『31』
「パリンッ!」
ガラスの割れたような音がした。
幸子は思わず身体がビクッと驚いた。
振り返ると、小倉の手にあったワイングラスが無くなっている事に気付き、下を見た。
下には割れたワイングラスの破片が飛び散っていた。
小倉のその行動に驚き幸子は一瞬、動きが止まってしまった。
その瞬間だった、幸子はグイッと何かに引き寄せられる力を感じた。
その力に抵抗したが遅かった。
気付くと幸子は小倉の目の前に立っていた。
状況を理解するのに時間はかからなかった。
幸子が割れたグラスに気を取られた瞬間、小倉はその腕を幸子の腰に廻し自分へ引き寄せたのだった。
「ちょっ、離して!」
だが、幸子の怒鳴り声に逆らうように小倉は更に幸子の身体を引き寄せた。
抵抗するが、体格差があり思うようにいかない。
いつの間にか二人の身体はぴったりと密着していた。
「いい加減にして!こんな事して只で済むと思ってるの!?」
幸子は密着した身体を離そうと必死にもがいた。
しかし、やはり男女の差は大きく、その辺にいる男なら何とか抵抗できる自信があったが小倉は意外にもがっしりとした体格で幸子の負けん気だけではどうにもならなかった。
「目の前で見ると本当にいい女だ」
小倉は目と鼻の先にある幸子の顔をまじまじと眺めた。
興奮しているからか幸子の腰に廻している腕に一層力が入り身体が押し付けられた。
幸子の身長は百六十前後で小倉は百八十前後、幸子は下から小倉を睨み付けて抵抗している。
小倉の視線は幸子から離れなかった。
顔を隅々まで視姦し鼻息が幸子の顔にかかっている。
淫らな視線は下へ移った。
丁度、小倉の鳩尾の辺りに幸子の胸があり、グイッと押し付けると柔らかくボリュームのある感触が服の上からでも堪能できた。
スーツの中に着ている白いシャツは一番上のボタンが開いている。
中を覗こうにもさすがに谷間までは見えなかった。
だが、首筋から胸元にかけての艶のある白い肌は更に下にある豊満な乳房までそうであろうと妄想を激しく掻き立てた。
幸子は下腹部の辺りに違和感を感じた。
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