柳田は用具室のドアを閉めた瞬間、鍵を回す音が自分の鼓動のように響いた。
カチリ。
その小さな音が、まるで世界を二つに分けた。
外の喧騒が遠のき、残るのは埃っぽい空気と、香織の荒い息遣いだけ。
彼女の背中がロッカーに押しつけられ、金属が冷たく軋む音がした。
柳田はゆっくりと息を吸い、吐きながら、彼女の瞳を覗き込んだ。
そこに映るのは、恐怖。
そして、ほんの僅か——認めたくない何かが、揺れている。
(……逃がさない)
彼は香織の手首を片手で強く掴んだまま、もう片方の手を彼女の顎に添えた。
親指と人差し指で、細い顎を固定する。
逃げられないように。
顔を上げさせ、視線を絡め取る。
「香織ちゃん……震えてるな」
声は低く、抑揚を殺して。
まるで、彼女の耳元でだけ響く秘密のように。
香織の唇がわずかに開き、息が漏れる。
拒絶の言葉を紡ごうとしているのに、喉が詰まって出ない。
柳田の指が、顎から首筋へ滑り落ちる。
ゆっくり。
一センチずつ、時間をかけて。
脈打つ血管を、指の腹でなぞるように。
彼女の喉が、ごくりと動くのが見えた。
(この喉……俺の名前を呼ぶんだろうな)
柳田はさらに身体を寄せた。
胸板が、香織の乳房に軽く触れる。
布越しでも、柔らかい弾力が伝わってくる。
彼女の身体が、びくりと硬直する。
「怖いか?」
問いかけは、囁きに近い。
香織の瞳が揺れる。
涙が、にじむ。
でも、視線を逸らさない。
逸らせない。
柳田は満足げに唇を歪めた。
ブラウスのボタンを、一つ。
ゆっくり外す。
音が、用具室に響く。
カチ。
二つ目。
カチ。
三つ目。
ブラジャーのレースが、薄暗い光に浮かび上がる。
柳田の息が、熱く香織の鎖骨にかかる。
「綺麗だ……本当に、罪深い身体だな」
彼の指が、ブラのカップに触れる。
布地をずらす。
ぷるんと零れ落ちる乳房。
乳首は、すでに痛いほど尖っている。
柳田は親指で、その先端を軽く押した。
香織の身体が、電撃を受けたように跳ねる。
「ん……っ!」
小さな悲鳴。
でも、その声は拒絶だけではない。
柳田には、はっきりわかった。
(感じてる……お前も、感じてるんだ)
彼は乳首を指の腹で転がし始めた。
ゆっくり、円を描くように。
時折、爪を立てて軽く引っ掻く。
香織の腰が、くねる。
逃げようとするのに、ロッカーに阻まれて、逆に柳田の身体に押しつけられる。
「や……めて……」
声は震え、弱々しい。
柳田は笑った。
低い、満足げな笑い。
「やめて、って言ってるのに……身体は正直だろ?」
彼のもう片方の手が、スカートの下へ滑り込む。
太ももの内側を、指先でなぞる。
汗ばんだ肌が、ぬるりと滑る。
香織の膝が、がくがくと震え始めた。
柳田は彼女の耳元に唇を寄せ、息を吹きかけるように囁いた。
「ここ……もう、熱くなってるんじゃないか?」
指が、ショーツの縁に触れる。
布地越しに、熱と湿り気が伝わってくる。
香織の瞳が、大きく見開かれた。
「触らない……で……」
懇願の声。
でも、柳田は指を止めた。
代わりに、彼女の手首を掴んでいた手を離し、両手で香織の腰を抱き寄せた。
身体を密着させる。
股間の硬くなった膨らみを、彼女の腹に押しつける。
香織の息が、止まった。
柳田は彼女の耳たぶを、軽く歯で挟んだ。
「逃げられないぞ、香織ちゃん」
その言葉が、決定的だった。
香織の身体が、わずかに弛緩する。
抵抗の力が、抜けていく。
柳田の唇が、首筋に落ちる。
舌を這わせ、汗を舐め取る。
彼女の喉から、抑えきれない吐息が漏れた。
「あ……っ」
その瞬間——
ガチャリ。
ドアの音。
柳田の身体が、凍りついた。
後輩の声が、外から聞こえてくる。
「香織、まだいる——?」
柳田は舌打ちをし、慌てて香織から離れた。
股間の膨らみを隠すように身体をずらし、何事もなかったかのように振る舞う。
「いやー、ちょうど終わったところだ。香織、早く帰れ」
香織は無言で、乱れたブラウスを直し、俯いたまま出て行った。
ドアが閉まる。
柳田は壁に凭れ、深く息を吐いた。
心臓が、まだ激しく鳴っている。
(……次は、絶対に)
彼は用具室の鍵を、もう一度確認した。
カチリ。
今度は、外からではなく、内側から。
明日の部活。
用具室の掃除当番は、また香織だ。
柳田の唇が、ゆっくりと歪んだ。
緊張感は、まだ終わっていない。
むしろ、これからが本番だ。
彼の下腹部に、抑えきれない熱が、再び膨張し始めていた。
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