自分を保とうとする気持ちが揺らぎ、知らず知らずのうちにのめり込んでいく。まるで川に流されながら川岸に迫り出す木の枝や、地中に深く根を伸ばす丈夫な草にすがりつく者が、手の握力が弱まって力尽きてしまうかのように………。
残り僅かな理性が息継ぎをするように我を取り戻させ、真希の顔の横に立つナースの存在を思い出させる。そのたびに困惑と羞恥心に身を焦がし、しっかりしなければと自分を叱咤する。
でも…………。
にゅっちゃっ……にゅっちゃっ……にゅっちゃっ……
もうどのくらいこの行為を受けているのか、時間の感覚が麻痺してよくわからない。医師は相変わらず世間話を続け、時どき真希の返答や見解を聞くために言葉のボールを投げかけてくる。真希は苦労をして脳を働かせながら無難な返答をし、口ではいかにも余裕を滲ませた口調を見せる。でも医師とを隔てる背の低いカーテンのこちら側で、真希は眉間にシワを刻んでは握り締めた手を白く変色させる。
気分は悪くないですか……?
リラックスしましょうね……?
ナースが有り難いのか迷惑なのか自分でも困惑する声をかけてくれて、曖昧に頷くしかない。同じ女んだから分かるでしょ?どうリラックスしろというの?……そんな苛立ちを含んだ疑問が浮かび、紅茶に砂糖が溶けていくように快感の中に紛れて消えていく。
あの…まだかかるんでしょうか、何というか……。
真希はついに遠回しに本音を含ませた疑問を口に出し、ナースに問いかける。けれど彼女は……。
大丈夫ですからね、痛みとかは有りませんか……?
そんな感じにやんわりと真希の疑問をまともに取り合わず、模範的なナースの役割を見せるだけ。
大丈夫なんかじゃない、これは本当に検査なの?
そんな疑念が浮かび、久しぶりに溶けてしまいそうな快感が理性を鈍らせる。今この快感と引き換えにメリットのある何があれば振り払えるのに、困ったことにその材料がなにもない。
この魅力的な快感を手放す理由が見つからない限り、抗うことがいよいよ難しくなっていた。
ナースが同性とあってある意味で安心だけれど、同性だからこそ理解できることも多い。男性では分からない見栄、時には男性よりも同性に気付かれたくないことも数多くある。良くも悪くも性的なことはその最たるものの一つだろう。
理性という名の木の枝だが丈夫な草を掴む掴み続ける手が緩み、身体が流されようとしている……。
不意に医師の指の速度が微妙に上がり、無意識に目を閉じる。もう疑問を問いかけるよりも我慢と平静さを取り繕うことに、集中するしかなくなっていた。
真希は自身が自覚している自分は第三者から見れば、発情をした女になっていると誤魔化しきれていないことに気付く余裕はなかった。普通ではない呼吸のし方、苦悶にも似た表情と恍惚の表情、何かから逃れようとするかのように顔を横に倒す仕草、もはや口呼吸しかしなくなった開いた唇。
十分に潤った膣が真希の感度の高まりを証明し、医師は右手で抜き差しを継続させながら、医療従事者が身に着ける白いパンツのチャックを静かに下ろしていく。
ボタンも外してパンツと下着を膝上まで下ろした医師は、カリ首を反り返らせてお腹にへばりつきそうなペニスを水平にと寝かせようとする。
足りない分は両膝を曲げて腰を落とし、引き抜いた指と入れ替わりに膣口にあてがった。糸を引いて抜いた手を側にあるガーゼで拭い、左手を真希の腰に、右手はペニスを掴み体重を前にかける。
ゆっくりと広がる入口が落ち窪みながら亀頭を誘い込み、首まで迎え入れると音もなく引き込まれていった………。
恥を感じる余裕もなく明らかに感じている荒い息遣いをしていた真希が、突然その夢の時間を中断されて瞼を開けた。
えっ…どうして………?
それが真希の純粋で率直な本音だった。まだ甘い余韻が残る中で思考が働かず、内腿に肌が重ねられる温もりを覚えた。次いで膣口に圧力を感じ、疑念が持ち上がる間もなく圧迫感を覚えて真希は顎を跳ね上げた。
たとえ十年近くセックスからは遠ざかってはいても、自分の身に何が起こっているかは即座に理解できる。まさか、そんなことって………。
せっ…先生?……あのこれって……何をしてるんですか?………先生っ?……んっ……ちょっと先生っ………
奥まで届い何かが入口まで後退し、中程まで進んで前進と後退を繰り返す。真希の必死な声は無情にも無視をされ、指とは格段に違う上質な快感の波が真希に襲来してきた。
焦りと戸惑い、恐怖心と憤りが官能の波に飲み込まれ、忸怩たる気持ちが背徳の甘さの中に溶けていく。助けを求めナースを見やるも彼女は無表情で真希を見下ろすだけで、揺れる視界の中で彼女の顔が歪んでいく。
どうしていいのか分からず呼吸を続けるだけで、その息遣いが卑猥なものに変化するのに時間はかからなかった。
手前、手前、手前……それが暫く続き、忘れたころに子宮頚部に達したソレが打ち付けてきて顎が跳ね上がる。地中からは掘り起こされた古代の蓮の種が時空を越えて発芽、花を咲かせたように忘れていた女の喜びに見を浸す真希。
奥を突かれる衝撃と波紋のように柔らかく広がる快感は眉間に溝を刻ませ、中程から入口を攻められる際には光熱にうなされるように、半開きにした口の顔をぐらぐらと左右に倒し、持ち上がった顎を下ろしてはまた直ぐに持ち上げる。
短く荒い吐息と長く緩い吐息がその時どきで真希の状態を如実に現し、熟女の身体が余すことなく享受した快感を受け止めながら広く深い許容の中で、蓄積させた甘さが感度を高めていく……。
ついに声を上げだした真希の口をナースが手で塞ぎ、熱い吐息を長く吐き出しながら医師がその腰を力強く躍動させる。まったりと絡みつく膣壁と硬く熱いペニスの双方が相乗効果を生み、男女の2人がそれぞれに身体に汗を滲ませる。
母としてだけに生きてきた真希が女の喜びに酔いしれ、医師の彼は奥歯を噛み締めながら顔に苦悶を浮かべ、さらに攻めていく。
限界が近い、どうすべきかを考える。まだ序章に過ぎない事を考えると、答えは決まっていた。
スパートをかけたインサートを続け、勢いよく引き抜いたペニスから男のエキスが迸る。それらを真希の内腿に吐き出し、最初の射精を終えた。
彼が中に出さなかったのには理由がある。先ずは自分が放出した精液を拭き取り、未だに腰をぴくぴくさせる真希の性器に顔を近づける。色素沈着が進んだびらびらが波打つように歪んだ造形美を見せ、全体に艶々とした光沢を見せながらいやらしい匂いを放っている。
医師は指で開いて一部を上に持ち上げ、唇に含んで見せる。つるつるとした小さな塊に舌を当て、決して力を入れず震わせるように刺激を与えていく。反応は、直ぐに現れた………。
本当に久しぶりだった。我を忘れて快感に酔いしれ、何もかもがどうでも良くなった時間だった。思考が働かない、今はただ余韻に浸っていたい。
少しづつ引いていく波、回復していく思考回路が状況を把握しようと動きはじめる。
自分の太腿の内側を拭われる感覚がある。それが終わると性器に息がかかり、指で開かれるのが分かった。敏感なところの包皮が持ち上げられて、真希はある種の危機感を覚えた瞬間、身体に鋭い快感が駆け巡るのを感じていた。
内診台から上半身を持ち上げ、崩れるように背中を着けると頭だけを持ち上げて後頭部を下に叩きつける。弾かれたように顎を跳ね上げ、右に左に顔を倒し、止めて欲しいのに絶対に続けて欲しい矛盾した女の欲望が凌駕する。
愛液を全て吸い取られてダイレクトに触れる舌、それが小刻みに動き狂いそうな快感が断続的に続く。いま思えば若いころに味わったクンニは拙いもので、刺激が激しくて絶対に達する前に辛くなるものだった。こんなに的確に感じさせる性技は真希とっては初めてだった。力が入る腰が勝手に持ち上がり、なおも続く医師の舌技に屈する時が来た。
腰が跳ね上がったように弾み、数回上下に震わせながら下へストンッ……と着地する。胸の動きと連動し真希のお腹が激しく上下を繰り返す。口の周りの滑りを袖で拭う医師が立ち上がり、包皮が捲り上がったそこに顔を出す、ピンク色の小さな塊を満足そうに見詰める。
だらしなく脚を広げた真希の下半身を見て、硬度を回復していくペニスが頭をもたげ、水平から上へと勃たせた。ゆっくりと足を一歩前に進め、静かに粘膜の穴の中に挿入させていく。
んんっ……あぁ~っ……
もう真希からは何かを問いかける言葉は聞かれることはなく、艶めかしい吐息混じりの卑猥な声が発せられるだけだった。
入口から奥まで、奥から入口の抜けるぎりぎりまでをロングストロークのインサートを繰り返す。
真希はどこが一番好きなのかを探りに探り、その反応からGスポット、一番は熟女らしくポルチオらしいと判断をする。
決して急がず激しすぎず真希が高まるのを待ちながら、子宮頚部の辺りを攻めていく。数十秒に数回ほどGスポットを攻め、交互に位置をずらしながらポルチオを執拗に攻めていく。
性経験の浅い女性には見られない極上の反応を見せる真希は短く息を吸い、長い吐息をゆっくり吐き出し、やっと声音になる低い声であぁ~……っと快感を堪能する熟女の喜びを伝えてくる。
時おり強く短い声を上げ、聞きようによっては辛そうな聞こえなくもない悩ましげな喘ぎ声を絞り出す。自らの胸を鷲掴みにしていた真希が両手を下げてカーテンの下を潜り抜け、自分の太腿に爪を食い込ませる。痛みのためかその指先を緩めては再び食い込ませ、医師の腰の躍動に合わせ自分の腰で迎え入れるように、うねうねと上下にうねらせる。
やはり熟女は、いい………。
そう医師に改めて実感させる。幼子が愚図るような声を上げ、艶めかしい女の喘ぎ声とが交互に変わり、余裕が薄れゆく終わりの近い危機感のある息遣いへと進んでいく。
やんわりと締め付けが強くなり、それが顕著に現れはじめる。カーテンの向こうで上半身を捩っているのか、真希のお腹が不自然に捩れるのが医師の興奮を煽る。1度射精を済ませた彼には射精感はまだ程遠く、ひとり感度が高まる真希が快感の中で溺れていく………。
抜き差しをするたびに真希の小陰唇が陰茎を左右から絡みつき、中では強かに圧縮をしてみせる。
医師は深い息を吐き、額に汗を滲ませた顔を天井に向けて目を閉じた。視界がなくなった彼は生々しくペニスを拘束される膣壁の感触と、ひとりの熟女の喘ぎといやらしい息遣いを耳にして、ひたすら腰を前に突き出すのだった。
良いとか悪いとかの道徳心はとうに消え去った。
無意識下で欲していた色情を飲み込む快感が、今はすべてだった。何が何だか分からないまま終わったと思ったのに、クンニリングスで完全に覚醒させられていた。この2度目の挿入で得る快感を貪欲に受け入れ、40を過ぎたこの年齢で初めて快感に狂うということを知った。
気持ちいい………
もっと、もっと欲しい………
そんな厚かましい淫欲に支配され、医師の硬くて癖になるペニスに夢中になる。そこに子どもたちの存在は微塵もなく、思い出すこともない。
吐息で乾いた唇を舐めて、絶え間なく続けられるこの所業に我を忘れ真希はスーツの下の身体に汗を滲ませる。お尻と太腿の裏側で医師の動きを受け止め、その快感を享受していく。
自分の喘ぎ声がまるで他人の声に感じられ、それなのに確かな快感が自分の身に起こっている現実だと、否が応でも実感させる。
呼吸が苦しい、身体がおかしい、気が狂う………。
内診台の縁を握り締め、身悶えをしながら気が遠くなっていくのを自覚する。緩やかに絶頂を繰り返しながら執拗に継続する快感が感覚を麻痺をさせ、ナースは虚ろな目をした真希が唇を震わせて喘ぐ様を冷ややかに眺めていた。
終わりの見えない官能的な世界に漂い続け、真希は揺れる自分の視界が白く霞んでいく………。
薄れゆく意識の中で真希は医師の呻き声を聞き、身体の中を駆け上がる快感の中で、精液を吐き出されるのが分かった。
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