(………続き)
* 妻とアサミちゃんが相当な言い争いをした電話の後に、私は妻の様子が気に
なり、居間に行きました。
私「随分と穏やかじゃない様子だったけど、何かあったのか…?」
眞澄「あのアサミさんて人、随分と変わってるわ。先日の事で、何か勝手に思い
込んでいるみたいで…わざわざ家にまで、電話を掛けてきたりして失礼な人だ
わ。子供じゃああるまいし、大人の礼義ってものがなさ過ぎよ!」
私「お前とタカシ君が、あんまり仲良さそうに回ってたもんだから、嫉妬でもし
たんだろう…若い娘なんだから、それ位分かってやれよ。
それに偶々でも一緒にコースを回ったんだからさ、あんまり事を荒げるのは良く
ないと思うよ。」
眞澄「あなたには関係のない事なんだから口出ししないでくださる…それにもう
二度と会う事のない人だから、勝手にすればいいわよ。」
珍しく妻が私に反抗して来ました。
私は、こんな事で夫婦喧嘩をするのもくだらないと思い、
私「まぁ、大人の対応でな、大人の対応…」
ところが、翌日もそのアサミちゃんから電話が着たのでした……
夕食を終え、居間で9時からのNHKのニュースを見ていると、家の電話がなりま
した。
私「はい、城之内(仮称)ですが…」
アサミ「……あのぉ、度々すいません…アサミですが、奥さんいらっしゃいます
か……?」
私「…はい、ちょっと待ってよ…」
私「おい、…また、アサミさんからだけど…」
眞澄「…えっ、何よ、またぁ…しつこい人だわねぇ、全く…」
私はまた穏やかならぬ雰囲気を感じたので、自室に引っ込みました。
アサミ「…度々すいません…あのぉ、私、昨日言いすぎました…謝ります、許し
てください…」
眞澄「…あなたとは、もうお話しする事ないわよ。今更、謝られたってねぇ…あ
なた、昨日、私に何て言ったか覚えてるのかしら?」
アサミ「…えぇ、大変、失礼な事を言ってしまって…ですから、こうしてお詫び
の電話を…」
眞澄「あんな失礼な事を言われて、はい、そうですかってお答え出来ると思う?
思い出したくもない、酷い言葉使ってらしたわよ…」
アサミ「…本当にすいませんでした…私、年甲斐もなく、カァッとなってしまっ
て…本当にごめんなさい…」
眞澄「…まぁ、そこまでおっしゃるなら…分かりました。お互いにこれ以上は止
めましょう。いつまでも、気まずい思いするのも良くないものねぇ…」
アサミ「ありがとうございます、ホッとしました。……あのぉ、それで…また、
ちょっとぶり返す訳ではないんですけど…もう一点だけ教えて欲しいんですけ
ど……」
眞澄「…えっ、何かしら?」
アサミ「…昨日の電話で、奥さんが「今週末…」って言ってましたよねぇ、そ
れってどういう事か、確認したくて……」
眞澄「…昨日の電話でそんなこと言ったかしら?私、よく覚えてないわよ…」
アサミ「…いいえ、確かに言いました。「今週末が楽しみだわ…」って、はっき
りと言いました。」
眞澄「あらっ、またそんな言い方をするのね…だから、私からはもうあなたとお
話しする事なんかないから、もし、聞きたい事があるんなら、彼氏に確認してく
ださいな…」
アサミ「そう思って、タカシに確認したんです。だけど、彼はいくら聞いても何
にも話してくれないんです…だから、こうして、嫌だったけど奥さんに伺ってる
んです……」
眞澄「あら、そうなの…タカシさんが何にも話さないのなら、あなたが心配する
ような事は何にもないんじゃないのかしら…?」
アサミ「…そんな単純な事じゃあないんです…昨日の奥さんの話しとか、ゴルフ
場の様子とか、私だってバカじゃないんだから、何となく想像がつくんです!」
眞澄「も~う、本当に困った人だわねぇ…とにかく私からは、これ以上あなたと
お話しする事はないので、切りますよ…」
アサミ「ちょっと、ちょっと待ってください!きちんと自分の言った事に責任
持ってください!あなたの無責任な言葉でこんなにも悩んでるんですよ!」
眞澄「…悩んでるって、ご自分で勝手な想像して、私に因縁つけてるだけでしょ
う?大体、あなたと彼氏の問題で、私には関係の無い事じゃないかしら?だか
ら、お二人で解決されたらどうなの?」
アサミ「…そうです、私とタカシの問題ですよ。…だけど、そこにあなたが勝手
に絡んで来て、話しを複雑にしてるんじゃないですか!」
眞澄「また、そういう失礼な言い方をするのね。勝手に絡むってどういう事かし
ら?」
アサミ「ですから、あなたが彼におかしなちょっかいを出さなかったら、こうい
う事にはなってないって事です!心当りありますよね!」
眞澄「ですから、昨日も言ったでしょ。あなたの彼から誘って来たのよ。嘘だと
思うなら、彼に確かめてごらんなさいな。」
アサミ「…分かりました。…それで…今週末って一体いつなんですか?正直に教
えてください…」
眞澄「あなた、そんな事本当に知りたいの?知っても大丈夫なの?」
アサミ「…えぇ、大丈夫です。そのために電話したんですから…」
眞澄「…分かったわ。明日よ、明日彼と逢うのよ。」
アサミ「…やっぱり…逢うって、どこで、何時に逢うんですか?」
眞澄「そんなこと、あなたに話す事じゃあないわ。」
アサミ「…絶対、絶対に変な事しないって、約束して貰えますか?」
眞澄「…あなたも本当に言葉遣いを知らないのねぇ、変な事って一体どういう事
なの?」
アサミ「…だから、タカシを誘惑しないでって事です!この前みたいに…」
眞澄「そんなこと、あなたに言われる筋合いはないわよ。私は彼のお誘いに応じ
ただけなんですからね…でも、あなたの彼って結構エッチみたいだものねぇ…」
アサミ「…また、…どうして、そうやって人の気持ちを弄ぶような事言うのよ!
私、やっぱり昨日言った事取り消さないわ!あんた、最低よ!牝豚以下だわ、あ
んないいご主人が居るのに、タカシみたいな若い男にちょっかい出して、止めて
よね、色気違いみたいな真似は!」
眞澄「あなた、完全に私を怒らせたわね。本当にどうなっても知らないわよ。そ
こまで失礼な事を言うなら、あなたが想像している通りの事をやってあげるわ
よ。タカシもそれを望んでるようだしねぇ…」
アサミ「…だから、人の彼氏を呼び捨てにしないでって言ってるでしょ!それに
あんたみたいなだらしない体した年増にタカシが本気で興味を持つとでも思っ
てるの!バカじゃないの!」
眞澄「それがねぇ、そのだらしない体をあなたの彼氏は大好きみたいなのよ…あ
のねぇ、女性はね、若けりゃいいってものじゃあないのよ、…いいわっ、あなた
がそこまで言うんなら、「女」としての格の違いをたっぷりとタカシに教えて差
し上げるからね。もう、後悔したって遅いわよ。明日は、家で嫉妬にでも狂って
なさい。」
アサミ「…ふざけんじゃないわよ…オバサンのくせして、絶対、絶対、ただじゃ
おかないからね‼」 ……………
結局、昨日以上に険悪なやり取りでした……
そして、私は明日の妻とタカシの逢瀬の様子を知りたい欲求に駆られていたの
でした……
(続く………)
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