第2話
「麻衣さんの旦那さんって、来週から出張なんでしょ?じゃあ、絶対大丈夫よ。来週セッティングしておくから、夜、絶対来てよね」
昼の会合の最中、リーダーである真由美が麻衣に迫ってきた。どうやら麻衣が他の主婦に話したことを、さっそく聞きつけたようである。麻衣は夫が来週から海外出張であることを黙っているつもりだったが、あの嫉妬深い夫から解放される喜びから、つい仲のいい主婦の1人に喋っていた。
「で、でも・・。やっぱり私、夜は・・」
「だって、これ逃したら、もう夜は行けないでしょ? 1回ぐらい、いいじゃない。ね?」
「・・はい。じゃあ、お願いします。あんまり遅くなると困るんですが・・」
「大丈夫よ。夜6時から9時ぐらいまで、たぶん3時間ぐらいだと思う。麻衣さん、ドタキャンは無しよ」
こうして、麻衣は初めて夜の会合に参加することになった。翌週の日曜日、夫の和彦が麻衣の身を心配しながらも、海外出張に出かけていった。直前まで和彦から出張について来て欲しいと頼まれていたが、せっかくだから1人でゆっくりしたいと麻衣は頑なに断っていた。その晩、自宅でくつろいでいた麻衣に真由美から電話がかかってきた。明後日、火曜日の夕方4時に迎えに来るとのことだった。それを了承した麻衣は、夜の会合が少し楽しみだった。この何年かは夜に出歩いたことも無く、久しぶりに独身に戻ったかのような開放感を感じていた。
そして、火曜日の夕方。約束の時間通りに真由美がやって来た。
「麻衣さん、じゃあ行きましょうか。今日都合がついたのは、この3人だけだったけど、大丈夫よね?」
もう1人の主婦は裕子(ゆうこ)であり、それを見た麻衣は一安心していた。裕子は麻衣より2つ年上の31歳で、麻衣がこのマンションの中でも一番親しくしている主婦友である。お互いにまだ子供がいないこともあり、昼間2人で出かけることも多かった。裕子は麻衣ほどの胸の大きさは無かったが、スラッとした美人で、2人で街中に出かけると男にナンパされることも度々あった。
「麻衣さん。私、今日のこと楽しみにしてたのよ。麻衣さんの旦那さんって、束縛きついでしょ?たまには息抜きしないとね」
裕子にそう言われリラックスした麻衣は、3人でマンションを出てタクシーに乗り込むと、街の中心部へと出かけていった。
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