しかし、こんな時ほど予定外の仕事が飛び込んでくる。
残念ながらサボる暇がない。藤沢が辞めた分、既納先の担当が増えたからだ。藤沢の下地造りが良かったため、藤沢が辞めた事を残念に思う取引先から世間話になり、良好な取引が続けられたからだ。
おかげで達成施策金が毎月支給された。
残業(営業だから手当てが無い)で帰りが遅くなり、嫁さんは一応起きて待っているが晩御飯を用意したら寝てしまう孤独な生活が続いた。
給料が増えたからか『せめて体に良くて、美味しい物を』と嫁はあちらこちらの評判の惣菜が多くなった。
さすがに家でUSBを見るにもいかず、仕事が落ち着くまで我慢した。 日曜日も接待ゴルフで、ろくに自分の時間が取れなくなってきた。
USBの存在自体を忘れ始めた頃に、嫁から時間を作って欲しいと出勤前に話をされた。
今夜こそ早く帰るからと嫁に言って家を出た。 しかし、夕方に棚卸し数量が間違っていたため納品が足らず、取引先から大クレームが入り、同業他社の在庫を調べ、悔しい思いをしながら発注し、隣の県の取引先の現場に行き、監督にお詫びと納期を伝えたが、本社にも説明しろと、また戻って部長とお詫びに行ったりして、結局日付が変わってから帰宅した。
帰宅途中に携帯を見ると嫁から何度も電話が入っていた。
家に入ると嫁は既に寝たようで、ラップに包まれた酢豚がテーブルに置かれていた。
疲れきっていた俺は、冷蔵庫から缶ビールを取り出し飲みはじめた。
嫁は何の話だったんだろか?子供の事?嫁ね母親の体調?等いろいろ考えていると、知らぬ間に寝てしまっていた。
目が覚めた時は、朝の7時過ぎだった。
嫁も寝坊?家の中を探したが子供も居なかった。俺は何が何だか解らずとりあえずシャワーだけ浴びて、酢豚を冷蔵庫に入れて出勤した。
出勤途中に嫁の携帯に電話をしたが電源を入れていないようだった。
嫁の実家に電話したが、誰も出なかった。
ちょっと心配になったが、何かあったなら電話が入るだろうと、仕事についた。
第一部 完
ママ友の親睦会DVD編作成のため、強制完にしてすみません
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