続き
俺とタイ子さんは特別な関係であり、タイ子さんはそれを忘れている。
俺はそう言ったが、正確には違う。
タイ子さんが思い出さないように俺が巧みに騙していたんだ。
そう今日のこの日のために。この計画のため、3年近く巧妙に騙したのだった。
俺とタイ子さんとの関係は、15年以上前に遡る。
タイ子さんとは、15年以上前に顔見知りで、むしろ濃密な時間を過ごしている。
何しろ、タイ子さんは俺の初恋の人だった。
俺の実家は現在某県にある。しかし俺は昔この近くに住んでいた。
親の仕事の都合で15年前俺は某県に引っ越していったが、引っ越す前はよくタイ子さんと会っていた。
まだ俺が6歳の頃、当時はアパートに住んでいて、隣の部屋に住んでいたのがタイ子さんだった。
両親とも共働きだった俺は、学校から帰るといつも一人だった。
そんな俺を見て、タイ子さんは夕方まで俺を部屋に招いてくれお菓子をもらったりしていた。
タイ子さんは36歳。当時からスナックを経営していたので格好は派手だった。
細身でスタイルが良く、大きな目とふっくらした唇が特徴の美人で、
性格は男勝り、ちょっと口が乱暴だったがハッキリ物を言う潔さがうけて、スナックの人気は上々だった。
タイ子さんの家には中学生の娘さんがいたが、旦那さんはいなかった。
どうやらバツ2らしく、両親がそう噂しているのを聞いた。
スナックママという職業柄、タイ子さんの近所での評判はいいものではなかったが、
俺に優しくしてくれるから慕っていたし、俺の両親とも仲良くなっていた。
そして俺に異性というのを初めて感じさせてくれたのもタイ子さんだった。
俺はまだガキだったが、タイ子さんの家で過ごすうちに何とも言いようのないモヤモヤした想いがつのっていった。
中学生の娘さんには何も感じないのに、タイ子さんだけは特別で、
タイ子さんに触ってみたい、身体の色んな所を触りたいと気になって仕方がなくなった。
そう、ガキの俺はタイ子さんに想いを寄せてしまい、人生で初めて女性を性の対象として意識した。
俺の初恋は、淡い想いから次第にどす黒い欲望へと変わっていった。
続く
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