二人は虎長の前に引き据えられこれより磔とされる旨言い渡された。「最期に何か言い残す事はないか?」虎長の問に忠太丸が言った。「我のへのこを切り取るのはこれからでございまするか?」横で聞いていた虎御前ははっとした。虎長は前に二人に対して、忠太丸のへのことお光の方の両乳房を切断した後に磔とすると言い渡していた。虎御前はそれを忘れた訳ではなかったが、これまでの二人の健気なる振る舞いに虎長も十分満足していたし、二人が磔で旅立つ事に変わりは無いので敢えてそこまでしなくても良いと思っていたのだ。
今度はお光の方が言った。
「昨夜の我等へのお心使いもでございまするが、何よりおなご衆への優しきお心使いに我等心からありがたく思っておりまする。もはや我等母子にお返しできるものは何もございませぬ故、何とぞ我等の身体を残酷な見せしめとする事でお役にお立てください。」
困った虎御前は振り返って夫であり御屋形様である虎長を見た。虎長は目を閉じて僅かな時間考えた後、虎御前に言った。「二人の望むように計らってやるが良い。」
二人は裸で縛られたまま、衆人監視の中を処刑場に引かれていく。
処刑場にはカタカナのキの字の形をした磔台が二本頭の方を上に向けて浅い斜めに建てかけられていた。処刑場に到着した二人はさっそくその磔台に縛り着けられる。両手首、両脇、腹部、両太股、両足首と厳重に縄を掛けられて磔台に固定された。
竹矢来の外に集まって見ている群衆からの距離は10間。やがて馬に乗った虎長も到着した。
小袖、袴にたすき掛けした虎御前が虎長の前に跪く。虎長は妻である虎御前に「始めよ!」と命じた。「はっ!」虎御前は立ち上がるとスラリと脇差しを抜く。斜めに寝かされた様に磔られた忠太丸の横に立つと「覚悟はよろしいか?」と聞いた。「お願いいたしまする!」と若く凛々しい声。虎御前は拷問の時に何度も触ったまだ完全には剥けきっていない忠太丸のへのこを左手で握る。なんと!これから切り取られると分かっていながら、忠太丸のへのこは見る見る硬くなっていった。「おう、あっぱれ!忠太丸殿は健気にして雄々しいおのこじゃ!」そう言うと虎御前は右手に持った脇差しをへのこの付け根に宛がうと上から切り落としていく。切るにつれて血が噴き出し忠太丸の全身に苦痛に耐えるために力が入っているのが分かる。ちらっと忠太丸の顔を見ると健気にも苦痛に歪む顔を持ち上げて切断されつつある自分のへのこを見続けていた。虎御前は「今少し耐えよ!」と言うと脇差しの刃先を動かし、陰茎から陰嚢まで半ば抉り取るようにして忠太丸の身体から切り離す。観衆からは恐ろしさに響めきが上がった。へのこを切り取れた忠太丸の身体の乗った磔台は足軽達の手によってその場に掘られた深い穴に垂直に立てられる。磔台の下の横木に拡げて固定された忠太丸の下半身はへのこの切断面からの出血で赤い血に染まった。陰嚢が付いた状態で切断されたへのこは軽く水で洗われた後、板切れに釘で打ち付けられ高々と掲げられた。我が子が生きたままへのこを切断されるのを見て母親が平気である筈がない。しかしお光の方は苦痛に耐える忠太丸を見ても取り乱す事なく、小さな声で「立派です、忠太丸..。」と呟いただけだった。
息子の方のへのこの切断の後、虎御前は直ぐに母親の両乳房の切断に掛かった。血糊が付いて切れ味が悪くなった脇差しを取り替えようとするとお光の方から「出来ますれば息子のへのこを切り取ったその脇差しでしてはもらえませぬか。」と言われた。
「承知!」そう言うと虎御前は左手で形の良いお光の方の右の乳房を掴むと鎖骨の方から下へと切り取っていく。切れ味が悪い分を力技で荒々しく刃物を動かして補うために切断されるお光の方は非常に苦痛を感じている筈であるが、やはり悲鳴は上がらない。
片方の乳房を切断し、血だらけの手で汗を拭うともう片方の乳房も切断していった。やがて両方の乳房は嫋やかなお光の方の身体から切り離され、これも軽く水で洗われた後板切れに打ち付けられた。
そして胸から大量の血を流すお光の方の磔台も穴に垂直に立てられ、その身体は高々と掲げられた。
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