◆媚薬の効き目⑨
「別に楽しくなんかないよ…
しんどいだけ‥!
‥‥‥ 大会間近だから、
コーチのシゴキが段々厳しくなってきて嫌んなっちゃう!」
「梨恵‥そんな風に言っちゃ駄目でしょう…!
二年生でレギュラーになれてるんだから他の子逹の分も頑張らないといけないのよ…!」
「はぃ、はぃ、分かってま~す…!」
娘の様子から察する限り、昨夜の妻の声には気付いていないみたいだ‥
〃ホッ〃と胸を撫で下ろす‥
相変わらず、妻はニコニコの笑顔を振り巻いている。
私は、
そんな笑顔の妻と、昨夜のベッドでの妻の変貌ぶりを思い出し、
改めて媚薬の持つ力と
上田君の凄さを感じていたのだった。
しかし‥今朝の妻は私に凄く優しく接してくれている。
ひょっとして‥
妻の心は私に戻ってきたのかも‥
‥何て考えていた時だった。
「パパ…今週の土曜日、綾が泊まりに来るって‥!
お昼から綾と待ち合わせして、
それから少しお買い物して帰るから夕方になっちゃうと思う…」
綾とは、妻の5歳年下の妹で、
去年離婚してバツ一の、現在独身で10歳になる女の子が一人居る妹‥綾子の事だ。
土曜日は‥
昼から上田君と会う筈だ‥
彼とホテルに行った後に、何処かで妹と待ち合わせをするのだろう‥?
きっと、午後から外出する為の口実を嘘ぶいているのだ‥!
「綾ちゃんが来るんだ…?
随分、久しぶりじゃないか…!」
「結衣ちゃんが梨恵に会いたいんだって…!
随分、会っていないものね…!」
「そうかぁ…!
それなら土曜日は出掛けずに家に居る事にするよ…!」
「え~、そうしてくれると嬉しいわ!
焼き肉パーティー、しましょう‥!」
確か、上田君は、
土曜日の日、
妻をホテルから帰す前に媚薬ゼリーを妻に塗って帰すと言ってた…
帰って来た妻は一体、どうなるんだろう…?
妹が泊まるのなら、夜はセックスは出来ないなぁ…
妻は果たして我慢出来るのだろうか…?
私は夕方にでも、
上田君に連絡をしてみる事にした。
―次話へ続く―
※次回
《迷いと不安①》は新スレッドへの記載となります。
青山ジロー
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