『55』
幸子に対する想いは、誰よりも強いのかもしれない。
だが、やはり幸子がこんな話を受け入れるはずがなかった。
強姦未遂の次は不貞関係を築こうというのか。
こんな滅茶苦茶な話、幸子に理解出来るはずもない。
ましてや、由英以外に他の男を愛する事などありえないのだ。
幸子は、怒りを通り越して呆れてしまった。
「あなた、どこまで最低なの?あなたに弁護士を名乗る資格は無いわ。・・・もうこれ以上、私の目の前に現れないで!」
幸子は小倉を睨み付け、横を通り過ぎた。
ここまで突き放せば、さすがに諦めるだろうと思った。
しかし、
「・・・フッ、やはり駄目だったか。俺の誘いを断った女は今までいなかったんだが、やはりお前は一筋縄にはいかないなぁ」
小倉は、後ろ姿の幸子にそんな言葉を掛けた。
幸子は立ち止まり、振り返って小倉を見た。
そして、幸子はその小倉の表情が豹変した事に驚いてしまった。
「・・・。」
先程までは、普段から皆の前で見せていた紳士的なものだった。
だが、今の目は以前幸子を犯そうとした時に見せた欲望にまみれたものだったのだ。
「お前が素直に受け入れてくれれば話は簡単だったんだが。・・・まぁ旦那以外の男に興味がないんだから仕方無いか」
「・・・何なの?あなた普通じゃないわ!どうしてここまで私を苦しめるの!?」
「何を今更。以前、言ったはずじゃないか?お前を手に入れる為に決まってるだろう。・・・それより幸子、またいやらしい身体になったんじゃないか?その尻を揉みしだいたあの感触、今でも俺の手の平に残っているぞ」
下品な笑いを浮かべた小倉はそう言うと一歩、前へ踏み出した。
「来ないで!これ以上近付いたら大声を出すわよ」
幸子は本気だった。
この状況で悲鳴を上げれば話が大きくなり、家族に知れてしまう可能性もある。
しかし、今の幸子にはその余裕すらなかった。
それ位、今の小倉には恐怖を感じていたのだ。
やはり最も警戒すべき淫獣、小倉は予想の範囲を超えていた。
小倉は、本気で幸子を性奴隷へと堕とすつもりなのだ。
幸子は身構え、小倉から目を離せずにいた。
だが、そんな幸子に小倉はフッと笑い、意外な言葉を発した。
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