『73』
助けを求める事を断念したとはいえ、もちろん幸子は諦めてはいない。
「あなた達、こんな事して只で済むと思ってるの!?今ならまだ間に合うわ。だから、今すぐ離しなさい!」
「全く、こんな状況でも偉そうに言いやがる。・・・まぁ、それでこそ牧元幸子か。俺が追い求めてきた牧元幸子はこうでなきゃなぁ」
先程は取り乱していた典夫も、今は冷静さを取り戻したようだ。
やはり、説得は通用しそうにない。
「何故・・・何故こんな事をするの!?あなた、親の期待を裏切ってるのよ!親がどんな気持ちで子供の事を考えているか分かってるの!?」
「フン、何が親だ。ただ子供を産んで母親になった、それだけだろ?俺とお前の歳なんて少ししか違わないんだぞ。偉そうに語るんじゃねぇ!」
典夫はそう言うと体を折り重なる様に曲げ、幸子に密着した。
間近で幸子の顔を視姦する典夫、その典夫を瞬き一つせず睨み付けている幸子。
そして、その様子を見ている西尾は興奮を抑えきれないようだ。
いつ典夫の淫攻が始まるか、片時も目を離せずにいた。
「・・・どうだ、今から犯される気分は?」
「いい加減にしなさい。こんな事が許されるはずないでしょ!?」
「ハッ、まだそんな偉そうな事を言うのか?・・・あぁ、もしかしてこれのせいか?」
典夫は、幸子のスーツの襟に付いている弁護士バッジを掴んだ。
「触らないで!」
弁護士の命ともいうべき弁護士バッチを、こんな野蛮な者に触られるのは弁護士として許せなかった。
「そうだ、これが邪魔なんだな。いつまでも弁護士気取りしやがって。・・・じゃあ、これが無くなればお前は只の女になるって事だな!」
「あっ!」
「ブチッ」という音と共に、典夫は弁護士バッチをむしり取った。
そして、無惨にもその弁護士バッチは床に投げ捨てられてしまった。
「何て事するの!」
幸子が、そう怒鳴った瞬間、典夫は幸子の両頬を挟む様に両手で押さえ付けた。
「これでお前は弁護士じゃなくなった。もう俺に説教する資格はないんだよ。・・・幸子、これからお前は只のメスになるんだ。家族の事も忘れて、本能のまま俺達は愛し合うんだよ」
これまで幾多もの淫獣を相手にしてきた幸子だからこそ、この状況は今までとは比べ物にならないほど絶対絶命の危機だと察知した。
幸子は、何とかしようと身体を動かして抵抗を試みた。
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