あっ..ありがたい..!梅も..、母様も助かる..。再び土下座した権兵衛は本当に泣き出した。その前にドサッと重い包みが投げられる。「当座の褒美の銀じゃ。正式な勲功は後日行う。」虎御前の言葉が響くと正直の御屋形様は座を立った。
虎御前がまだ泣いている権兵衛の傍まで来て聞いた。「そなた、本当にあの女童の事を大切にしてくれておるのじゃな。」「そ、そんな事はございませぬ!私は、私は普通の人とは違いまして..!」焦った権兵衛は余計な事まで言った。「ほう?ではどのように梅を可愛がっておるのじゃ?」「はい、あの..、信じてはもらえぬと思いますが..」権兵衛は何故か正直に虎御前に対して自分が梅を虐めたい事、梅も痛さに泣きながらも本心からもっと痛くしろ言ってくれる事、今回の出陣から戻ったら尻を犯させてくれる約束をした事などを打ち明けた。そして貧しい母様のために自分を人買いに売れと言った事まで涙を流しながら語った。
「良いのお..。そなたも梅も..、似合いの夫婦じゃ。二人を引き合わせたわらはも嬉しゅうてならぬ。母親の事は心配せずとも良い。母親も本心では梅の事を好いておろうからのう。明日は陣を引いて帰国じゃ。二人を喜ばせてやれるのう。」泣き続ける権兵衛を残して幕から下がった虎御前は幕のすぐ後ろに虎長が待っていたのに気がついた。「御屋形様..」「先の戦での奥の良い配慮が早くも芽を出したのう。奥を褒めずばなるまい。帰城したらまた伽じゃ。覚悟しておれよ。」そう言われて思わずドキドキする胸に片手を当て赤面する虎御前であった。
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