深夜12時過ぎに現れ、中村さんは客室の風呂を使う。帰ってきて、テレビを見ながら夜食を食べ、話をして、3時には寝る。
このローテーションが確立された僕達。気がつけば、2ヶ月が過ぎようとしていた。
中村さんは3着しか着るものを持っていない。彼女なりに考えて、同じものは続けて着てこない。それでも、すぐに元に戻ってしまう。全部がヨレヨレだ。
僕は家から着れそうな物を持ってきてあげた。それでも、女性だからすぐに底をつく。あるものに目が向いた。お客の忘れ物だった。
1ヶ月は保管するが、後は破棄する。余程の高価なものでないと取りに来た試しはない。そこで、使えそうな物を物色。
下着も、ちゃんと洗濯してあるので渡した。中には、奇抜な物もあるが。中村さんは持って帰った。
僕の方にも変化はあった。忙しい時には仕事を手伝ってくれて、深夜は2人でヒソヒソ話。やられたのは、夜食をキッチンで作ってる時の後ろ姿。
前回も書いたけど、体つきはイヤらしい。胸は大きい、お尻も負けずに大きい。そんな主婦の後ろ姿。気にならない方がウソだよなぁ。
もうひとつは、客室用のセットを作る姿。バスローブやベッドシーツを折りたたんで、掃除のおばさんに渡せるようにセットを作るのも、僕らの仕事。
かなりめんどくさい。前屈みになって、折りたたむから、たまにヨレヨレのシャツから中村さんの胸元が見えるのだ。
男だから、気がつかれないように覗いちゃうわなぁ。これも楽しみの1つとなってしまった。
気がつけば、彼女が来るのを楽しみにしてる自分がいた。
そして、その日が来てしまった。
平日の深夜、お客などほとんど来ない。そんな中、いつものようにセットを追ってくれてる中村さん。日課のように、当たり前に胸元を覗いていた。
眠たかったのもあって、ボォーと見ていたのだろう。中村さんがこっちを向いていることに、全然気がつかなかった。
彼女が胸元を押さえて隠す。それでも気がつかなかったくらいだから。「見てたやろー。」、その一言で目が覚めた。何が起こったのかも、よくわからなかった。
「えっ!?」、ようやく気がついた。(ばれた。)
「言わなかったけど、いつも見てるよねぇ。」と笑いながら言われた。ばれてたのだ。
ここは引けない。そう思った。いける自信はあったから。「そりゃ、毎晩会ってたら好きにもなるわ。」と言い放ってやった。
中村さんは動じてなかった。「わたしのこと?」とむしろうれしそうだった。
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