『13』
朝、仕事に追われている者ならよくある事だ。
しかし幸子は今朝、隣に住む女性との会話を思い出していた。
息子は無職で家にいる、それならカーテンを開ける位できるはずだと幸子は思った。
(せっかくこんないい空なのに勿体無いわね)
だが、それ以上気には止めなかった。
隣の男など気にする暇はないのだ。
幸子は仕事に戻る前にもう一度、空を見上げ気合いを入れる事にした。
幸子は気付かなかった。
今、自分の視野の中に典夫以外の卑猥で怪しげな視線の存在を。
正面のカーテンで隠された部屋の中、陽が入らず暗さが目立つが夜とは違い身動きはとれる。
その部屋の中では、何かが響いていた。
静まり返った深夜であれば、幸子の耳にも届くのだろう。
「・・・ハァハァハァ!」
それは、明らかに淫欲の塊そのものだった。
幸子からはカーテンが閉め切っているように見えるが、実はわずかに隙間があった。
ほんの数センチ、しかも室内が暗いのだから幸子が気付くはずもない。
そのわずかな隙間から、幸子に卑猥な視線が送られていた。
「ハァハァハァ・・・牧元幸子!」
肥満体と呼ぶに相応しいその人物は、下半身を脱いでいる。
股間には、幸子の方向を目掛けて剛棒がいきり立っていた。
その剛棒を力強く握り、扱く様子からかなりの興奮状態である事が分かる。
隣の住人、西尾佳彦に間違いなかった。
この男も幸子の美貌に狂わされた一人、淫獣だったのだ。
西尾は片方の手で剛棒を扱き、もう一方の手は鼻に押し付けていた。
その手に持っていたのは昨日、幸子から手渡された名刺だ。
幸子の豊満な乳房に密着していたというだけで西尾には御馳走だった。
上品な香りもまだ残っており、更に西尾の剛棒を膨らませた。
何年もの間、引き込もっていた西尾にとって幸子の出現はこれ以上ない刺激的なものなのだ。
その西尾は限界を悟った。
「幸子っ!・・・幸子!」
名前を叫んだ瞬間、剛棒からおびただしい量の精液が吐き出された。
「ハァハァ・・・」
西尾は、呼吸を乱しながらも快感に酔いしれていた。
幸子という女はこんなにも理性を失わせる程、狂わす魅力があるのかと恐ろしくさえ感じた。
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