徹はみんなと別れると最寄りの駅へと急いだ。
この日の為にアダルトショップで購入していた物をコインロッカーに取りに行くためだ。
鞄の中には…
拘束具に猿轡に使うSM用のギャグボール。それにローションが入っている。
鞄を手に取り、置いていた自転車に飛び乗った。
駅から宏樹の家まで急げば15分ほどで着く距離だ。
(いよいよだな。失敗するわけにはいかない。やってやる。俺にかかればちょろいもんさ!)
徹は軽く自分に気合いを入れインターホンを鳴らした。
『はぁ~い。どちらさんですかぁ?』
友美の声がした。
優しく、まさしく良き母、良き奥さんという感じの声だ。
『あっ。さっきまでお邪魔してた宏樹くんの友達の徹なんですけど…。宏樹くんの部屋に携帯忘れたみたいで…』
徹はできるだけ丁寧にイイ子を演じた。
『あら…わかったわ。ちょっと待ってて、探してくるから。』
『はい。お願いします。待ってますから』。
友美は急いで二階の宏樹の部屋に行きあるはずのない携帯を探した。
(おかしいわね…見当たらないわ…)
それもそのはず、携帯など初めから忘れてないのだ。今も徹のポケットにきちんと入っている。
すべては徹の計画なのだ。
『ねぇ…ないみたいよ。他の場所にわすれてきたじゃないかしら…』
インターホン越しに困った感じの友美の声がした。
『いやぁ、そんなはずはないんですよ。宏樹の部屋でしか携帯いじってないし。どこかにもぐりこんだのかも…俺が探していいですか?』
『そうね…ちょっと待ってて。』
そう言うと友美の足音が聞こえドアが開いた。
ニヤリッと口元が緩んだ徹に友美は気付くはずもなかった。
二人は二階にあがり暫く一緒に携帯をさがした。
『ねっ…ないでしょ…』
『おかしいなぁ…そんなわけないんだけど。あっ!すみませんけど、おばさん携帯持ってますか?俺の携帯鳴らしてくださいよ。』
『あぁ、そうね。そうすれば何処にあるかわかるわね取ってくるわ。徹くん頭いいわね。ウフッ』
なんの疑いもなく笑顔を浮かべ友美は携帯を取りに行った。
そのすきに徹は持っていた携帯をベッドと壁の隙間に…そして鞄から拘束具を出し布団の中に隠した。
携帯を手に友美が戻ってくると徹は当たり前の様に手を伸ばし携帯を受け取って自分の番号を入力しコールした。
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