◆綾子の告白⑥
取り敢えず私達は勘定済ませ表に出ると新宿の街並みを二人で歩きながら近くのカラオケBOXに向かったのだった。
駅近くのカラオケBOXに入店した時には、時刻は既に20:00を過ぎていた。
若者で賑わう店内は既に満室に近い状態で、
僅かに空室が一部屋残っていただけだった。
受付を済ませ案内された部屋は、
三人掛けのソファーが一つ備え付けられただけのかなり狭い部屋だ。
しかしまぁ-、
今日はカラオケを楽しみに来た訳では無いし、
部屋の狭さは気にしない事にした。
二人で並んでソファーに腰掛け、
テーブルの上に用意されたメニューを二人で眺めながら、
好みのワインと軽食を選びオーダーした。
先程までとは違い、今は綾子と隣同士で並んで座っている。
カラオケBOXの狭い部屋で‥
扉の一部にはめ込まれた透明なガラス‥
しかしそのガラスの大きさは、
外から室内の様子をはっきりと覗き見る事が出来ない様な作りになっている。
外部から遮断された空間に今私と綾子は二人っきりだ。
おまけについ先程、私は綾子から好きだと告白を受けたばかりです。
この状況はまるで、不倫のカップルが人目を忍んでこっそりとデートをしている様に感じてしまう。
多分、綾子も私と同じ気持ちの筈だと思う。
私の視線に映る綾子の横顔‥
赤い紅が塗られた唇が妖しく濡れている‥
透き通る様な肌から覗く白いうなじ‥
花柄のワンピースの下に隠れた豊かで張りのある乳房‥
綾子の躰から発っせられる甘い香りが私の理性を壊し始め、先日と同じ様に、
心臓の鼓動が段々と速くなり脈を大きく打ち始めている。
周りの部屋から聴こえてくる若者達で盛り上がる歌声や拍手喝采の音が室内に響いている‥
注文したワインが運ばれて来ると、
私達は改めてグラスを合わせ乾杯をした。
綾子は正面に置かれたテレビ画面をただじーっと見つめたまま無言でワインを口にしている。
私はワインを口に運びながら、
理性が壊れてしまわない内に先程の話しの続きを綾子に尋ねてみる事にした。
「ところで‥
綾ちゃん‥!
話したい事って‥何‥?」
「‥‥‥‥」
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