◆妻の喘ぎ声③
「パパ‥
私‥綾と待ち合わせしてるから、今から支度して、11:00には出掛けるわね‥!」
「あぁ、分かった。それで…
何時頃戻るの‥?」
「うん…、綾と結衣ちゃんと三人で色々と買い物して帰るから、夕方迄には帰る様にしますね…!」
「梨恵は何時頃帰って来るんだい…?」
「梨恵も夕方5~6時には帰って来ると思う…!
パパもそれまで何処かにお出掛けでもしたら…?」
「あぁ…
気が向いたら散歩でもするよ…」
「美味しいお肉買って帰るから待っててね…!」
そう言い終えると妻はそそくさと二階の寝室に去って行った。
これから妻は‥
上田君に逢う為の念入りな化粧とドレスアップに全神経を注ぐのだろう…
私は一人で朝食を食べながら、そんな事を考えていたのだった。
再び妻が降りてきたのは、それから一時間も経った頃で11:00間近の事だった。
いつもにも増して、念入りに化粧が施された妻の顔を見たのは久しぶりの事だ。
我妻ながら‥本当に色気の有る良い女だと思う。
こんな良い女を易々と他の男に抱かせる事に対して、
少しばかり後悔の念に苛まれてしまったのだが‥同時に、
この妻の本気で乱れる姿を見てみたいという強い願望が自分の中に再び蘇ってきたのだった。
妻は私が観たこともない華やかなワンピースを身に纏っていた。
「それじゃぁパパ…行ってきますね…!なるべく早く帰りますのでお願いします…!」
そう言うと、
妻は私の頬に〃チュッ〃とキスをし、
出掛けて行った。
後は‥上田君からの電話を待つしかない‥
12:30‥
私は、
先程からずっと携帯を握り締めたまま、彼からの着信を待っている。
ソワソワとした気持ちを落ち着かせる為に、
ソファーに腰を降ろし、
煙草に火を点けては消してを何度も繰り返している。
今の私には、
愛しい妻の姿に想いを馳せる事しか出来ない…
それが現実だ。
時計の針は既に12:30を指している。
妹の綾子と待ち合わせをしていると嘘をついて出掛けて行った妻…
その妻が出掛けて既に一時間半が経過したというのに、上田君からの着信は未だに入ってこない。
今日は、上田君自身にも、妻とゆっくり過ごす時間など無い筈だ。
今頃は既に、二人でホテルにチェックインしている頃だと思うのだが…?
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