『34』
この日の幸子の服装は、いつもと少々違っていた。
上が黒のレザージャケット、中には白のインナー。
下は濃い目のジーンズで中にベージュのストッキング、靴は黒いエナメル素材のハイヒールサンダル。
いつも弁護士として着るフォーマルな服装と違うのは、それと同時に大人の色気も感じさせる服装だという事だ。
田舎の学園祭にしては少々張り切りすぎた服装になったが、似合っている幸子だった。
二人は、校舎の中へ入っていった。
すると、男達の視線はいきなり現れた年増の女へ一斉に向けられた。
来客はもちろん、生徒達も幸子の美貌に釘付けだ。
幸子に対する卑猥な感情は、世代など問わないのだろう。
(誰だ、この女?・・・いい身体だ)
(うわぁエロっ!・・・こんな女が初体験の相手だったらたまんねぇだろうなぁ)
それぞれ淫らな妄想にふける獣達。
だが、隣を歩く男が旦那である事は明らかだ。
男達は溜め息を吐き、現実へと戻った。
「じゃあ、まず晶を探しに行くか?」
由英の言葉に、幸子も同調した。
廊下を歩き、晶を探す由英と幸子。
黒いレザージャケット、その中の白いインナー越しに盛り上がった豊乳が確認できる。
更に、ジーンズ越しにもムチッと突き出た尻が主張している。
そんな幸子に、通り過ぎ様に卑猥な視線を浴びせる男達。
教師も例外では無い。
恐らく、生徒の母親だろうと気付いていた。
しかし幸子に浴びせる視線は保護者として見る目では無く、明らかに性の対象として見るものだった。
そして二階へ向かおうとした時、幸子は今日一番の激しい視線を襲う相手に出会う事になった。
スーツの上に白衣を着込んでいる姿から、理系の教師ではないかと推測した。
だが、それ以上に幸子が気になったのは男の反応だった。
幸子を見た瞬間、その男は驚いた表情を見せたのだ。
まるで以前から幸子の事を知っていて、幸子だと気付いたかの様な反応だった。
もしかしたら何処かで会った事のある人物ではないかと記憶を辿ってみたが、思い出す事は出来なかった。
しかし、それも当然かもしれない。
見た目は地味、それでいて小柄で細身の体型では存在感を現す事は難しいだろう。
幸子はその男の存在を忘れ、二階へ向かった。
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