妻の固まった表情を見ながら続けて『明日の夕方以降にまた来るはずだから、消さないから自分で確認してみなよ』と言った。妻は黙ったままだった。私達は着替えをし出発した。妻はあの映画の時と同じ服装だった。違うのは下着とサンダルくらいだろう。
妻は何かニコニコしていた。【ハプニングバーに行くのがそんなに嬉しいのか?はぁ~。】と私はより落ち込んだ。
落ち込みついでに、『あのハプニングバーのあとは、どうしたの?』と精一杯大人の余裕を醸し出しながら聞いてみた。 妻は『私泣いちゃってたでしょ。ハプバーを出てから駐車場で修介さんに叱られると思っていたら、優しく謝ってくれたの。気持ちが落ち着いてから健二君に遅くなるってメールしてから、食事に行ってからホテルに行ったの』
私『渋滞って嘘ついてオヤジとホテルに行ってたんだ。ビデオも撮らずに』
妻『ごめんなさい。2時頃にはハプバーに入れたの。一時間も居なくて、お好み焼きを食べに行ってきたの。美味しかったから今度健二君と優花と三人で行きたい』と全く悪びれた様子がない。私『俺だけならまだしも、優花にはオヤジと行ったとこには連れて行きたくないよ』
妻『ごめんなさい。』と言うと車内は沈黙が続いた。
妻の指示通りセットしたナビが『目的地周辺です。音声ガイドを終了…』と流れると、妻はマンションの駐車場入口を指差し、『ここに車を停めて』と言われ地下の駐車場に入った。妻が『あの来客専用の空いてるところなら、どこでもいいみたい』とだけ言うとまた黙った。
車を降りて妻の後について歩くとエレベーターに乗った。
8Fで降りると、どう見ても普通のマンションにしか見えない。突き当たりの部屋まで歩く間、表札を見ると怪しげな会社ばかりだった。
てっきりハプニングバーってのはキャバクラみたいなラウンジの入ったビルをイメージしてたから、正直怖さも出てきた。部屋の前で妻がインターホンを押すと、しばらくしてから『どうぞ』と中から男性がドアを開けて私達夫婦を招き入れた。玄関にはスチールラックの下駄箱が置いてあり『お客様用』をみると先客の3組の靴が並べてあった。スリッパに履き替えると玄関すぐの部屋に案内され二人で入った。
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