肉を食い、セックスをして、水で遊んで、疲れたら眠って、水を飲んで、セックスをして。
3日目、百合は受動的ではあったが抵抗なくこの暮らしを送っていた。
洋二が照れくさそうに命じた、俺のちんぽをしゃぶってくれという洋二の言葉にも、ぎこちなくではあったが舌を肉棒に這わせることで
応じた。
あまり気持ちよくなかったであろうその行為に、顔中をくしゃくしゃにさせ喜び、百合を海に連れて行き丁寧に宝物のように身体をぬぐ
ってくれた洋二を見て、なんとなくだが彼の自分に向けられた感情や気持ちが理解できたような気がした。
・・・・コイビト、キョウイクシャ・・・・パートナー?・・・・・
二人の関係の定義が、曖昧なものから確信に変わる出来事が起きたのは、日がすっかり落ちた頃だった。
百合は脂汗を流していた。
この日二度目の食事を終えて暫くした後、胃袋にやってきた新しい住民が既住民を追い出すように強烈な訴えを起こし始めた。
・・・・・ドウシヨウ・・ドウシヨウ・・ドウシヨウ・・・・・
"排出行為を、それも大便をしているところを見られるかもしれない"
この屈辱には、大分薄らいでいる百合の理性が総力で抵抗をしていた。
しかし実は解決策を百合は見つけていた。
"洋二は、互いを曝け出しあった隠し事のもてないパートナーになろうとしている。"
"洋二が私に向ているであろう感情は怪奇なものだが、恋というのが最もそれに近い。"
"洋二の欲求は彼の言うパートナーになりたいという気持ちであって、征服欲や虐待欲ではない。"
彼女が曖昧に今の彼を定義したこれらの事項が、解決策を提示していた。
それでもそれを言い出せないのは、理性の喚起する恐怖心と、自分の定義への曖昧な信頼性からであった。
「・・・・洋二。
・・・・・大きいほうが・・・・・・したいの。・・・・・」
百合が意を決してそう口に出したのは、彼女の理性による我慢が限界に達した後であった。
洋二は百合のほうに寝返ったあと、じっと彼女を見つめた。
「・・・・ねぇ・・・・
う・・・・うんちは・・・・どうしても恥ずかしいから・・・・・・
・・・隠れてしたい・・・ね・ねぇ?・・・・・・」
泣きそうな顔で懇願する百合を見つめていた洋二は、目を瞑り反対側に寝返りをうった。
「・・・・そこで・・・・・そこでしろ・・・・」
そういうと、それ以降百合の必死の懇願を一切無視した。
・・・・・ワタシハショウジキダッタ・・・・・
先ほどからしきりに懇願していた百合は、今は思いつめたような目をして横になっていた。
・・・・・コイツハニゼモノダ・・・・・
新しい”父”、出会ったときに抱いた予感は、時を経れば減るほど確かなものになってきて、この夢の中のような出来事でもそれはそう
だった。
そうした百合の信頼、敬意に似た感は、すべて完全に裏切られたと感じた。
横たわる洋二を憎悪の目で睨む百合の頭には、同じ言葉が繰り返し繰り返し流れていた。
・・・・・チクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチ
クショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウ・・・・・
憑かれたような目をした百合が、獣のような敏捷さで跳ね上がり、燃えカスの木材を拾い、横たわっていた洋二の頭を思い切り殴打した
。
”ゴッ”
殴りつけた後、ありったけの憎悪を込めて洋二に怒鳴りつけた。
「なんなんだよ・・・・なんなんだよお前はぁぁぁ!!」
木材が途中で折れるほどの衝撃で殴られ、百合に睨まれている洋二は、驚きと怯えの目を百合に向けていて声も出ないようだった。
彼の頭からは、血がゆっくりと垂れ落ちていた。
「ちゃんと・・・・ちゃんと、いったじゃないっ・・・・・
お前は・・・お前は、百合を裏切ったっっっっっっ!!」
そう叫ぶと百合は手にした木材で、滅茶苦茶に洋二を殴り始めた。
「ぅぅっ・・・・ぅ・・・・・」
散々殴りつかれたあと、呻き声を出すだけで身体を丸くするだけで殴られるままになっている洋二の様子に違和感を感じた。
「・・・・・どうして??
どうして、何もしないの・・・・・」
「・・・・うっ・・・・
俺が・・・・・悪かったから・・・な・・・・」
丸めていた身体を伸ばして痛みで顔を顰めて、洋二は返答した。
よろよろと身体を起こし、百合の目を見て洋二は続けた。
「・・・・・俺は・・・・・自分の欲求を、正直にお前に言わなかった。・・・・」
手にしていた大分短くなった木材を落としながら百合は怪訝な目を洋二に向けた。
「百合は正直に俺に便意を告げた。
それを邪魔する権利なんて俺には当然・・・ない。うっ!」
身体が痛んだのか、一瞬眉をひそめて言葉を続けた。
「隠し事なく接してくれた百合に、俺が隠し事をしていた。
本当に・・・・すまなかった。」
そういうと、洋二は頭を下げた。
百合は、そういわれると少し泣きそうな顔になり訊ねた。
「・・・・隠し事・・・・って?」
足を放り出したまま、ぽつりぽつりと洋二が話し出した。
百合は痛ましそうな目で、洋二の額から滴っている血の跡を見ながら聞いている。
「君の・・・・君の、しているところが見たかったんだ。
俺は・・・・その、少し変なのかもしれないが・・・・・
好きな人が、恥ずかしそうに、それをしているところが・・・・・・見たくなったんだ。」
"好きな人"という言葉に自分の刻んだ痛みが遷ったかのように眉を顰めさせた百合に、洋二は目をむけ正座をした。
「命令ではなくお願いをするべきだったんだ。
頼む、俺に百合がしているところを見せてくれっ。
変態と蔑まれるのは承知しているが、どうしても、見たいんだ。」
そう言って土下座する洋二に、百合はゆっくりと近づき優しく洋二の額の血を指でぬぐった。
「洋二・・・・痛かった??・・・
ううん、痛いよね・・・・」
そういうと、洋二を起こして首に手を回した。
「・・・・いいの・・・・かな?」
洋二の肩に置かれている百合の頭が頷かれた。
「・・・・変態・・・・・
を、選んでしまったと思い、諦めます・・・・」
「ありがとう・・・・君だけに恥ずかしい思いはさせないよ・・・・」
「・・・ぅぅ・・・・恥ずかしいわ・・・・・」
首輪を外した洋二が、荷物から小さい箱を何個か取り出し百合の手を引き砂浜の外れに向かった。
百合は、これから起こるであろう事への予感に、脚を震わせながらゆっくりと歩を進めていた。
やがて、砂浜のはずれの熱帯性の樹木の葉が屋根を摺るように覆っている場所に着くと、優しい顔で腰を下ろすように洋二が言った。
「恥ずかしい思いをさせてすまないね・・・・・
自分では出来ないと思うから、俺に手伝わせてくれ・・・・」
そういうと、百合に四つん這いになるように伝えた。
「これは、浣腸なんだけど・・・・百合に入れるね。」
言われた百合は、啜り泣きをしながら洋二に訴えた。
「ぅぅぅ・・・せ・・責任とってよね・・・・・
こんなに・・・恥ずかしい思いさせて・・・・・」
「分かってる・・・・俺は、一生君の・・・・・パートナーだ・・・・・」
優しい声とは裏腹に、四つん這いになった百合の尻には何個ものイチジクが注入された。
既に我慢していた百合に、その効果は抜群であった。
脂汗を垂らしながら、百合は狂態を見せつつ言った。
「あぁっぁ・・・出るっ、出ちゃうわっ!!
やっぱりあっちに行ってて!!やっぱり人前でなんて無理ぃい!!」
泣きながら洋二を叩く百合の後ろに回り、洋二は百合の脚を抱えて開脚させた。
「百合、恥ずかしくないから早く見せてくれっ
ほら、出やすくなっただろう?」
あられもない姿になり、顔を両手で覆った百合の菊穴から、黄金色のそれが捻り出され始めた。
「いやぁぁぁぁっ!!出てる、出てるぅ!!
見ないでっ!!いやぁぁっぁ・・・・」
意外なほどの量を出している菊穴を洋二に見られながら、絶叫している百合は自分の陰部が熱くなり始めたのを感じていた。
「百合・・・・本当に・・・本当に・・・ありがとう・・・・」
排便を終えて解放された百合が、ちょこんと座り啜り泣きを漏らしながら自分の便に砂を掛けて隠している背後から、洋二が声を掛けた
。
「・・・ぐすっ・・・・変態っ・・・・・・
責任とってくれないと・・・・酷いんだから・・・・・」
背を向けたままの百合に河野が真剣な声で返した。
「・・・・俺は、この河野って言う下らない血を残したくないんだ・・・・
だから結婚とか、子作りは出来ない・・・そういう手術もしてるしてしまったしね・・・・
しかし、君が望んでくれるなら・・・いや、望まなくても、俺の唯一の特別なパートナーは君だけだ・・・・ほかに誰もいない・・・
俺は君になる、君は俺になってくれ・・・・俺のものは、君のものは、すべて二人のものだ・・・・・
それはこの先・・・・どちらかが生きている間は・・・・ずっと続くものだ・・・・・」
砂を掛け終え抱えた膝に頭を埋めたままの百合を背後から抱きしめ、河野は言葉を続けた。
「それでいいかな・・・・?」
百合が胸の中で頷いたのを確認した洋二は、照れくさそうに言葉を続けた。
「約束だからな・・・・百合も、見ててくれ。」
そう言うと、洋二は百合から少し離れた場所に移動して、穴を掘りそこに気張り始めた。
唖然とした目でそれを見ていた百合であったが、終わった後に照れくさそうに俯いて戻ってきた洋二を見て子供のような笑い声を上げた
。
「ふふふ・・・・はははは・・・・
洋二も・・・・洋二も、うんちしたね・・・はははは・・・・」
顔を赤くして百合の横に腰を下ろし、言いにくそうに次の希望を切り出した。
「・・・・それで・・・・こんなときに、言いにくいんだが・・・・
君のアナルを貰っても・・・・いいかな・・・・?」
頭を上げ下から洋二を睨み上げた百合は、少し怒ったような顔で答えた。
「もうっ・・・変態なのね・・・・・
いまさら・・・・もう好きにしてくださいっ・・・」
喜びを顔中に表現した洋二は、百合の手を引きその場から少し離れると百合を横たえた。
脚を開かせると、先ほどの排便の跡が残る菊穴に舌を這わせた。
「・・・んっっ・・・・やめて・・・汚いわ・・・・」
そういう百合も、腰を少し動かすだけで本気で逃げようとはしない。
「汚くなんてない。こんなにも・・・美味しいよ、百合・・・・」
「きたないよぉ・・・・変態ぃ・・・・あぁ・・・・
私も、洋二のなめるぅ・・・・」
そう言うと頭を挙げ、洋二を四つん這いにさせ、まだそれが付いているアナルに舌を這わせた。
(あぁ・・・洋二のウンチ食べてるぅ・・・・私のウンチも食べられちゃった・・・・)
荒い息でアナルを舐めている百合に、我慢できなくなった様子の洋二がお礼をいい、再度百合のアナルを愛撫し始めた。
アナルへの愛撫を終えて、陰部への濃厚で緻密な愛撫が始まると、明らかに淫らになった声を百合は発し始めた。
「あぁぁ・・・あぁっぁ!」
洋二は、先ほど運んだ箱の中のひとつに手を伸ばした。
それは、イチジク浣腸とは違い細長いもので、中からはチューブ上のものが出てきた。
「百合。これは潤滑油で、君のお尻の穴を痛めないための物だよ。
少し腰を上げてくれるかな。」
「・・・・もう・・・・はじめからそんなもの用意していたのね・・・・・」
口とは裏腹に素直に腰を上げた百合の菊穴に、洋二は丁寧に潤滑油を塗りこみ始めた。
それは大分長い時間行われ、お尻が緩くなったような感覚とともに、不思議な快感を百合に与えた。
淫らに蠢く腰の動きに洋二は興奮したささやきを百合に投げた。
「すごく素敵だよ・・・百合。
もう君のアナルも欲しいって・・・・こんなになってしまってるよ・・・・」
百合に怒張したそれを握らせた。
洋二の陰茎は、数日にわたる激しい何度ものセックス、射精をしたにも拘らず、痛々しいほどに怒張していた。
「もうそろそろ、君のここの始めてを・・・・もらうよ・・・・」
そういうと、百合の足を蛙の脚のように開かせ菊穴の入り口に置いた。
下から不安そうに見上げる百合に、"少し力を抜いてごらん"と言うと、一気にそれを挿入した。
「・・・んっ!!・・・・い・・痛いっ!!
ぬっ・・・抜いてぇ・・・・」
意外なほどのスムーズさでそれが挿入されたことに一瞬驚いたあと、菊穴が押し広げられるような痛みと腹部への圧迫感を洋二に訴えた
。
「力を抜いて・・・俺に全部任せるように、力を抜いてご覧・・・・」
百合は、目から涙を一条したらせながら、手を広げて言った。
「あぁぁ・・・いたいわ・・・・
洋二・・・こっちに来て抱きしめながら・・・・して・・・・・」
洋二が頭を下げると、百合は自ら首に手を回しキスをした。
ゆっくりとした抜差が繰り返される間、百合は洋二の頭を身体を撫で回しながら言葉を出し続けた。
「あぁぁぁ・・・いたいわ・・・・あなたにお尻の穴まで奪われてる・・・・」
指が洋二の頭の傷が瘡蓋を作ってるあたりを探ったとき、百合は下から洋二を見つめた。
「洋二・・・さっきは痛かったでしょう?
こんな傷になってしまって・・・体中にも傷があったわ・・・・
あぉぉ・・・・はぁあ・・・洋二・・・・私も今とても痛いのを我慢してるっ
だから・・・・おあいこよ・・・・・あぁぁ・・・・」
洋二は快楽に染まった顔に笑みを浮かべて答えた。
「いや、あれはいいんだ・・・百合、ありがとう・・・・
もう百合の全部を犯してしまったね・・・・
あぁ、最高だよ・・・百合のアナルは・・・・あぁぁ。」
そういうと洋二は百合のアナルに大量の精液を放出した。
「・・・・痛かった・・・よね?」
事を終え横たわる二人の手は握られていた。
「・・・・えぇ・・・・」
菊穴に何かが入っているような違和感が残っていた。
「そろそろ戻ろうか・・・・」
二人は手をつないだまま、キャンプファイヤーの燃えカスがあるところまで戻った。
戻った後、首輪を再び装けられると思い燃えカスの近くで百合が立って待っていると。
「これはもういらないね・・・・」
首輪を手にした洋二がそう言うと、鎖を柱から外し始めた。
「百合はもう休んでて・・・」
それを呆然と見ていた百合の胸中に複雑な感情が浮かんだ。
安堵感ももちろん少しはあったが、なにか繋がりの一つが無くなってしまう様な喪失感。
鎖と首輪をしまう作業に集中している洋二の近くに百合はよろよろと向かい言ったのは、洋二の気持ちの何かを確認するためであった。
「・・・・ねぇ・・・・今日は・・・・もうしないの・・・・」
驚いたように見上げる洋二の目には、月明かりに照らされた、白く透明なほど白く神々しいものが写された。
百合へのあふれ出る愛情と少しの懺悔のような痛み、が洋二の胸を満たした。
「・・・・君は・・・・いや・・・・お前は・・どうしたい?・・・・」
乾いたような声で訊ねる洋二に、百合は少し笑いを浮かべた。
そのまま黙って腰を落とすと、顔を洋二の股間に埋めて口に洋二の陰茎を含んだ。
それから、2度ほど百合に放出したあと眠りに付いた洋二の手は、百合にしっかりと握られていた。
4日目は、ひたすらセックスをしていた。
食べるとき、休むとき以外は、ひたすらセックスをしていた。
3日目までとは様子が違っていた。
洋二が横になっていると百合が顔の上に脚を広げて座り、舐めることを要求するように顔に自らの陰部を擦りつけ始めた。
「・・・・百合は舐められるのが好きなんだな・・・・」
問われると、百合は洋二の口を陰部でふさぐようにすると素直に答えた。
「・・・・うん・・・・・舐めるの・・・・気持ちいいから・・・・好き・・・・・」
遮る物の何もない自然の中、本能のままむさぼり合う饗宴が続いた。
・・・・・ワタシノヨウジ・・・・・
疲れきった二人が眠りに付いたとき、百合は洋二の腕の中彼の香りを胸に吸い込み、幸せそうな顔をしていた。
翌朝波の音に混じり人工的な羽切音がしたとき、一対の番の獣が幸せに暮らす幻想のような現実が壊れ、音源とともに現実のような現実
が帰ってきた。
砂浜からさほど遠くない場所に着陸したそれを見て、不安げな目を向けた百合に洋二は優しく声を掛けた。
「・・・・"現実"からの迎えが来てしまったね。
でもね、ここでの数日間は夢でも幻想でもない・・・・
何も終わっていないんだよ。 続いて行くものだよ・・・・」
彼女の寝起きの渇きを癒すためペットボトルを渡すと、着陸地点に向かい歩き出した。
何も声を掛けられないまま、彼を見送った。
そのとき、百合は自分が洋二の身体に付けた、ほとんど体中といっていいほどの切り傷や痣に気付いた。
混乱したまま身を硬くしている百合の目に、洋二がパイロットを含む3人のスタッフを連れて戻ってきたのが映った。
・・・・・ニゲナクテハ・・・・・
自分が裸であることも理由のひとつではあるが、彼らを目にした彼女が思ったことはそれだった。
彼女は、海の中に向かって駆けた。
自分の身体がすっかり海に浸るところまで行き振り向くと、洋二とスタッフたちは砂浜から彼女に視線を送っていた。
「・・・・服をっ・・・・服を持ってきてっ!!」
必死に訴える百合に、洋二は笑いながら答えた。
「百合、大丈夫だからこっちにおいで・・・・」
「私は裸をあなた以外に見せたくないっ!!」
それを聞くと洋二は彼らをそこに待機させ、百合の元へと歩を進めた。
百合の近くにたどり着くと、必死の訴えをしようとする百合を制して諭し始めた。
「いいかい、百合。よく聞くんだ。
彼らは、河野家、つまりは親父に仕える忠実なスタッフたちだ。
俺のものは君のものだといったね、君が俺になるとも言ってくれた。
彼らも含め、君はこれから俺のものを自由に使っていいし、また使いこなさなくてはならない。
彼らは、君に仕える立場の人間であり、君が羞恥心を感じるような対象ではないんだよ。」
「・・・でも・・・・・」
不満そうな顔の百合に、洋二は尋ねた。
「こう言われても、君は彼らに雄を感じるのか?」
「・・・・あっ、当たり前じゃないっ!!」
百合の返答に、洋二は無表情になり冷たく言い放った。
「・・・では・・・勝手にするといい・・・・」
振り向いて岸に戻ろうとする洋二の手を掴み、百合は縋るような目を向けて訴えた。
「あなたにしか見せたことのない身体なのよぉ!!
見られたくないのっ!!」
百合の必死の訴えを無視して、猶も歩を進める洋二に百合はとうとう泣き出した。
「わかったぁ・・・・分かったから無視しないでぇ・・・・
私も、海から上がるからぁ・・・・」
それを聞いた洋二は、ようやく振り返ると、優しい目を向けて言った。
「俺のすべてを受け取ってくれ、百合。
俺が怒ったのは、百合がほかの男たちに女の感情を向けたからだよ?」
「ちっ・・・違うのぉ・・・
別に、なんとも思ってないのぉ・・・あなただけに上げたかっただけなのぉ・・・」
泣いている百合の目をぬぐってやると、優しい声で聞いた。
「俺はこの気持ちを、恋に似たこの気持ちをお前以外の女に向けない。
お前は・・・・どうだ?」
「私も、そうする。」
確かな視線を洋二に向け頷く百合を見て、頭を撫でると肩を抱くように岸へと向かった。
・・・・・ナニヲイッタノ??・・・・・
すさまじい衝撃を伴う洋二の言葉が耳に飛んできたのは、河野家のスタッフたちの横を通り過ぎるときだった。
海から上がるにつれ、次第に露になる百合の身体ではあったが、彼らは直立した姿勢のまま真直ぐに視線を定め微動だにしなかった。
少し安心したものの、百合は両腕で胸と下腹部を隠しながら、洋二に肩を抱かれ彼らの脇を通りよろよろと別荘に向かう途中だった。
「・・・・お前ら・・・・
百合を・・・・・この女を・・・・・抱けっ!!」
頭を殴られるような衝撃に身を硬直させる百合の横で、微動だにしなかったスタッフたちがピクリと反応した。
「なっ・・・・何を言ってるの・・・洋二。」
震える声でそう訊ねる百合を置いて暫く歩を進めたあと、振り返り彼女に告げた。
「お前はさっき俺以外に女としての気持ちを向けない、そう言ったな。」
理解力を失くしたように呆然と洋二に視線を向ける百合に言葉を続けた。
「俺は、お前がこの者達に向けた女の感情が許せない。
これはその罰でもあるし、お前の言葉を信じるため、でもある。」
それだけ言うと、再び別荘へと歩を進めた。
「その男達に・・・・犯されて犯されて犯されてっ!
それでも変わらないお前が見たいんだっ!!」
・・・・・バツ?・・・エ?・・バツ?・・・・・
呆然と立ち尽くす百合の肩に、スタッフの一人の手が掛けられた。
びくっと身を震わせた百合が、両手で身体を隠しつつ後ずさりながら、にじり寄る彼らに懇願の声を出した。
「や・・・やめて・・・いっいやなのぉ・・・・
ち・・・近寄らないでぇーーーっ!!」
そういうと、彼らから逃げるように駆け出した。
しかしすぐにスタッフ達に捕まり、砂浜に引き倒された。
「いやぁぁぁぁ!!」
喉を切り裂くような悲鳴と、必死の百合の抵抗にも関わらず、スタッフは自らの衣服を脱ぎ捨てながら百合に襲い掛かった。
自分の身体がどうなっているのか理解できないまま、百合の身体の至る所に彼らの舌や手が這いずった。
脚を押さえつけられ、スタッフの一人が遠慮なく一気に百合の陰穴に挿入した。
切り裂くような悲鳴を上げている頭をはねさせたとき、膝をついて腰を下ろし水筒を傾けながら百合を見ている洋二が目に入った。
・・・・・カレガミテイル・・・・・
凄まじい現実から乖離したような意識でそんなことが頭によぎった。
抵抗が一切なくなった百合の陰穴を、アナルを、口を、スタッフ達の3本の陰茎が蹂躙しつくした。
バックからアナルを犯されながら、口に陰茎を含まされている百合が小水を漏らしたとき、彼女の理性がはじけた。
それからは、洋二に見せ付けるかのように自ら積極的に犯されつくした。
よろめく足で洋二の前に百合が立ったのは、それから日が中天を過ぎてから暫く経ったあとであった。
ウィスキーの入っていた水筒は空になり、彼の足元に転がっていた。
百合を解放するまでの数時間、20回近く身体の至る所に射精をされた彼女は、身体中を精子に塗れさせていた。
洋二は、真直ぐに百合に目をむけ言った。
「百合・・・・お前を・・・ずっと見ていた。」
洋二の声を聞くと、百合は顔を泣き笑いさせ、洋二に殴りかかった。
「ぃぃぃーーーーーっ!!」
言葉にならない声を発しながら、頭を、顔を、身体を殴りつける百合をそのままに、洋二は百合の足を抱えて、大量の精子がこぼれてい
る百合の陰部に、自らの怒張しきった陰茎を挿入した。
挿入した百合は、殴りつけながら自らも激しく腰を動かし応じてた。
「あぉんっ、あぉんっ、あぉんっ、・・・
洋二っ、洋二っ!!」
くたくたになった3人のスタッフの前で、獣のような激しい交わりが繰り広げられていた。
獣のような叫び声を上げ結合箇所を晒しながら、百合はひたすら腰を動かした。
・・・・・トオクニイク・・トオクニイク・・・・・
意識の水が理性の器を満たして行く感覚、この水が器から零れたときどうなるのか・・
それを求めて、自分の絶叫にも気付かずに百合はひたすら腰を激しく動かし水を注ぎ続けた。
「あぉぉーーーあぉっ、あぉっ、あぉっ、あぉっ・・
ンッーーーー!!」
腰を動かしていた百合が目を強く瞑って目の前の洋二の首にかぶり付いた。
「くっ!ほらっ、百合っ、百合っ、百合っ、百合っ、
あぁぁぁーーーっ」
「あぁぁぁぁぁっ!!!」
洋二とほとんど同時に絶叫した百合の意識は遠くに飛翔しようとしていた。
白く染められて行く頭の中、最後に百合はこんなことを考えていた。
・・・・・ヒトツニナッタ・・・・・
融合する感覚のなかすべてが白くなった。
始めて百合が逝った時だった。
時間軸を超えた旅から意識が帰ってきたとき、百合は自分そのものと言ってもいい存在が自分を抱いていることを知った。
「・・・・おかえり、百合。」
意識を失った自分を、ベッドの上で犯している。
「・・・よ・・・洋二。
私・・・生き残れた・・・・・あぁ・・・・」
脱力しきった身体を犯されながら、顔にほんのりとした喜びを映し目から涙を一筋流した。
「あぁ、百合。やっぱり君はいつもどおり素敵だった・・・よ。」
「洋二、キスをして・・・」
手を広げる百合の口に、洋二は舌を入れた。
「っ!!」
熱烈なキスをしながら百合は、洋二の首を締めた。
やがて、洋二をキスから解放した百合は、彼の胸を突き飛ばすようにして起き上がった。
仰向きになった洋二の陰茎を握るや、自らの陰部へと導き一気に挿入した
「あぉぉっ、あぉぉっ、あぉぉっ、
洋二っ、百合のおまんこ気持ちいいでしょう?」
「あぁ、百合のオマンコは最高だよ。」
洋二の返答を聞いた百合は、腰を動かしながら洋二の顔を上から思いっきり平手で叩いて怒鳴りつけた。
「嘘よっ!洋二っ!!ガバガバだと思ってるんじゃないの??」
殴られた洋二は、微笑みを浮かべてそれを否定した。
「百合のおまんこは、俺のおまんこだよ。
俺にとっては、世界でただひとつの大切なおまんこだよ。」
泣きそうな顔になりながら百合は上から至近距離で洋二を見ながら言った。
「洋二がこんなガバガバの変態まんこにしたんだからぁ・・・
洋二のおちんぽ気持ちいいよぉ・・・一生責任もってつかってよぉ・・・・」
「もちろんだよ。お前なしでは僕の人生は考えられない。」
快感に眉をひそめながら、洋二の胸につめを立てながら百合は猶も責めた。
「あんっ・・・立花たちに・・・・目移りしてるの?」
そういうと、"あのとき"のように首筋に歯を立てた。
「いたたっ、そんなわけないだろう、百合。
君は、俺にとっての唯一の、変えがたい一人だけの存在だよ。」
その言葉に百合は切羽詰った顔になり、絶頂に向け腰の動きを加速させた。
「っ!ほらっ百合。逝くよ、一緒に逝ってくれ、百合っ!!」
そう言うと、洋二は百合の中に大量の精子を注入した。
・・・・・ヒトツニナッタ・・・・・
"あの時"と同じような充足感の中、百合の意識は再び白く染まっていった。
"ごくっ、ごくっ"
気持ちよさそうに百合が洋二からの口移しの水を飲んでいるのは、それから暫く経った後だった。
意識の戻った百合は喉の訴えて、洋二はペットボトルに入ったミネラルウォーターの水を渡した。
百合は首を振り、口移しに飲ませて欲しいといって、洋二を照れさせた。
"相変わらず、甘ったれたお嬢さんだな・・・"そんな愚痴を発しながらも、照れてるような顔でそれをしてくれた。
「ねぇ・・・・洋二は・・・・どういうことをしたいの?」
激しい時間の跡の、気だるい柔らかい時間の中、百合が洋二の腕の中彼の乳首を指でこねくりながら聞いた。
「・・・ん?・・・あぁ、立花さんたちのことか・・・・・
・・・ん、君には・・・言っておかないといけないね・・・・・」
時間を掛けてそう答えると、洋二は別途サイドにおいておいた煙草に手を伸ばしそれに火をつけた。
ふーっと紫煙を吐き出しながら、それが上っていく中空に何かを見るような目付きで見ていた。
「・・・・何がしたいのか・・・・はっきりとしている訳ではないんだよ・・・・
だから、具体的な回答を・・・・期待しないでね。」
彼がゆっくりと紡ぎ出した言葉に、百合は腕の中で頷いた。
「僕には色々な顔があるよね?
証券マン、資産家、学園理事長、経営者・・・・どれもが現実の僕だ・・・」
洋二は、空を見る目で捉えている捕らえどころのないものを表現するために、ポツリポツリと言葉をつむいだ。
・・・・・ヤサシイコエヲシテイル・・・・・
頭を撫でられながら聞いている百合は、疲れと心地よさから眠気に誘われながらそれを聞いていた。
「"現実"の僕は、確かに僕自身ではあるが、すべての場面場面にあった仮面を被った姿でもあるような気がする。
それを、大人になる、大人として振舞う社会人というのかもしれない。」
彼は今から説明しようとすることを酷く遠回りに説明しようとしているらしい。
仕事での彼のアプローチとは、最も遠いアプローチ方法だと百合はぼんやり思っていた。
「被っている仮面になじみ過ぎて、いつの間にかその仮面自身が自分の顔だと思ってしまっている。
それはそれで社会生活を送る上で、なんら不自由はないんだけどね。
・・・でもね、ある時こう自問したんだ・・・・俺はどういう人間だろう・・・と」
百合が洋二に口をパクパクしているのを見て、彼が再び口移しに水を飲ませ、彼自身も少し水を飲んでから話を続けた。
「本当の・・・"真実"の自分を確認するために、今被っている仮面の下を思い出そうとした時に気付いたんだ。
俺は、自分の本当の顔も、この仮面の脱ぎ方すらも忘れている・・・ってね。」
曖昧としていた上を見る視点が、徐々に定まってきているようだった。
「本性というのかな・・・・"真実"ってのは、なかなか必要とされないからね。
他人に評価されるための自分の仮面を加工するのが、成長というやつの正体かもしれないね・・・・
でも、僕は違った。その自問のあと、自分はどういうやつなんだろう、それを知りたいという欲求が高まり続けた。
・・・あれは、苦しい体験だったよ・・・
そんなときだった、君とあのもう一度生まれるための数日間を過ごしたのは・・・」
そういうと、優しい視線を百合に送った。
「大人としての、今まで丁寧に作り続けてきた仮面を脱ぐための日々だったと思っている。
あの日々で、俺は仮面の下の自分を見つけたんだ・・・思い出したんだ・・・・」
彼の胸に口を当て吸っていた百合が、口を離して洋二に尋ねた。
「・・・どうして・・・・私だったの?・・・」
「・・・・君に魅かれたから、それが一番シンプルで正確な答えだと思う。
ただ・・・他に蛇足を承知で付け加えると・・・君の場合違いがあり過ぎて、分かりやすかったんだ。」
そういうと、再び百合の頭を優しく撫でながら続けた。
「厳格な教育者としての君・・・の仮面と、その下にいる・・・・甘ったれたお嬢さん、の差がね。」
それを利いた百合が、顔を洋二の胸に埋めて顔を少しほころばせた洋二は話を続けた。
「教育を君としてきて子供達を見ていて分かった、どうやらこの仮面というのは無意識のものであるということがね。
僕らが接する頃、つまりは中学生くらいになると既に子供達は未熟な仮面を被っていた。
そして、彼らはそれに気付かずにその仮面をより社会に適合したものに加工する作業を、成長という美名の下で黙々と続けていた。
より社会的に見栄えがする仮面を作ったやつが、現実という社会での成功を得る仕組みになっているからね。」
百合の肩を抱くために腕を移動させながら続けた。
「つまり、仮面の下に本当の自分の顔があることなんて、殆どの人間達は気付いてもいないって事さ・・・・
しかし、僕は違っていた・・・
僕は自分の"真実"が"現実"と違うことを知っていたし、それどころか君と出会えた僕はその仮面の脱ぎ方や脱げる場所まで知っている
。
君との世界が、僕の"真実"が唯一顕われる場所になったんだ。」
そこまで言うと、洋二は愛おしそうに百合の額に口付けをした。
「それで、僕には気付いてしまったことがあるんだよ・・・・
この君との世界でしか存在しない"真実"というものの価値が・・・・
"真実"を曝け出し合ったパートナーは、この世で唯一の心許せるパートナーになった。
酷い現実を過ごす上で、この上ない解放を与えてくれた。
いや、色々理屈っぽく説明するのは僕の悪い癖だ、とにかく気持ちがよかったんだよ!」
熱を帯びた洋二の言葉に、顔を埋めた百合も内心全面的な肯定を与えていた。
話は、目的地が曖昧な活動の説明の核心に近づいてきていた。
「誰もが存在すら忘れている、忘れるために努力をしている"真実”。
しかし、僕達は"現実"と"真実"を自由に行き来して、その美しい価値を知っている。
・・・・それで、15年前新しい教育の場を作りたいと思ったのと同じ、いやそれ以上の情熱を持って思ったんだ。」
肩を抱いている手に力が入ってきている。
「この魔法のパスポートを、僕達以外にも持たせるという実験をしたい、ってね。
そんなとき、立花さんや草野さんたちを知ったんだ。」
百合は、立花の名前が出ると大切なことを聞き漏らさないよう注意深く話を聞き始めた。
「彼女達を遠くからじっくりと観察していた、彼女達の話を君や他の人間から注意深く聞いていた。
それで分かったことがある。
彼女達は出会った頃の君と同じで、酷く"現実"と"真実"のギャップがある人たちだとね。
しかも彼女達は出会った頃の君より長くその状態を経てるにも関わらず、折り合いがつかないので状況は彼女達にとって悪質で、僕の
目的にとっては最高だってね。
「それで、この世界への招待者を彼女達にしよう、そう思ったわけさ・・・
だから、君に密かに娘の問題を種にした草野へのアプローチを依頼したんだ。
その先どうなるかは・・・僕には分からないな・・・」
洋二の話を聞いていた百合は、胸に埋めていた顔を上げて洋二の顔に近づき目の奥を見ながら言った。
「洋二・・・・それは・・・・・
立花たちを、洋二にとって私のような存在にしよう・・・・・そういうことなの?」
少しの曖昧さや嘘も許さない百合の視線を真っ向から受けて、洋二は答えた。
「百合は俺にとって唯一の変わるもののない存在だよ。
俺と百合が司祭者であるこの世界に、ほんの少しの間彼女達を招待してみよう・・・・そう言うことだよ・・・・」
変わらない視線を洋二に送りながら百合は訊ねた。
「・・・・あの約束は・・・・変わらないのね?」
迷いなく頷きながら洋二は答えた。
「あぁ・・・・あれは、二人が死んだ後に消える約束だ・・・・
俺が愛するのは・・・・お前だけだ・・・・百合。」
百合はキスで口をふさいだあと、胸に頭を寄せて言った。
「実験が終わったら・・・・二人きりの世界がいい・・・・」
頭を撫でられながら百合が寝息を立て始めたのは、それからすぐのことだった。
~~~~~~~~~~~~~~百合編終わり~~~~~~~~~~~~~~~~
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