学校の法務カウンセラー・塚崎の調査が始まったのは、噂が広がり始めてから数日後のことだった。
塚崎は、学校の外部から雇われたベテランの弁護士で、冷徹な目をした中年女性。
彼女は校長室で、匿名の手紙を受け取り、すぐに動き出した。
手紙の内容は簡潔だった——「教師と生徒の不適切な関係がある。用具室で目撃された」。
塚崎はすぐに調査を開始。
生徒たちへの聞き取り、教師の行動ログのチェック、用具室の鍵の使用記録の確認。
すべてを細かく、しかし静かに進めた。
彼女の目線は、容赦なく学校全体を覆い、
誰もが緊張した空気に包まれた。
香織は、毎日学校に行くのが苦痛だった。
教室で視線を感じ、廊下でささやきを聞く。
部活の練習中、後輩たちの目が気になり、ラケットを握る手が震える。
用具室の前を通るたび、昨夜の記憶が蘇り、身体が熱くなるのに——
今は、そこに行くことさえ怖い。
先生に会う時間が、減っていた。
噂が広がるにつれ、柳田先生は香織を避けるようになった。
「今は……危険だ」と、短いメッセージだけ。
(……先生……会いたい……
あの部屋で、熱に溶かされて……
でも、今会ったら……
塚崎さんにバレて……
先生がクビになって……
私は退学……
お母さんに知られたら……死にたい……
でも……先生の熱が……恋しくて……
夜、ベッドで一人で……思い出して……
指を滑らせて……
先生の名前を呼んで……
イッてしまう……
私は……もう、先生なしじゃ……生きられない……
でも、この噂……止まらない……
追い詰められて……
どうしたらいいの……)
柳田も、追い詰められていた。
職員室で塚崎に呼ばれ、質問攻めにあう。
「用具室の鍵、使用頻度が高いようですが?」
「夜遅くに生徒と二人きりだったという目撃情報がありますが?」
柳田は平静を装うが、額に汗が浮かぶ。
独身の部屋で、一人で酒を飲み、香織のことを考える。
あの若い肢体、甘い喘ぎ、きつく締めつける内壁。
欲望が抑えきれないのに——
今は、会えない。
塚崎の目が、学校中を監視している。
(……香織……
お前の身体……あの熱……
俺のものだ……
誰にも渡さねえ……
でも、この調査……
塚崎の女……嗅ぎ回りやがって……
バレたら……クビ……
学校を追われて……
香織も……壊れる……
でも……もう、引き返せねえ……
あの部屋で……また、鍵をかけて……
お前を……俺のものに……)
調査は徐々に深まり、
沢田と桑田が呼び出された。
二人は塚崎の前に座らされ、
「何を知っている?」と問われる。
二人は口を閉ざしたが、塚崎の冷徹な視線に耐えかね、
少しずつ、ぼやかしながら話した。
「用具室で……先生と生徒が……」
「夜遅く……変な音が……」
塚崎は証拠を集め、校長に報告。
「柳田先生と生徒の関係が疑われます。
詳細な調査が必要です。」
柳田は、ついに呼び出された。
校長室で、塚崎と校長の前に立つ。
「説明してください」
先生は、平静を装う。
「何もありません。
部活の指導です。」
でも、塚崎の目は、嘘を見抜いていた。
「生徒の名前は、香織です。
彼女に確認します。」
香織は、次の日、校長室に呼ばれた。
塚崎の前に座らされ、
「柳田先生と何かありましたか?」と問われる。
香織の心臓が止まりそうになる。
(……バレた……
全部……
先生……ごめん……
私……壊れた……
でも……先生の熱を……守りたい……
嘘をつく……
でも……塚崎さんの目……
見抜かれる……
どうしよう……)
香織は、震える声で答えた。
「何も……ありません……
部活の……指導だけです……」
塚崎は黙って見つめ、
「わかりました」とだけ言った。
しかし、調査は続いた。
柳田は停職を命じられ、学校から離れる。
香織は、精神的に追い詰められ、
学校を休む日が増える。
お母さんに心配され、
病院に行くが、心の傷は癒えない。
数ヶ月後——
柳田先生は、学校を辞めた。
香織は、転校を決意。
新しい学校で、普通の生活を始める。
でも、心の奥に、先生の記憶は残った。
あの熱、あの快楽、あの罪。
香織は、静かに、しかし確実に、
自分自身を取り戻そうと努力した。
先生とは、二度と会わなかった。
噂は、時間とともに消え、
学校は、元の平穏を取り戻した。
香織の心は、傷ついたまま。
でも、生きていく。
あの夜の記憶を、胸に秘めて——。
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