『74』
必死に身体をくねったりしてみたが、なかなか思うようにはいかない。
次に幸子は、両頬を挟む典夫の手をどかそうと顔を振り始めた。
しかし、がっしりと掴んだ手が簡単に離れるわけがない。
むしろ、顔を振った事で「バサッバサッ」と幸子の髪が典夫の顔に掛かっていた。
その褐色の髪は柔らかく、芳香系の香りは大人の女を思わせ、典夫の興奮をいたく煽った。
そして幸子が顔を振って髪が乱れた瞬間、典夫の目にあるものが飛び込んできた。
普段は量感のある髪で隠れていたので気付く事はなかったが、幸子の左耳の下、そこに隠れた様にホクロがあったのだ。
それを見つけた瞬間、典夫の抑制していた欲望が弾けた。
「オォ!」
そう叫ぶと、典夫はそのホクロへ吸い付いた。
「キャア!!」
いきなりの淫攻に、幸子は悲鳴を上げた。
気色悪い典夫の唇の感触に、思わず鳥肌が立ちそうだった。
遂に始まったかと、西尾の股間も疼きはじめている。
何とか逃げようともがいても、典夫はホクロへ執拗に吸い付いていた。
「チューチュー」という不愉快な音が幸子を苦しめている。
更に、その音は大きくなっていった。
何と耳の下のホクロに吸い付いていた唇が、這う様に少しずつ上ってきたのだ。
そして目的の位置に着くと、典夫は幸子の耳の中にも吸い付いた。
「いやぁ!!」
卑猥な音が耳の中に響いている。
手足は自由が利かず、顔も固定されて抵抗する事ができない。
そんな状態で、典夫は更にたたみかけた。
口から出した黒みがかった不潔な舌、典夫はそれを幸子の耳の中へ捩じ込むと舐め回しはじめたのだ。
「キャア!!」
ベロベロと舐め回す唾液音は、不快以外の何物でもない。
幸子の悲鳴はしばらく続いた。
そんな声でも、外には漏れていない様だった。
こんな時でも、幸子は家族の事が頭を過るのだろう。
自然と声は抑えていた。
ようやく解放した典夫だったが、これで益々興奮を抑えきれなくなった。
再び幸子の両頬を挟む様に掴むと、今度は唇を重ね合わせようとしてきたのだ。
寸前の所で何とか交わし、典夫の唇は幸子の頬に触れた。
「やめてっ!お願いだからこんな・・・んーんー!」必死の抵抗も、遂に典夫は幸子の唇を奪った。
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