甘やかな夜が過ぎ、朝になると弥生は梅に手伝わせて桜姫を取り調べた。もちろんお付きのおなご衆は別の場所に監禁する。「一人が逃げたり逆らったりすれば、その者は見せしめに拷問、他のおなご達も軍兵達の慰み者にする。主人である桜姫には当然責任を取って見せしめ拷問と陵辱に甘んじてもらうことになる。」祖母の虎御前の傍で習い覚えた尊厳で冷酷な言葉使いで弥生は皆を脅かした。ただでさえ残酷と評判の虎長の軍兵達に囚われたのだ。桜姫主従は生きた心地もしなかった。
その中で主人の桜姫が訊問のために引かれていく。
幕の中にはおなごの弥生と梅しかいないが、桜姫はこの二人が自分の様なお姫様として生きてきたのでは無い、荒くれ武者に混ざって生きてきたおなごだと感じた。
「桜姫、尋ねたき事あるによって正直に話されよ!さもなくば姫自身もお供のおなご衆も酷き事とあい成りますぞ!」弥生は歳で言えば桜姫とあまり変わらぬものの、祖母の似た体格の良さと声で桜姫を恐がらせた。
それでも桜姫は武士の娘としての矜持を持って答える。「何も答える事はありませぬ。辱めを受けそうになればわらはは死ぬるのみです!」「やはりそうか..。しかし一応は聞いておく。そはたは敵将の許婚と言うが既にまぐわっているのか?」な、なんと..!聞かれた桜姫は驚いた。我が軍勢の数や企みを聞かれるかと思いきや、わらはが既に未通女(おぼこ)で無いかどうかを聞くとは!「言わぬか!言わぬなら身体に聞くしかないが!」同じおなごとは思えぬ弥生の殺気だった表情に桜姫の身体は細かく震えた。
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