久しぶりに夫が私の肉体を求めてきました。
(せめて今日だけは避けたい・・・)
私は、昼間、この部屋で繰り広げられたあの男との淫らな行為をどうしても振り切ることができなかったのです。
こんな気持ちのままでは、とても夫の愛撫を素直に受け入れることなどできない・・・。
すでに、私の肉体は完全に夫を裏切っているといえ、このままの気持ちで夫に抱かれるのは、
まさしく心から夫を、そして子供を裏切るような気がしてならず、私は自然と身体を硬くしました。
しかも、そこは、今日の午前中、あの男が、乱れまくる私の中に二回、精を放ったベッドの上なのです。
そんな私の不貞など、全く疑う余地のない夫はいつものように優しい愛撫を続けています。
完全に拒否の態度を示せないまま、やがて慣れ親しんだ夫のペニスが私の中に入ってきました。
私は、夫の愛を何とか全身で受け止めようと努めました。
しかし、しばらくして私の心の中に大きく広がってきたもの、それは何ともいえない空虚な気持ちでした。
(私は夫を愛している・・・)
何度も心の中でそうつぶやきました。
しかし、夫の一方的な行為が続く中で、その言葉は空しく私の心に響くだけだったのです。
唯一わかったこと、それはあの男が、私の肉体と心に刻み込んだものが、
今、確実に私たち夫婦の絆を引き裂き始め、幸せだった家庭を崩し始めているということでした。
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