所長は『今月末に発表だから、ここだけの話だが、奥さんの勤務先の営業所は、来月統廃合で無くなるからこれを機に退職させて療養させてやれよ。会社都合で退職だから失業保険もすぐに出るから。若いうちの病気は早く治さないと引きずるよ』と心配そうに教えてくれた。
その夜、絵里に休んでる事を聞いてみた。絵里は私に心配させないために黙っていたらしい。
ただ、家でゆっくり休んでいると体調が良くなると言うことだった。
退職の話をすると絵里も営業所が遠くなったら通勤と仕事と家事をこなせないし、体調に影響するからと退職を決めた。 今月いっぱいで退職を申し出て、あっさりと受理されて、末まで有給消化でそのまま自宅療養となった。
もちろん病院にも通院して行くらしい。
絵里の体調が本当に心配になって今まで、ろくに取得していなかった個人別休暇の取得を考えた。当社は定休日と個人別休暇が月に2日あるが、営業の私は実績優先で、あえて取得していなかった。出勤してから、その日の状況を見て早退することを所長から許可をもらった。
絵里が有給消化しているある日、午前11時すぎに今日の予定が無くなった為、早退させてもらった。
帰るメールを入れてから昼に帰宅すると、絵里の姿は無くリビングの灰皿には私と違う種類のタバコの吸い殻があった。【来客?口紅が付いてないから男?】と思いながら部屋着に着替え、何の気なしに寝室に入るとベッドのシーツがびっしょり濡れていて、明らかにベッドで絡んだ跡であるとわかった。私は何が起こったのか解らなくなり絵里の携帯に電話を入れてみたが、呼び出し音がしたと思ったら切られてしまい、その後は電源を切られてしまった。
寝室のゴミ箱を見ると男の匂いがするティッシュと昔、お弁当やお寿司に付いていた金魚の形をした醤油入れが見つかった。【絵里が浮気をしている!】とピンときた。 家の中を物色しても、それ以外は何も変わったことがなかった。
マンションには絵里の自転車は在り、絵里が通院している病院に行ったが本日は午後は休診だった。
そんな時、偶然吉田さんが軽トラで通りかかり『あれ!病気?今の時間診察してもらうなら●●診療所しかないよ』と親切に教えてくれた。
私『私じゃなくて家内が通院しているはずなんで迎えにきたんですが』と答えると吉田さんが気まずそうな表情で『奥さんなら、昼前に見ましたよ。ただ…』と黙り込んだ。
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