『24』
特にYシャツだけになった事で、隠しきれなくなった豊満な胸の膨らみに男は釘付けだった。
しっかりと量感があり、それでいて揉み応え十分な乳房なのだろうと妄想せずにはいられない。
それだけではない。
ソファに座り、L字形になった尻から太ももにかけての肉付きも負けず劣らずだ。
これだけの身体なら、きっと膣内の締まり具合も絶品に違いない。
(ぶち込みてぇ!)
男の顔が、そう言っていた。
今でも、あの男の淫らな視線を思い出すと身震いしそうだった。
これからこんな相談者が現れる度に、いちいち気にしていても仕方ないのだが。
幸子は、改めて由英の妻で良かったと心の底から思った。
数時間後、幸子は出掛ける支度をしていた。
スケジュール表では、清蔵の会社へ行く予定のようだ。
スーツを着込み、せっかく主張していた豊乳は隠れてしまった。
「それじゃあ行ってくるわね」
「行ってらっしゃい」
弥生の見送りの言葉を聞き、幸子は事務所を出た。
階段を下り、駐車場にある車の鍵を開けて乗り込もうとした。
その時、ある人物が階段を下りてくると幸子を呼び止めたのだった。
典夫だった。
「先生、お電話です!」
「えっ!?」
何故このタイミングなのだろう。
(全く、間が悪いわね)
幸子は仕方なく、また二階へ上がっていった。
事務所へ入ると、受付にいた弥生が受話器を幸子に渡した。
幸子のデスクにも電話はあるが通常、外部からの電話は受付の固定電話にかかってくるようにしていたのだ。
「もしもしお電話代わりました、牧元です」
しかし、既に電話は切れた後でプーップーッという音だけが受話器に響いていた。
「・・・切れてるわ」
「え、本当ですか?」
弥生も驚いた表情を見せる。
「弥生ちゃん、どなたからの電話だったの?」
「え・・・すいません、電話に出たの私じゃなくて大橋さんなんです」
「えっ!?」
驚くのも無理はない。
普段、弥生に任せっきりの男が電話対応をした事など一度もなかったのだ。
それが何故、今回やる気になったのか。
全く読めない男だ。
「大橋くん、どなたからの電話だっ・・・あら、まだ来てないわ」
一体何をしているのだろう。
つくづく不快な思いにさせる男だ、幸子がそんな事を思っているとようやく典夫が戻ってきた。
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第二章 妻として、母として