支店長の挨拶で宴は始まりました。
基本的には各営業マンのテーブルに自分の顧客を案内することになっており、それぞれのテーブルに会社の上層部が張り付きます。
私の顧客はまだ当社との取引が少ない人ばかりで、高齢化が進む農家の中ではまだまだ働き盛の50代が多い状況です。
私のテーブル担当の上層部は総務部の山崎という部長で、直属ではないにせよ、やはり妻の嫌いな私の上司の一人でした。
私は、汗だくになり肉や野菜を炭火で焼き、妻も皆さんにビールや焼酎を注いで回りました。
山崎部長といえば、普段顧客と接していないせいか対応が分からないらしく、卑屈な笑顔で挨拶をしてまわり、私に対して「オイ、肉が足りないぞ!もっとジャンジャン焼かなきゃだめだろ!」と上司である事をPRしていました。
他のテーブルを見回すと、古くからの当社の顧客が多く、年配の方も若い方も紳士的な感じでそれぞれが楽しんでいました。
最初は始めて見る私の妻に緊張したせいか、顧客の皆さん達は大人しかったのですが、「いやあ、佐藤さんにこんな綺麗な奥さんがいたとはな」「オメーもなかなかやるな」だんだん打ち解けてきました。
妻は少し照れながら、「そんなことありません、今後ともよろしくお願い致します」と言いながら酒を注いで廻りました。
そのうち「奥さんも飲めるんだろ~」「オラ、飲めよ!」などと言われ、少しびっくりして私の顔を見ましたが私が頷いたため、勧められるままに酒を飲んでいました。
宴は進み酒もかなり入り、私のテーブルは私が恐れていた状況になりつつありました。「アンタの旦那、ホント使えねーんだよな。機械一の事あんまりわかんねーし、壊れても直せない」「おうおう、買って下さいしか言えねーんじゃないか、ギャハハ」・・・お客さん達はこぞって妻に、私の無能ぶりを自慢するかのように話し出しました。
妻も愛想笑いを浮かべながら、「そうなんですか、すみません。主人をよろしくお願いします」などと言いながらも、皆さんの話を必死に聞いていました。
私はいたたまれなくなって席をしばらく外し、会場の皆さんにお酒をついで廻ったりしていました。
2時間ほど経ち、副支店長の挨拶で宴は終了しました。
私は自分のテーブルに戻ると、12人居たメンバーのうちの7人が私と妻を入れてカラオケスナックに2次会に行くことが決まっていました。
私は後片付けもあるので、辞退させて欲しいとお願いしましたが、「お前が居ないから、奥さんと約束したんだ。お前は片付けが終わってから来い!」と言われました。
「すまん、気分悪いかと思うが大事な顧客だ、気分を損なわせないよう頼む!」哀願する私に対し、妻はかなり不安そうな顔をしながら頷き、「お願い、早く着てね。」と言い残し、彼らと消えていきました。
一時間ほどで片付けを終えて、指定されたカラオケボックスに急いで行ってみると・・・
そこには私の顧客である農家のお客様が7人と、支店長の重田・副支店長の皆川・営業部長の黒田の3名おり、妻を合わせて11名で奥のボックス席で盛り上がっていました。
そして奥の席では妻が、着ていたはずのカーディガンを着ておらず、細い肩紐だけのワンピース姿で肩を抱かれ、もう一人にはスカートを少し上げられ足を触られているところでした。
私は何故かこの場に出て行くのはマズイと思い。咄嗟に隠れてカウンターの端っこの席に座りました。
すると、60歳位のたっぷりと化粧をした醜悪な顔のママらしき女の人に「一人?水割りでいいの?」と聞かれ、「はい」と答えてしまい、ここから離れらなくなってしまいました。
少しすると、カラオケがかかり顧客の一人と妻がデュエットを始めました。
その顧客は50代の中盤で佐々木さんという大農家の方です。
曲は私の知らないものでしたが、妻は必死に歌っており、佐々木さんは妻をホステス同様の扱いで、肩を抱いたり、腰を抱いたり、そしてお尻を触ったりとセクハラ三昧です。
妻は顔をしかめながらも、愛想笑いを絶やさず、必死に頑張っているようでした。
曲が終わり席に戻ると、妻は皆さんのお酒を作って廻り、グラスを置こうと体を伸ばす度に顧客や副支店長らにお尻を触られたり、スカートをめくられたりと見た目にはセクハラOKのホステスにしか見えませんでした。
そのうち今度は違う顧客に肩を抱かれ、指先で首筋や耳を弄られているらしく、嫌がっているような『ゾクゾクッ』とした時のような表情をしていました。
《まずいな、、あんな事までされては、、、やんわりと拒めばいいのに・・》
見た目のわりには男性経験も少なく、男の扱いには慣れていない妻を心配そうに見詰めていると・・・・
ママさんが近づいて来て、「あの女性、このままでは危ないわねー。断ることを知らないんだから。どんな関係だか知らないけど、あいつらの言いなりになってたら、娼婦に落とされてしまうよ。」などと言うのです。
「そうなんですか」と聞くと、私の顧客たちはみんなお金持ちの農家で(それは私もしっていた)毎夜毎夜飲み歩き、女の扱いにも慣れており、これまでも娼婦に落とされ辞めていったホステスも居たとのことであった。
「あれは素人の女だねえ。40くらいかねえ、今までの女は萎びたおばさんばかりだったからねえ、今回はちょっとこの町では見られない上玉だよねえ、あの男達も本気だね!見てみなよ、あの目つき・・・でも、あの女綺麗な顔してマゾの気があるねえ、きっと。 くっくっく、時間の問題かねえ、かわいそうに。」と不気味な笑いをされるのでした。
何人かの方とデュエットを歌わされ、妻は席に戻りました。
席に戻ると妻は皆さんに酒を作るように言いつけられ、遠くの席にグラスを置こうとする度にふざけてお尻を触られたりスカートをめくられている姿は、セクハラOKホステス同然でした。
ただし、妻の美貌や肉感的な身体が、この場末のスナックには場違いな雰囲気であることを除いては。
お酒を作った後は、隣の顧客に肩を抱かれながら指先で首筋や耳を弄られているようで、悩まし気な目つきで遠くを見詰めるその顔は、苦痛のような感じているようにも見える表情になっていました。
妻もかなりの量のお酒を飲まされ、隙が出始めているような感じがしたその時、こんな田舎のあの年代の男達が何処で覚えたのか、王様ゲームが始まりました。
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