◆義妹・綾子⑪
「良子に限ってそんな浮気なんかするわけ無いよ‥!」
私はわざとらしく答えた。
「だから‥もしもよ‥! もしも‥!」
相変わらず綾子の表情は真顔のままだ。
「うーん‥‥?」
この時私は‥
この綾子の様子から、
ひょっとして綾子は今の私達に起きている秘密の出来事の
〃何か〃を勘付いているのでは‥?
と感じ、
言葉を慎重に選びながら綾子の質問に答える様にしたのだった。
「そうだなぁ‥
良子に限ってそんな事は無いとは思うんだが‥
もし良子が浮気をしていたとしても、
多分俺は良子を許すと思う‥!
あの良子が浮気をすると言う事はそれなりの理由が有って
そうなったんだと思うんじゃないかな‥!
特に俺の場合、仕事の都合上、帰りが不規則で良子の相手をまともにしてあげれなかったりするし‥原因を探れば幾らでも有りそうな気がするしな‥!」
私は心にもない事を語りながら、精一杯理解の有る夫を演じてみせた。
「へぇー‥‥?
そうなんだ‥?
ジロー兄って意外と寛大な人なんだね‥!そっかぁー‥!」
意味深な返事で答えた綾子ではあったが、そう呟く綾子の表情からは先程の真剣な表情は消えて、
穏やかな笑顔の綾子の表情に戻っていた。
寛大なんかじゃなくただの寝取られ好きな、変態オヤジなだけなんですがね‥
綾子が媚薬を飲んで既に20分程が経過しているが、今のところ綾子にこれといった変化はまだ表れない。
「あースッキリした‥!
気持ち良かったわ‥綾もお風呂行ってらっしゃいな‥!」
綾子の変化を確認する前に、風呂を済ませた妻がリビングに戻って来てしまった。
「そうね‥
今のうちに浴びてこようかしら‥
ジロー兄‥
直ぐに戻って来るから待っててね‥!
もう少しだけ付き合って‥‥ネ!」
「あぁ‥待ってるから行っといで‥!」
そう言うと綾子は急ぐ様にして浴室へと姿を消して行った。
そして‥
綾子の姿がリビングから消えるのを待っていたかの様に‥
妻は私の隣に腰を降ろすと躰を擦り寄せてきた。
「ねぇ‥綾と二人で何をお話してたの‥?」
私に寄り添わせた
風呂上がりの肌からは、
妻愛用の椿の香りのするボディーシャンプーの甘い残り香が鼻を覆う。
「う~ん‥?
綾ちゃんに彼氏は出来たのかな‥って話をしてただけだよ‥!」
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