「タクミ君は…その…」
なかなか言葉に出来ない。しかし里子は勇気を振り絞って聞いた。
「セ、セックスしたこと…あるの?」
恥かしげに小さく首を振った。
(やっぱり…)
里子は無垢な未経験の少年であるということをはっきりと認識し、間髪入れず里子は質問を浴びせる。
「そ、そう…じゃあ、女の子と、キスをしたことは?」
少年はまた、小さく首を振った。おそらく自分の未熟さが恥かしいのであろう。
(こんな…可愛らしい子なのに、キスもまだなの?)
里子はそういう少年相手に性の相手をしなくてはならないのだと思うと体が震えた。大人の女の余裕など消えかかっていた。
「…好きな子とかはいないの?」
少し考え、少年は首を振った。
「そ、そう…」
「いいの?はじめてがこんなおばさんで嫌じゃない?」
そう言うと、少年が必死な形相で口を開いた。
「そ、そんな事、ないです!会った時すごいきれいな人だなって、思いました…会ってよかったなって…だから…」
「だから?なぁに?」
「あの…その…」
少年は言葉に詰まってまたうつむいてしまった。顔を赤らめている。
「大丈夫よ、思ってる事ちゃんと言ってみて」
「……だから、僕…里子さんとしたいんです。」
少年は素直な気持ちを告白した。はっきりとした口調だった。
ストレートな物言いに里子はドキリとしたが少年の真摯な想いを感じ、里子の心臓は高鳴った。
「ありがとう、嬉しいわ…すごく」
「ほんと?」
そう言うと少年は顔を上げた。
「本当よ…タクミ君みたいな子に、気に入ってもらえるなんておばさんも、まだまだ捨てたものじゃないわね」
半ば本心であった。
少年の想いに、応えてあげたい。里子はそう思った。こをな愛らしい少年が自分を選んでくれたということが、里子の中にほんのわずかだが積極的な気持ちが芽生えさせていた。
(教えてあげたい…)
少し気が楽になった。里子は覚悟を決めた。
「タクミ君…」
少年の目を見据えながら言った。
「は、はい」
少年がどきまぎしながら返事をした。
「いっしょに…シャワーを浴びましょう」
そういわれた途端、少年の体が、ビクンと震え、しばらくしてから少年は軽くうなずいた。
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