夫虎長からおなごの壺を突かれて散々悶えた挙げ句虎御前は気を失った。
気が付いた時、前日お光の方を吊ったのと同じ太い横棒に足をM字に拡げられた格好でおなごの壺を前面にさらけ出して吊られていた。目の前にさっき気が付いた新しい腰元らしきおなごがいて、虎御前のおなごの壺から滴る虎長の精を優しく拭き取ってくれていた。「お気づきでございますか?大丈夫でございますか?」優しい声で虎御前の容態を訪ねた。「わらはは大事ない。御屋形様から愛でていただいて本にありがたいこと..。」
本心からそう思い答えた。
「そなた、わらはと顔を会わせるのは初めてじゃのう。世話になる。」
しとどに濡れた裂け目を拭いてもらい、虎御前はその若いおなごに礼を言った。
「そのような..礼など、礼などおっしゃらないでくださいませ。勿体のうございまする。」
その声は遠慮がちだが、虎御前には何故か好ましいものに聞こえた。
そこに一度別室離れていた虎長が戻ってきた。
「奥よ、気が付いたか?相変わらず愛らしい逝き方じゃのう。」
夫からそう言われて、小娘の様に顔を赤らめる虎御前である。
「奥よ、この娘はこの度我が頼もしき若武者渡辺上野介に妻合わせるつもりのおなごじゃ。嫁入り修業に奥に仕えてさせる事とする」渡辺上野介は歳は25歳、その顔は見め涼しく振る舞いも美しく人前での進退も麗しい。若いのに思慮深く戦場では勇敢この上ない。憧れるおなご達も多いのだが、虎御前はその若武者に夫虎長と同じ匂い、つまり愛しいおなごを責め苛む性癖を感じていた。
渡辺上野介殿の嫁女は普通のおなごでは務まらぬ。しいて言えばわらはの様な愛する殿方から責められて幸せと感じるおなごでなければ。そう思っていた。
虎長は虎御前の裂け目を拭き終わって傍で控えている娘に虎御前に対して名乗るよう促す。
「井上弾正の養女弥生と申しまする。よろしくお願い申し上げまする。」
深々と頭を下げ再び顔を上げたその娘を見て虎御前は何か違和感を感じた。
肌は色白で顔は整った目鼻立ちで少女らしい初々しい。しかしその反面その身体はおなごの中では大きく逞しく思えた。いや、それだけでは無い。この小娘、わらはは会うのは初めてなのに、何故か以前より知っているような心易さを覚えるのだが..。弥生は小声で言い足した。「実の母は睦月と申しました..」
「睦月とな!しかと、母の名は睦月かや?」
それは虎御前がかつて若い時に産み、そして取り上げられた娘の名前だった。
※元投稿はこちら >>