◆新たなる快感⑨
それから一時間近く二人の時間を過ごした私達は、
フロントへ連絡を入れ、
タクシーを呼んで貰いホテルを出た。
時刻は既に18:00を回っていた。
その後、綾子と新宿で別れた私は、
今日の妻の様子と、隠し撮りの事が気になり、
上田君に連絡を入れてみる事にした。
何時もの彼なら‥
妻と別れた後、直ぐにでも連絡を入れてくるのに、今日はまだ上田君からの連絡が無い‥
その事が、少し気になっていたのだ。
携帯に連絡すると、彼は直ぐに電話にでた。
「もしもし‥‥?」
「‥はい‥上田です!」
「青山です‥!
さっきはどうも‥!」
「あ、はい‥いえいえ‥
こちらこそ先程は失礼しました‥!
電話、ありがとうございました。
凄く興奮しました‥!
良子さん、凄かったですよ青山さん!」
「‥そうかあ‥私も凄く興奮したよ‥! ‥‥‥‥‥‥‥ で‥?‥どうだった‥?
隠し撮りは‥? ‥‥‥‥‥‥ 上手く撮れたかい‥?」
「はい、バッチリです‥!
綺麗に撮れてますよ‥!
今、編集をしてたとこです‥!」
「‥編集‥?」
「はい、そうです‥!」
それで連絡してこなかったのか‥!
「‥編集って‥?
固定カメラじゃなかったの‥?」
私は、
編集と言う言葉を彼の口から聞いた瞬間‥
何故か、少しだけ不安な気持ちになってしまった。
「固定カメラですよ‥!
4台、仕掛けてたんです‥!
リビングに1台と、寝室に3台です!」
「えっ‥そんなに!4台も仕掛けてたの‥?」
「そうですよ‥!
4台のカメラで色々なアングルから同時に録画したんです‥
青山さん‥どうせ観るなら、
肝心な所がしっかりと観れた方が良いでしょう‥!」
「そ、そうだな‥」
編集すると言う事は、
妻の恥態が映った映像を、その気にさえなれば幾らでもコビー出来てしまうという事になる。
その事が、私を不安にさせていたのだ。
上田君との信頼関係は、一応自分では築けているという自信を持っていたのだが‥
「青山さん‥!」
「‥んっ‥?
なんだい‥?」
「喜んで下さい‥!青山さんに嬉しいご報告が有ります‥!」
そう呟いた彼の声が妙に弾んでいる様に聴こえていた‥
―次話へ続く―
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