◆綾子の告白④
1階~3階が洋風酒場で地下1階がロシア民謡などを唄える歌声酒場になっている、〃どん底〃と言う
居酒屋です。
この店はもう半世紀以上も営業している店で屋号は芝居の、ゴーリキから由来しているらしい‥
店内に入ると、まだ時間が早いせいか、客はまばらだった。
私達は2階のテーブル席に着く。
綾子はカンパリソーダを注文し、
私はこの店オリジナルのカクテルを頼みんだ。
ついでにこの店評判のピザも一緒に注文する。
酒が来るとグラスを合わせ取り敢えず乾杯をした。
今の私達は他人から見ると、きっと仲の良いカップルに見えているだろう。
綾子はグラスを傾けながら物珍しそうにキョロキョロと店内を見回している。
「何か変わった雰囲気の店ね‥!
ジロー兄、このお店よく来るの‥?」
「あぁ、新宿に来た時は大抵来るかなぁ‥
面白い店だろう‥
地下では皆で唄を歌ったりするんだよ。結構、芸能人も来るしね‥!」
「へーそなの~‥
さすが仕事柄色んなお店知ってるのね‥!」
私達はお互いにグラスを空けてお代わりを頼みます。
綾子はジンライムを注文しようとしたのでギムレットを勧めてあげた。
私はシャンディガフを頼んだ。
――――――― ※シャンディガフ
ビールとジンジャーエールを1対1の割合で混ぜた口当たりの円やかな飲みやすいカクテルです。
お酒の苦手な方一度お試しあれ。
※ギムレット
ジンライムをシェイキングすれば呼び名がギムレットに代わるカクテルです。
シェイクするだけで味が円やかになり、飲みやすく女性にお勧めのカクテルです。
―――――――
「綾ちゃん‥
この前の事、本当に怒ってない‥?」
「‥怒ってる!‥
‥‥‥‥‥‥‥ 嘘よ、怒ってない‥!」
アルコールが入り、だいぶリラックス出来たのか綾子の顔から笑みが零れる。
しかし視線は私ではなく、グラスを見つめたままで答えている。
「でも‥
突然だったから驚いた‥!」
「そうだよね‥
いきなりあんな事したんだから‥
あの時は本当にどうかしてたんだ‥!
悪い事したと思ってるよ‥ごめん‥!」
「どうしてそんな風に何度も謝るの?」
「い、いや‥
だって‥そ、それは‥
綾ちゃんに本当に悪い事したと思って‥」
「うそ!
私にではなくてお姉ちゃんにでしょう‥?」
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