青年の車に乗り隣の市にある水族館に行った。
子供が未だ幼かった頃に何度か訪れただけで青年と肩を並べ水族館の中を歩く。
夫や子供達に秘密で若い青年と会っている事に対し多少の後ろめたさを感じながらも聡子の胸は何故だか高まって行く。
家族連れやカップルで混雑をする中で、青年は聡子の手をいつの間にか握っていた。
年齢差は有るものの聡子は若かりし頃の甘酸っぱい感覚に酔い始めていて時折、現実に戻ると無意味に頬を染めていた。
水族館を出たのが、昼を少し過ぎた頃。
助手席に座る聡子は青年から、いつ誘われるのだろう!誘われたら何て答えたら良いのだろう!などと思ってしまう。
しかし青年は聡子の思いに反して、そんな事には触れて来なく近くのレストランを見つけると車を停めた。
景色が良く望める席に座り食事をしながら話をする、食事が終わりコーヒーを飲む内に、話は次第に、ぎこちなく成り会話が途切れだす。
青年の雰囲気は聡子を誘いたいのが有り有りと見えて来るが聡子から誘う訳にも行かず、二人は次第に無口になって行った。
「今日の水族館、とても楽しかった。貴方と一緒に来れたのも凄く嬉しかったわ」
会話の途切れた中で聡子が言う。
「帰りが、あまり遅く成るのも困るから、そろそろ近くまで戻りましょうか」
聡子の言葉に青年は多少、焦ったような表情で頷く。
会計を終え外に出ると青年は聡子の手を再び握りしめ車に戻る、他の車の流れに併せるように車を走らせ聡子の手を握って来る。
極端に会話の少ない中でも青年の想いは握った手から伝わって来て、聡子も思わず強く握り返していた。
市の境に着く頃に車は突然に道路を外れ曲がって行く、聡子にも車の向かう方向は直ぐに理解出来た。
「道が違うみたいだけど!何処に行くの」
「ちょっと寄り道して帰りたい」
「寄り道って?」
「あそこに入って良い?」
「えっ!え~ぇ!そんなぁ‥一応、私は人妻なんだよ」
「お願い」
「そんなぁ、お願いされても困るわ‥私」
などと言う内に車は一軒のホテルの駐車場に滑り込んでいく。
「入っちゃった‥降りて部屋に行きましょう」
青年の言葉に聡子は無言でドアを開け青年の後ろに隠れるように後に従う。
入り口のドアを閉め中に入る、いかにもセックスだけを目的とした室内。
「未だ明るいのに、こんな所に来ちゃって」聡子が呟くように言う「聡子さん」
青年の腕が伸びて来た
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