『21』
ここまで手強いとは思いもしなかった。
初めは単なる幼稚な異常性欲者の仕業だろうと甘く見ていた。
確かに異常性欲者に違いないが幼稚とは程遠い緻密な頭脳の持ち主だった。
幸子にとって一番厄介な相手といってもいい。
幾度となく幸子の頭脳を上回り優位に立つ男に正直、これ以上手の打ちようがなかった。
幸子はこの男には歯が立たないと認めざるをえなかった。
どうやって合鍵を入手したのかなど、まだ疑問はあった。
だが、この男の事だ。
素直に答えるわけがない。
またはぐらかされて終わるのが目に見えている。
完全に手詰まり状態になってしまい幸子は悩んだ。
そんな幸子を楽しむかのように男は更に続けた。
「どうだ幸子。もうお前には俺の女になる選択しか残ってないんだ。家族には内緒にしてあげるよ。だから早くお前のいやらしい身体を俺に味わわせてくれ」
「そうね、自首するなら考えてもいいわ」
幸子は何を言っても通用しない相手に開き直ったのか、自分でも何故そんな事を言ったのか分からなかった。
しかし、思わず口走ってしまったその言葉に男は過剰に反応してしまったのだった。
「本当か!?本当に自首すればその身体が俺の物に!?・・・あぁ想像しただけで興奮してきたぞ幸子!」
興奮のせいで声が震え上擦っている。
その後もこの調子で幸子に構わず卑猥な言動は止まらなかった。
幸子は呆れて溜め息を吐いた。
明後日にはここを離れてこんな男ともおさらばだ。
だが、幸子は何故こんな男に目を付けられてしまったのだろうと改めて自分の美貌を恨んだ。
幸子は周りを見渡し散らばっている下着を見た。
こんな男に自分の下着を玩具にされていたのかと思うとゾッとする気分だった。
(・・・あれ?)
下着を見ていた幸子は何か異変に気付いた。
先程は動揺していたせいではっきりと見ていなかったが今は違った。
もっと近くで見ないと確認できそうにない。
幸子は落ちている一枚のパンティを拾い上げた。
すると、中から何かが零れ落ちた。
「きゃっ!」
幸子が驚くのも当然だった。
パンティから零れ落ちた白い液体、それは紛れもなく精液に間違いなかった。
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