それからしばらくは、
何事もなく、慌ただしい日々が続きました。
そう、あの日までは、
「純くん、今月の保育園の父兄会、今度の金曜にやるんだって、また子供達をお願いネ。
終わったら電話するから
よろしくネ!」
父兄会!一瞬ショッピングモールでの彼女の話が過ぎった。
「あぁ父兄会っていつものやつねわかったよ。」
声が少し上擦った、
俺は、少し考えてから
「なぁ、その父兄会って俺も行ったらまずいのかな?」
(戸籍上、まだ他人だし)
「えぇ?今からだと厳しいんじゃないかな~来月にすれば、一応は聞いてみるけど」
妻は、だれかに電話をかけた。おそらく父兄会の幹事かだれかだろう。
「もしもし、〇〇さん裕美だけど・・・」
「ごめんね~実は、彼氏が・・・」
「そうだよね~、うんわかったじゃ金曜に・・・」
電話を切って妻は、
「やっぱり無理ぽいって。いつも人数多いから、大変なのよ、
来月は人数に入れておくって」
「なぁんだそうか、わかったよ」
そんな訳ないだろう、20人が21人になったところで問題無いだろう、むしろ店の方は大歓迎のはずだが、あまりしつこくするのもなんなので、そこまでにした。
父兄会の当日、仕事から帰ると、妻が身支度を整えて待っていた。
「じゃお母さん行ってきます」
「なるべく早く帰って来なさい」
俺は、妻を車で、父兄会の居酒屋まで送って店の前で下ろした。時計を見ると、7時前だった
妻の実家にすぐに戻り、子供達と妻の両親と夕食を頂いた、義父にビールをすすめられたが妻を迎えに行くのでと断った。本当はおもいっきり飲みたい気分だったが・・・
食事を終え、子供達を風呂に入れてから2階で少し子供達と遊び、子供達を寝かしつけて下に降りました。台所で義母がお茶を入れてくれ、しばらく話をしました。俺の頭の中はショッピングモールでの友紀ちゃんママの話が妻に入れ代わりぐるぐる回っている、義母の話などほとんど上の空で、ふと台所の時計を見ると10時になるところだった。
普通の宴会なら2~3時間でお開きになって、
その後二次会と言うのが定番、俺の知る限り今まで妻は父兄会の二次会には行かず、俺が迎えに行ってた、今日は違うのか?明日は妻は休みだ、そう言えば、いつもより化粧が濃く無かったか?
我慢の限界だった。その時義母が、「裕美遅いわね、まだ電話来ないでしょ?」
「俺、ちょっと迎えに行ってきます。もし、電話あったら向かってると伝えて下さい」と言い、
俺は、妻の車で居酒屋に向かった。何を焦ってる、大丈夫、どうせまだ飲んでる、落ち着け、でも、もし居酒屋にいなかったらどうする!一軒一軒カラオケ屋を捜すのか?
(当時、携帯電話はあったがまだまだ値段も高く俺も妻も持ってはいなかった、俺は仕事で使うポケベルを持っていただけだ)
やはり、さっき送って来た時に無理矢理にでも父兄会に参加するべきだったのか!
普通に走っても10分程の居酒屋までの時計がこんなに永く感じた事は無かった。
やっと居酒屋前に到着した。
車のデジタル時計が22:27と緑色にうかんでいる、
車を路肩に止め、
エンジンを切る、
シートベルトを外す手が小刻みに震えてる
掌を見ると汗がにじんでいる、
背中や脇もジットリとした嫌な汗を感じる、
落ち着こうと煙草に火を点け、深く息を着く
「!!」シマッタ!
これは妻の車だ!慌てて外に出る、妻の車は絶対禁煙!普段はたとえベッドの上でも何も言わないが、車だけは極端に嫌がるのだ。
ハッチを開けドアをバタバタさせて換気を数回する、
「何、やってんだ俺?」
バカバカしい事やってる自分に苦笑する、おかげで冷静さを取り戻した。
晩秋の夜風が汗ばむ体に冷たく刺さる。
居酒屋の扉を開けると、ムッとする熱気と、うるさい程元気な、「いらっしゃいませ!」の声。
「あの、〇〇保育園の父兄会は?」と聞くと
「ハイ!、奥のお座敷でございます!」と言われ、案内される。
トイレに続く廊下の横に襖があり、中はかなり盛り上がっている様子だ。
父兄会はまだ続いている様だ。自分の心配は、取り越し苦労だった?。
襖を開けると煙草の煙りと物凄い熱気だ、ずいぶんと細長い座敷だな、かなり奥まであって、30畳以上は有りそうだ、鰻床の座敷に20数名が座っていた。妻を捜す視線に見覚えのある派手なスーツが目に留まる、あの保険屋の友紀ちゃんママが目ざとく俺を見つけると、
「純一く~ん!こっち、こっち」
「裕美~!白馬の王子様のお迎えよ~!」
(おいおい止めてくれ)
友紀ちゃんママの視線を追うと、彼女の隣がメタボな親父、その隣が、例の貴ちゃんママ(なるほどメタボがパパさんか)
その隣が案の定、美容師の小畠、その隣に?!裕美!!
(何故だ!どうして?奴の隣に!)その時店員がグラスとおしぼりを持って来て、
「お飲みものは、何にいたしますか?」と聞いてきたので、
「あっ!車なので、烏龍茶を」
と言ったら。奥で、友紀ちゃんママが、
「烏龍茶も氷もこっちにあるからグラスそのまま持って来て!」
と言い、自分のグラスとバッグを持って立ち上がると両側の人達に、
「ハイ、一人入りますからズレて下さい!」と言い、裕美の方に、
裕美と小畠の間に割って入り、
ドスの効いた声で!、
「ほら!ズレなよ!」
と言いながら、なんと!タイトミニから延びるセクシーな左足で小畠の右肩を押したのが見えました。まるでSMの女王様がM男を、足蹴にする様に!
(怖!) え?もしかして友紀ちゃんママって?元ヤン?!
俺はMっけは無いが、
その時、ゾクッとしたのを覚えています。正直この二人のSMショーなら見てみたい気がします。
「白馬の王子様が来たんだから邪魔者は退くの!」
小畠は、言い返しもしないで、「なんなんだよ~」と言ってスゴスゴとズレました。
友紀ちゃんママが小畠の横に座り、俺は友紀ちゃんママと裕美の間に座りました。
裕美が俺に
「なぁ~に~?来ちゃったの~?電話するって言ったのに~」
っと、かなり酔っています。
「あんまり、遅いからお義母さん心配してたぞ。」
長くなりますので、
つづきは続編で。
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