『14』
寮の近くにまで尾行てくる者もいて当時は大変だった。
それでも世間の関心が変わるのは早く、新しい素人美人が出てくる度にどんどん切り替わっていき幸子の存在も忘れられていった。
そんな事があってからは事務所も重く受け止め幸子にはメディアに出す事を止めたのだったが、未だにストーカー被害に遭い幸子を悩ませていた。
だが、今まで数々の身の危険を感じてきた幸子だからこそ自分なりの対処法を身につけていた。
普通の女と違い気の強さは折り紙付きだ、ひ弱そうな男には威圧だけで遠ざけていた。
もし襲われたとしても健康的な豊満体の幸子なら多少の男が相手でも抵抗できる自信があった。
何より男達に屈したくない強い思いが幸子を支えていた。
今回も恐らくそんな男の仕業だろうと思った幸子は走って角を曲がると待ち伏せた。
大概の男はこれで警察に突き出してきた。
もちろん、無茶な事はせず弁護士として適切な対処を心掛けていた。
しかし、男は一向に現れなかった。
(おかしいわね)
幸子は来た道を確かめた。
すると人影はなく男の気配も無くなっていた。
単なる勘違いだったかと幸子は気を取り直しまた歩き出した。
だが、しばらく歩いていると再び何者かの気配を感じたのだった。
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