◆第一部最終回
隠しカメラは‥
ベッドの脇で立ったままで見つめ合う二人の姿を映し出している‥
「ぁあ-‥逢いたかったの‥和也‥!」
そう呟いた妻が、
上田君の胸の中へ顔を埋め、
彼に身を委ねながら背中に両手を回し抱きついた‥
「ごめんよ‥一週間もほっといて‥!」
上田君が妻の躰を力強く抱きしめている‥
「ぁぁ-‥
和也‥好きぃ-‥
抱いてぇ-‥‥」
そして‥
画面の中の二人は‥
立ったまま強く抱き合いながら、
強烈なディープキスを交わし始める二人の影を映し出していた‥
‥衝撃の映像‥
寝室全体が映し出された隠しカメラの映像‥
遠目からのカメラが撮らえた妻の真の姿‥
画面の中の妻は、
上田君に躰を密着させ、
彼の首に自らの両腕を絡ませたまま、
彼の唇を夢中で貪っている‥
そして二人は、
お互いの唇をまるで離さぬ様に抱き合ったまま、
ベッドへと倒れ込んでいった。
ここで新たに映像が切り替わる‥
今度は隠しカメラの位置が、
ベッドの宮台左側からの、
二人の姿を撮らえたアップ画像へと切り替わった。
先程迄の映像とは違い、
今度は二人の表情をも、
はっきりと確認する事が出来る程のアップ映像となった‥
仰向けの妻に重なる様に上田君は妻の躰に覆い被さっている‥
目の前に、何時もの見慣れた妻の顔が、アップで映し出されている‥
しかし何故かこの時の私は‥
画面の中に映る妻の映像を観ても、
そこに映っている妻の姿が、
妻で有って妻で無い様な感覚に捕らわれてしまい、
まるで一人のAV女優を眺めてるかの様に、
一匹の雄の眼でその妻の映像を見つめていた。
妻は瞼を閉じ、
私お気に入りのサクランボ色した唇を惜し気も無く上田君の唇に押し付けている‥
お互いが顔を激しく動かしながらの舌の絡め合い‥
互いの口の隙間から差し出された粘ついた舌が、
練っとりと絡み合い、
舌を吸い合う度に、〃ズズッ、ズズッ〃と口元から淫音が漏れる激しいディープキス‥
カメラの映像は、
二人の淫靡な姿を、私の心の中に容赦なく映し続けるのであった‥‥‥
― 完 ―
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