『5』
幸子は由英と結婚し、晶を産み何の不満も無い生活を送っていた。
そんな幸子に唯一、不安な事があった。
それは淫獣ともいうべき男達の存在だった。
幸子が男達の淫らな視線を感じているのは今に始まった事ではない。
恵まれたというべきなのか生まれ持ったこの美貌のせいで気付いた時には男達の淫らな視線は幸子を苦しめていた。
それは幸子が結婚して既婚者だと分かっていても変わる事はなかった。
男達には幸子が人の女だという事など関係なかったのだ。
視姦だけならまだよかった。
その中には実際に幸子を狙おうとする男達までいた。
だが、そこは持ち前の気丈さでそんな事をさせなかった。
普通の女なら恐怖で抵抗もできないのだろうが幸子は違った。
視姦する者には睨み返し手を出そうとする者にも決して負けなかった。
その生まれ持った気の強さで今まで男達に対抗してきたのだ。
しかし、そんな幸子にも限界が来ていた。
いくら男を撃退してもすぐに新しい男が幸子に迫ってくるのだ。
これでは切りがない。
幸子自身、自惚れているわけではないが自分の美貌を呪ったほどだ。
このままでは家族まで巻き込んでしまうかもしれない、家族が一番大切な幸子にとってそれだけは避けたかった。
そんな時だ、幸子にある一つの目標が生まれた。
それが弁護士になる事だった。
弁護士になれば卑劣な男達にも対抗できる。
自分の為だけではない、世の中には自分と同じように苦しみ泣き寝入りするしかない女性もたくさんいる。
そんな女性達を救う為でもあった。
気丈で女としてのプライドが高い幸子は弁護士になる事を決意した。
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