『25』
それから何度かスーツが傷む度に由英が新しい濃紺のスーツを幸子にプレゼントしていた。
今回は四代目といった所だろうか。
(今日も記念日といえば記念日よね)
幸子は着替えはじめた。
紺のスーツに中は白いシャツ、下もセットの紺のスカートにベージュのストッキング。
スカートの裾は膝下数センチほどだ。
これを着ただけで由英に守られているようだった。
出勤時間が迫ってきたので素早く化粧も終えると黒のハイヒールを履き部屋を出た。
またストーカーが部屋に侵入する可能性も考えたが、ストーカー目当ての物は全て捨てたし侵入してもすぐに退散するだろうと幸子は踏んだ。
いつものように駅のホームでは幸子を視姦する獣達で溢れていた。
まさか、今日でこの極上のオナペットが見納めになるとは誰一人思っていないだろう。
胸の膨らみは絶品、尻のボリュームはそれほどタイトなスカートではないのにしっかりと主張している。
オスの本能なのか男達の股間はいつも以上に熱くなっていた。
幸子はそんな男達から解放される事に正直、ホッとした。
それからいつものように電車に乗り込み最寄り駅で降りると事務所のあるビルへ入っていった。
普段と変わらずに社員達と挨拶を交わすとエレベーターに乗り込んだ。
偶然にもこのエレベーターには誰も乗っておらず幸子はエレベーターの扉を閉めようとボタンを押した。
すると、閉じる寸前である人物が乗り込んできた。
まさかの小倉だった。
「ギリギリセーフ!危なかった~。あれ?牧元くんだったのか。おはよう」
本当に偶然だったのかは疑問だがとりあえず挨拶はした。
「おはようございます。何階ですか?」
「じゃあ十五階を頼むよ」
その会話以降、小倉は言葉を交わしてこなかった。
普段なら有難い事だが、このエレベーターという狭い密室の空間で何も喋りかけてこないのは逆に不気味だった。
幸子はボタンの前に立ち小倉は後ろに立っている。
その為に小倉を確認する事が出来ず、後ろから視姦されているような気がして不安だったがようやく幸子の降りる階に近付いてきた。
しかし、幸子が安心した所で遂に小倉の口が開いた。
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