『15』
事務所開業から数日が経った。
まだ通常の仕事の依頼は無いが、顧問弁護士としての仕事は山積みだった。
最初が肝心なだけに、しばらくは忙しそうだ。
その幸子を、卑しい視線で狙う典夫と西尾は存分に堪能していた。
特に典夫は、幸子を間近で視る機会が多かった。
容姿は当然だが、声や仕草までも典夫にとって興奮材料になっていたのだ。
(今日も相変わらずいやらしい身体だなぁ。あぁ幸子!こんなに大きくしやがって、どうしてくれるんだ!)
今日の幸子は黒いスーツとパンツ、中には白のシャツとベージュのストッキング。
そして、黒のハイヒールと身体のラインが確認しにくい服装だ。
だが幸子の熟れた肉付きはそんな事などお構い無しに誘惑し、典夫の剛棒をいきり立たせていた。
そんな事情もあり、典夫は仕事そっちのけで幸子を視姦していた。
最初から警戒していた幸子も、全く気付かないわけではなかった。
さすがに、最終目的が自分を陥れようと計画しているとまでは予測していなかったが・・・。
それよりも、幸子の悩みの種は典夫の仕事に対する姿勢だった。
幸子の見込み通り、弥生はよく気が利き要領もよかった。
しかし、典夫は電話の対応や資料の整理など仕事のほとんどを弥生に任せていたのだ。
とはいえ、幸子も清蔵の会社の顧問弁護士だという弱味があり典夫に強く言う事が出来なかった。
(全く、どうしようもない男だわ。彼女が積極的にやってくれてるっていうのもあるけど。・・・まぁ一年経てば辞めさせても問題ないんだからもう少しの辛抱ね)
幸子は、そう自分に言い聞かせた。
それも、典夫の計算の内だとは気付かずに。
気を取り直し、幸子は仕事を続けた。
数時間後、真剣な眼差しで仕事をする幸子に弥生が一息つくようにとコーヒーを持ってきた。
いつもの事だった。
弥生は少しでも手が空くと給湯室でコーヒーを入れ、幸子に持っていくのが日課になっていたのだ。
こういった所も弥生を評価する部分なのだろう。
「先生、一息どうですか?」
「ありがとう弥生ちゃん」
白いコーヒーカップから、注いだばかりの湯気が立っている。
幸子は書類に目を通しながらカップの縁に唇を添え、一口飲んだ。
温かいコーヒーが喉を通り、心地よい気分になる。
それからしばらく経ち昼食の時間も迫ってきた時、幸子が立ち上がった。
典夫は、それを見逃さなかった。
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