ージロー日記ー
◆非通知着信①
9/10
その日も私は、
何時もの様に週刊誌の締め切りに追われながら、
慌ただしく編集業務をこなしていた。
デスクの上に置いていた携帯の着信音が鳴ったのはそんな時だった。
時刻は15:00を回った所だ。
携帯を開き、ディスプレイを確認する‥
着信画面は非通知の表示を知らせていた。
非通知の着信には普段から出ない様にしていた私は、
その着信を気に止める事もなく、そのまま携帯を閉じたのだ。
その後、10分程経ち、
丁度、部下と編集の擦り合わせの作業をしていた時だった。
再び、携帯が鳴った‥
携帯を開いてディスプレイを確認する‥
ん‥?、また非通知か‥
ふん‥、どうせ振り込め詐欺か何かのイタズラ電話だろう‥
私は勝手にそう思い込み、そのまま携帯を閉じた。
着信音は鳴り続けたままだ‥
「‥編集長‥?
携帯‥鳴ってますが‥
出なくて良いんですか‥?」
部下が訊ねてくる。
「ああ‥これか‥!
別に良いんだよ‥ほっといて‥!
非通知で掛けてきてるから‥
どうせイタズラか何かだろう‥!」
そう言い切った私は少しばかり不機嫌になっていた。
締め切りに追われているこのクソ忙しい時に、下らんイタズラ電話なんか掛けて来やがって‥と思い、そんなのに構っていられる状況ではなかったからだ。
‥‥‥‥‥
その日の業務に何とか目処を付け、仕事を終え会社を後にした時には、時刻は既に19:00を回っていた。
9月も半ばに差し掛かろうと言うのに、気温はまだまだ高く、蒸し暑い外気が一気に襲ってくる‥
ワイシャツの下から吹き出てくる汗が、あっという間に身体中をベトベトに濡らしていく‥
私は、少しでも早くシャワーを浴びたい衝動に駆られながら、
帰宅を急ぎ、青山通りを駅に向かい歩いていた。
内ポケットの中に入れた携帯のバイブが震えたのはその時だった‥
携帯をポケットから取りだし、ディスプレイを確認する‥
非通知だ‥!
又か‥!
しつこい奴だな‥!
イタズラにしてはいささかしつこすぎる‥
その時私は、少しばかりの不安を覚え、電話に出てみる事にした。
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