里子は少年がようやく和んできたのを見てホッとした。
さらに会話を続けているうちに、少年の緊張が少し和らいだのか、視線が里子の顔だけではなく、豊満な胸の膨らみや量感あふれる太ももへと移動するようになったが、里子は気がついていない振りをした。
里子は自分の体を少年の視線がチラチラと這うのに任せていた。
(ふふ、可愛いわね)
里子は少年と会話しながら心の中で笑顔を浮かべた。少年は自分がどこを見ていたか悟られぬよう、視線を泳がせ誤魔化していた。愛らしいことこの上なかった。
里子は、いかに幼い少年であっても性的興味のこもった視線で見つめられては羞恥をおぼえてしまう。
(も、もしかしてこの子…)
独身時代、高校時代に初体験を終えて以降、様々な男たちと交わってきた。
結婚してからも仕事ばかりで家庭を省みず、かまってくれない夫に不満を募らせ、ついには知り合いから教えてもらった出会い系サイトで知り合った数人の男性と割り切った関係を続けてきた。
そんな里子にとって今の少年の様子、とりわけ里子の体にせわしなく視線を送る様は全く女慣れしていない男の、女体に対する異常な興味を示しているようで今まで会ってきた性の経験がある男達とは明らかに違う。
もちろん思春期を迎えたばかりの少年特有の興味というのもあるのだろう。
里子ある事を考え、思いきって少年にたずねてみた。
「タクミくん」
「はい…」
少年はハッとして里子を見つめた。
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