『23』
しかもYシャツの裾はスカートの中に入れている為、Yシャツ越しから窮屈そうに豊乳が張っているのを確認できる。
(ふぅ、これでだいぶ楽になったわ)
幸子は、再び仕事に戻った。
しばらくすると、事務所のドアが開いた。
男の様だ、幸子と同年代位だろうか。
受付の弥生と何やら話をしている。
すると、弥生は幸子の元へ向かった。
「先生、ご相談にいらっしゃった方が・・・」
「そう、通して」
幸子は一旦、仕事を切り上げた。
「どうぞ、こちらに」
幸子はデスクの隣のソファへ招いた。
身なりから、少々遊び人だという事が分かる。
しかし仕事は仕事だと、幸子は割りきって対応した。
「それで、今回はどういったご相談で?」
話は単純だった。
この男は既婚者なのだが、浮気をしてしまったらしい。
しかも一度や二度ではないのだとか。
さすがに我慢出来なくなった妻が、遂に離婚を決断したのだという。
だが、この男はまだ妻に未練があるらしく離婚はしたくないというのだ。
つまり離婚を取り下げ、和解出来るようにしてほしいというのが今回の依頼だった。
当然、幸子は呆れた。
ふざけるな!、幸子はそう怒鳴ってやりたい気持ちだった。
実際、以前の事務所にいた頃はこういった依頼を断った事もあったのだ。
男の理不尽な都合に、何故協力しなければいけないのか。
元々、幸子が弁護士になったのもそんな男達に屈しない為だったのだから当然といえば当然だった。
もちろん、その後で上司にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。
しかし、今回はそうもいかなかった。
下手に依頼を断れば、悪い噂が広まりかねない。
ようやく事務所経営も波に乗ってきた今だからこそ、重要だった。
こんな男に協力するのは幸子のプライドが許さなかったが、幸子にとって家族との生活が保証される事の方がやはり大切なのだ。
その後、話し合いを終えて男は帰った。
どうやら、幸子の技量であれば協議中に何とかなりそうな内容だった。
納得はいかないがこれも弁護士の仕事と自分に言い聞かせた。
だが、幸子が納得いかない理由は他にもあったのだ。
女遊びの激しい男が幸子を見て、何も思わないはずがない。
男の軽薄さを感じずにはいられないもの、それは幸子に対する視線だった。
それは他の男達同様、卑猥なものだ。
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第二章 妻として、母として