香織は柳田の胸に顔を埋めたまま、震えが止まらなかった。
倉庫の埃っぽい空気が、まだ肺に残っている。
あの二人の視線、手の感触、耳元で囁かれた言葉——
すべてが、昨夜の用具室の記憶と混じり合って、頭の中をぐちゃぐちゃに掻き回す。
(……先生が来てくれなかったら……
あのまま、二人に囲まれて……
何をされていたか……わからない……
怖かった……本当に、怖かった……
でも、先生の腕の中で……
昨夜の熱が、また蘇ってきて……
身体が、疼いて……
私は、もう先生なしじゃ……いられない……
あの二人に脅された秘密が、先生と共有されてる……
それが、なぜか安心で……
もっと、先生に守られて、先生に犯されて……
この罪を、先生と一緒に背負いたい……)
柳田は香織の肩を抱いたまま、静かに倉庫を出た。
グラウンドの端を回り、誰もいない通路を抜けて用具室へ向かう。
昼間の学校は明るいのに、二人の影は長く伸び、昨夜の闇を引きずっているようだった。
用具室の扉の前に立つと、柳田は無言で鍵を回した。
カチリ、カチリ、カチリ。
三重の音が、再び香織の心臓を締めつける。
扉が開き、埃と汗の匂いが一気に広がる。
昨夜の記憶が、鼻腔を突き、身体がびくりと反応した。
中に入ると、柳田はすぐに扉を閉め、鍵をかけた。
香織は壁に凭れかかり、息を荒げながら柳田を見上げる。
「……先生……あの二人……
昨夜のこと、知ってるみたいで……
もし、広められたら……」
柳田はゆっくり近づき、香織の顎を優しく持ち上げた。
いつものねっとりした視線が、そこにある。
でも、今は少し違う——守るような、独占欲の強い目。
「心配するな。
あいつらは、俺が黙らせてやる。
お前は……俺のものだ。
誰にも渡さない」
その言葉に、香織の瞳から涙が一筋零れた。
恐怖が溶け、代わりに熱いものが胸の奥から溢れ出す。
(……先生のもの……
そう言われると、安心する……
怖かったのに、今は……
この部屋で、先生に全部預けたい……
昨夜みたいに……いや、もっと……
あの二人に脅された恐怖を、先生の熱で塗りつぶしてほしい……
私は、もう先生なしじゃ……生きていけない……)
香織は震える手で柳田のジャージの胸を掴み、顔を上げた。
「……先生……今日も……
私を……先生のものに……してください……
あの恐怖を……忘れさせて……」
柳田の唇が、ゆっくりと近づく。
用具室の空気が、再び重く、熱く張りつめた。
鍵は三重に閉ざされ、
昼間の学校の喧騒は、遠くに消えていく。
二人の秘密の時間は、また始まった——
昨夜の続きを、さらに深く、濃く。
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