知美から連絡がやっとあった。妊娠はしていなかったが糜爛を起こし、まだセックスが出来ない状態らしい。しかも藤沢のチェックが厳しく自由に出られないから、俺にも浮気はするなと言ってきた。
その公衆電話からの翌日に、藤沢が退職願いを提出した。友達の不動産関係の仕事を手伝うらしい。
藤沢は今の仕事に関係の無い宅建主任の資格を持っていた。
俺の読みは今までの取引先に土地などを斡旋するんじゃないかと思った。勿論会社は全面的に慰留に務めた。それでも意志が堅く覆せなかった。 そのまま翌月の15日まで、俺や他の同僚に既納先の引き継ぎ業務をこなし、俺は一番最後の週に同行した。
正直気まずい車内であったが、藤沢は仕事の話しかせず取り越し苦労と思っていた。
藤沢の最後の勤務の夜に送別会を行った。
藤沢は最後の挨拶で涙ながらに、『本当は辞めたくない。しかし友達との約束で仕方ありませんでした。わがままですみません』と深々と頭を下げた。みんなからの拍手でお開きになり帰路に着いた。
今日はさすがに電車で帰宅で駅に向かう途中藤沢に呼び止められた。
『先輩、最後に一軒付き合って下さいよ』と藤沢が笑顔で誘ってきた。 俺は『俺は明日も仕事だから、ちょっとだけなら』と言うと藤沢さは『じゃちょっとだけ』と最寄りの居酒屋に二人で入った。テーブル席が満席で野郎二人でカウンター席に並んで腰掛け、俺はハイボールで藤沢は生ビールを飲んだ。
藤沢『先輩、今までいろいろと、公私共にありがとうございました。』(公私…)少し引っかかったが『いや藤沢の実力と人徳だよ』とかお互いにおだて合っていた。
そうこうしていると藤沢が『実は内の奴浮気してたんですよ』と突然切り出した。
平静を装ったつもりの俺は『ラブラブだったのに?』
藤沢『最初は俺の為に浮気したとか言ってたんですけど、それも訳わかんないっすよね!で平行して違う男とも浮気してやがったんですよ』
俺『で、どうなったんだ?』
藤沢『いゃあ結局別れるさい輪姦されて写真とられて、殺してやろうと思ったけど、連絡つかずですよ。』
俺『そうかぁ…そんなことがあったのか』と聞き返すと、藤沢は続けて『先輩は、あの綺麗な奥さんが寝取られた事が無いからわかんないっすよね?めちゃショックですよ。』
俺『内のは俺にベタ惚れだからなぁ』
藤沢『内もそうでしたよ。先輩も気を付けた方がいいですよ。』
※元投稿はこちら >>