Chapter XⅢ(合鍵はもうひとつ・・・2)
午前中の授業が終わったところで、いつものお弁当タイム。美佳ちゃんがい
ないので、ちょっといつもより静か。最近、いくつかのグループは教室じゃ
なく、上の休憩室で食べるみたいで、移動し始める。那央と稚華美の3人グ
ループと、比呂美のいる4人グループは両方とも上がって行った。
「わざわざ上に行くのって、何か面倒くさそうですよねぇ」とウチのグルー
プリーダーのみどりママに話しかける。
「でも、レンジでチンしたり、自販機あってコーヒー好きな人とかは便利み
たい」「へぇー、でも階段はやっぱり1回でも少ない方がいいですよね…お
互いに…」「そうそう」と、めっきりアラフォーらしい会話になってしまっ
た。
席に座ると横に奈保美が来た。美佳がいないので、ここんところ毎日のポジ
ションとちょっと変わっていた。
食べてる途中で、話題が、今月の女性雑誌の付録が良いとかって会話が始ま
った。
それより前のコレが良かったと、自分の持ってるグッズ自慢話やら…あっ付
録っていったら…とヒラめいたので、「そう言えば、最近よくコンビニとか
で、ちょっとアヤしい付録が入ってる本、ありますよねぇ?」と会話に割り
込む。
「何?怪しいって?またぁ…イヤらしい本?●●サン、買ってるの?」「イ
ヤイヤ!せいぜい手に取るくらいですよ、タイトルがインパクトあって…例
えば、丸の内OLのセクシーパンティ、入ってますとか、フツーの男なら、
たいがい目に入りますから…」と言いながら奈穂美を見た。
ハシが急に止まり、そのまま上目使いでオレの顔を見つめてくる。「どんな
人が買うんだろうねぇ…1回見てみたいわ」と笑いが入る。「じゃあ、コン
ビニでバイトすりゃあいいじゃないっすか、きっと陰キャラですよ…」「だ
よねぇ…」
「ダンナさんが買ってたりしてとか?コレ、今夜頼むわ!なんて…」「そん
なぁ、ウチは絶対ないない!そもそもこのお尻が入らいしねぇ、アハハ
ハ!」と笑い飛ばされた。
ここで奈穂美をサカナにする。「でも●川サンとこだったら、まだ若いから
出来そうですよね!そういうセクシー系、ねっ?」と話を振る。
「えっ?そ、そんなの、ヤダッ、持って無いです。後ろがヒモだけなん
て…」「あれーっ!怪しいなあ、セクシー系って言っただけなのに。何でヒ
モパンって思っちゃったんですか?ひょっとして、今日、それ穿いてたりし
て!」とツッコんでやると返事に詰まり、固まった。
「あれっ?当てちゃった?」「ち、違います!違うんです。違うのっ!」そ
う言ってちょっと涙ぐむ。「それ、ひどいセクハラトークですよ!大丈夫?
奈穂ちゃん」「あっ、すみません。ホント、モロにセクハラですね…ごめん
なさい。●川さん。」「いえ…大丈夫です。急に言われて…ちょっと…」耳
までまっ赤になってしまった。
でもきっと今のトークで、付録の「丸の内OLのセクシーパンティ」は、ジ
ュンと湧き出した奈穂美のおツユで、恥ずかしいシミ付きになっちゃったん
だろうね。それも大きめのヤツで。
話がひと区切りついたところで、食後の缶コーヒーを買いがてら、比呂美グ
ループと接触するため、休憩室に向かう。ここのリーダー格はカナさん35
才。詳しいことは未確認だか、結婚歴あり。
「いつも、このグループ仲いいですよね!」と声かけると「あらっ、昨日が
楽しい飲み会だったのは、▲▲さんがあちこちのテーブル巡って、盛り上げ
てくれたからだって、みんな誉めてましたよ!お疲れさまでした!」と妙に
持ち上げてくれる。回った目的、全然違ってるんですよー!と教えたい気
分。
「いえいえ、大したことしてないですから…」と違う意味での笑い顔で答え
た。「で、話しかけたのは?比呂美ちゃんのナンパ!?ですか?」唐突に振ら
れ、ビックリした顔をみせると、「やっぱりぃ…当たりだった?だって今
朝、仲良さそうに二人並んで歩いてたから。見てましたよ!後ろから。」
「えーっ!たまたまですよ。ねっ?」と比呂美に振ると、うんうんという表
情で首をタテに何回も動かした。
「そうかなぁ…ひょっとして二人でこっそり朝まで三次会とかして、そのま
ま来たのなと思うくらい、いい感じ、でしたよ!」「じゃあ、せっかくそう
見えたなら、カナさんグループ、今日の夜遊びに全員ナンパしちゃっていい
ですかぁ?」と、本題に入る。
「ここの駅にあるホテルの上の階にいいバーがあるんですよ!皆さん一緒
に…」と言ってるのを遮るように、「そんな無理しないで!比呂美ちゃんだ
け誘えばいいのよ!金魚のフンみたいに保護者が行っても邪魔物扱いされる
だけだし、ねっ!」とカナさんが他の二人に目で合図を送った。
えーっ!という顔の比呂美だが、目は完全にOK状態。「たまにはこういう
人と遊んで、結婚しちゃったら、なかなか出来ないんだから!あの時行っと
きゃ良かったって、絶対思う日が来るから!」妙に力説してるカナさんに
「経験者のお言葉!深いですねぇ…」と乗っかる。
「でも、カレシに突っ込まれてもいいように、最初の1杯だけ、付き合う
わ。それで乾杯の写真撮っておけばセーフよねっ!比呂美ちゃん?」「手の
込んだワザ、持ってますね!」「そう、ウチはこれでまず大丈夫だから…」
と話がトントン拍子でまとまった。
「じゃあ放課後、ロビーで!」と言うと、「ダメダメ、せっかくやるなら完
璧じゃないと!まず先に一人で入って一杯頼んでから。
そこに私たちが偶然入って合流し、急用で私だけ先に帰っちゃった。コレじ
ゃないと…」「うーん、なるほど!それだと伝票も別々ですねえ…うまいな
あ…」と感心するが、こうもトントン拍子で話が進むのが怖いくらい。
今日は、まだ後で、奈穂美のパン染みと、ヒモパン姿の撮影もあるし、忙し
い週末になりそう・・・カナさん、ちゃんと帰ってくれるのかも不安だし。
妙につきまとわれても、ちょっとストライクゾーンから外れてるしさ。
比呂美ちゃん一人しか、興味ないしね!
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